柔らかいアナログ感が魅力!水彩ペンで女の子の線画を描くコツ
イラストレーター・チェリ子さんによるかわいい女の子のイラストで、イラストをより魅力的に見せる線画の描き方のコツを、顔、目、髪などパーツごとに順序立てて紹介していきます。水彩ペンで描かれたやわらかな線画のアナログ感と透明感は必見です!本記事は『デジタルイラストの「線画」描き方事典』からの特別掲載です。
線画はイラストの印象を決める大切な要素です。
でも、「具体的に何に気を付ければいいのか」「どのような順番で描けば良いのか」など、分からないこともたくさんありますよね。
この記事では、線画を描く上で大切なポイントを、顔や目、髪などパーツごとに分けて紹介しています。
ひとつずつ実践して、見た人がときめくような、さらにかわいい女の子のイラストを描きましょう!
顔の線画
顔の輪郭線から描いていきます。ラフの不透明度を下げて薄くして、納得がいくまで何度か線を重ねます。
キャンバスは、線の引きやすい角度を常に維持します。
※講座内で使用している水彩ペンはチェリ子さんが作成したカスタムブラシです。書籍を購入するとカスタム設定が詳しく掲載されています。
①顔の輪郭を描く
ラフをベースに線画を描いていきます。
顔の輪郭は描きはじめの大切な部分なので何度か線を重ねながら形を確定させていきます。
なお、綺麗な線を引くために、得意な線が引ける角度にキャンバスを回転させています。
これは、この先の工程でも変わりません。
どのパーツも均等な線で描かず、パーツ内でも線の強弱を付けていきます。
②鼻と口を描く
鼻は主張しすぎない程度に薄っすらと描きました。
口の端と⻭の隙間は、色を塗ったあとで線画の色をなじませる(あとで色トレスの処理をする)ことを考えてベタで塗りました。
繊細な線に見えるようでいて実は拡大すると荒い線のままにすることが多いです。
デジタル作画は描こうと思えばどこまでも描きすぎてしまうので、遠目の印象を大事にしています。
レイヤー構成
目の線画
目は印象を強く出したい部分なので、まつ毛やまゆ毛は細い線を重ねて毛束感を出します。
これにより線の描き込みもされるので、目立ちます。
①まつ毛の線画を描く
🅰まつ毛は細い線を重ねることでふさふさ感や束感を出しています。
まず、まつ毛のベースの形を描きます。
🅱毛のハネや線を重ねて目立つ束を描きます。
🅲最後に重なった不要な線を消します。
これで線画が交差したところがダマにならず、色を塗ったときに綺麗に見えます。
②瞳の線画を描く
まつ毛の下に瞳を描きます。
瞳のハイライトは同じ光源が目に写っているので、ラフは無視して片側を描いた後にコピー&ペーストすることで、左右まったく同じ形になるようにしました。
③まゆ毛の線画を描く
まゆ毛も線を重ねてふさふさ感を出します。まゆ毛の周囲は線がない(粗)ので、まゆ毛を細かく描き込む(密)ことで目立たせる効果もあります。
ラフではまゆ毛の位置がずれていたので、目とまゆ毛の間の距離が左右均等になるように調整しました。
水彩ペンを使った強弱のついた線で、透明感がありつつも、まつ毛や眉毛のふさふさとした質感や、生き生きとしたかわいい表情がしっかり描かれています。
女の子のわくわくした気持ちが伝わってくるような、顔部分の線画ができあがりました!
レイヤー構成
髪の線画
一本の長い線で描いたほうが滑らかで綺麗な印象になるので、キャンバスは必ず線の引きやすい角度にします。
単に綺麗な線を引くだけでなく、ほかのパーツとの兼ね合いを意識して線画を描くことで立体感が出ます。
①顔周辺の髪を描く
🅰髪は頭部周辺〜髪の輪郭を先に描きます。
全体を見たときに、頭の大きさやほかのパーツと比べたサイズ感がおかしくないかを確認しています。
🅱髪の生え際は線画を閉じず、毛を一本ずつ描いていくイメージです。
②頭の大きなリボンを描く
頭に付いている大きなリボンは、頭の丸みに沿うように線画を描きます。
サイズを大きくして目立たせます。
③滑らかな髪を描く
髪の⻑い部分、身体の上にくる部分は、女の子の身体の大きさや肩・胸まわりの立体感に合わせて描きます。
体や手に持っているステッキの後ろに一部分が隠れてしまう髪も、頭頂部〜毛先にかけて、流れや重力、ボリューム感が大事です。
これらを自然に表現するために、ほかの部分にはみ出してもいいので滑らかな線で描くようにします。
はみ出してかぶった線は、最後にマスクをかけて消します。紫色の部分がマスクをかけた場所です。
レイヤー構成
線の調整
ひととおり全体を描き終えたら細かい調整を行います。線画の細部にまでこだわることで、完成度がアップします。
①髪を追加する
🅰おでこのあたりにおくれ毛を追加します。この一つの毛束で立体感が格段に増し、女性らしい柔らかい印象も強調されます。
🅱さらに、右腕下部分に髪を追加しました。カゲになるので密度を出しすぎないように、シルエットとして作画します。
服・体の③と同じような手順で、ベタ塗りで髪の毛のシルエットを作成して選択範囲を作成します。
🅲新規レイヤーを作成し、[編集]メニュー→[選択範囲をフチ取り]を実行、表示されたダイアログで線の太さを入力(描いている[ブラシサイズ]と同じ値)します。
🅳毛先や線がガタついているところを手描きで調整します。
手前の毛とかぶっている線は消します。
②線の太さを調整する
全体的に線が細く感じたので、調整しました。
これまで描いた線画レイヤーを複製し、重ねることで線を少し太らせることができます。
レイヤー構成
線画完成!
柔らかな輪郭や表情、いまにもまばたきしそうな生き生きとした目、ふわっとした髪の毛など、見ていてときめくかわいい女の子の線画が完成しました!
書籍では、ほかのパーツの描き方や、色塗りのコツなど続きの工程も掲載されています。ぜひチェックしてみてください。
※本記事は『デジタルイラストの「線画」描き方事典』(SBクリエイティブ刊)からの特別抜粋記事です。
一枚絵を描くとき、線画をどのように描き進めるか。実力派イラストレーター10名の線画技法を事典形式で解説します。
CLIP STUDIO PAINT PRO/EXを使って一枚絵を描くときの線画の描き方が一気につかめる一冊です。
●いろいろな線画の描き方がまるごとわかる!
・事典形式なので、部位ごとの描き進め方がしっかりわかります。
・どんなブラシを使って線を引いているのか。ブラシ設定も含めて具体的に紹介します。
・絵師ごとの線のノウハウを掲載。絵師の考え方と、すぐに使える試せる知識が手に入ります。
・線画の工程だけでなく、ラフの工程から解説。絵作りの始め方も学べます。
・塗り・仕上げの工程は、線に関連するテクニックに厳選して掲載。線を活かした描き込みや加工が理解できます。
・特典は、線画CLIPファイル、塗りのレイヤーまで付いたCLIPファイル、線画のタイムラプス動画、カスタムブラシなど。
●参加イラストレーター(50音順)
うみぼうず、FBC、gs、朱里、しわ、チェリ子、梵辛、牧茶、モカ、らうと
作者プロフィール:チェリ子
イラストレーター。ゲーム会社勤務後、フリーランスへ転向。MV やキャラクターデザインなどを中心に、かわいい ” だけ ” ではない女の子を多彩なジャンルで描くイラストレーターとして活動中。MV イラスト「チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!」「会いたくて」「ブレス・ユア・ブレス」他/キャラデザ「VoiSona 知声」「うたごえはミルフィーユ」ほか。
PEN TABLET:Wacom Intuos Pro Medium
WEB:https://www.cherico-cerise.net/