【帽子の描き方】キャップ・ハット・軍帽をマスターしよう!
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帽子はキャラクターの雰囲気を大きく変えるアイテムです。バストアップの構図も、帽子を足すことでクオリティアップできますよ。スポーティなキャップ、少しクラシックでキザな感じを出すハット、厳しい規律を思わせる軍帽……今回は、この3タイプの帽子を例に、その特徴やキャラクターとの合わせ方など、帽子の描き方を紹介します!
1.帽子の構造をとらえよう
帽子を描くのが難しいと思っている人は、実際に描く前に形状を理解し、構造をイメージできるようにしておきましょう。
構造を理解することで、びっくりするほど描きやすくなります。
■キャップの描き方
キャップは、野球選手のアイテムとしてはもちろんですが、普段着のファッションでも定番です。
ストリート系のファッションに身を包んだキャラクターなどに似合います。
クラウン(帽子の頭にかぶる部分)は、円柱にドーム型のフタをかぶせたような形にします。そしてこれを6つに分割します。
一般的なキャップは、数枚の生地を合わせた構造をしています。
完全に丸い帽子も全く無くはないですが、複数の生地を合わせたものが一般的です。
よくある構造は、6枚の生地を合わせたものです。
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キャップを描くときのポイントは、つばの付き方です。
つばは、帽子に対してやや斜め下向きについています。
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側面からみると、下図のように下を向いています。
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ただし、まっすぐなタイプのつばは横から見て水平になるように描くと良いでしょう。
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■ハットの描き方
英語のhatは「帽子」ですが、ここでいうハットは、帽子のふちにぐるりとつばが付いているものを指します。
ハットのタイプはさまざまですが、今回はおしゃれな男性キャラがかぶるような「中折れ」タイプのものを例にします。
よくある中折れハットは、クラウンと呼ばれる頭に被さる部分の前方にへこみがあります。へこみは3か所です。
このへこみによって、上からみるとクラウンの前の方が細くなっています。正面から見るとM字のように見えます。
やや上のほうがすぼまっているように描くとよいでしょう。
つばは厚みを持たせ、少し湾曲させて描きます。
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■軍帽の描き方
軍帽は、クラウン+ハチマキ(鉢巻/腰と呼ばれる部分)+つばの3つのブロックに分けると描きやすいです。
クラウンの上面は、円を湾曲させた形をイメージします。
柔らかい布を想定して描く場合、少したるませたりしわを描いても良いでしょう。
ハチマキは背の低い円柱をイメージし、紐やベルトの装飾を添えるときは、たるませずピンと張るようにします。
つばは厚みを持たせ、キャップなどの日常で使う帽子より硬そうに描きます。
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より自然に帽子をかぶせるには?
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かぶせるときの目安は、前方は眉骨より上・サイドは耳の付け根より上です。
図のオレンジの線が、帽子のアタリです。
どの帽子もこのラインでかぶせるのが基本です。
2.帽子のメイキング
3種類の帽子の下書きから仕上げまでのメイキングを紹介します。
同じキャラクターに、キャップ、ハット、軍帽を描き足してみましょう!
帽子によってキャラクターの雰囲気が変わります。
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■スポーティーなキャップを描く
(1)下書き
まずは、キャラクターのイラストにキャップをかぶせるために、アタリをとります。
はじめに、髪がない状態の頭の形もアタリをとっておきます。
頭の形に合わせて、帽子の底面にあたる部分を描きます。
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クラウンの部分は、まず筒状の下描きを描いてから上部を描き加えます。
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つばの下描きを加えました。
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(2)線画
下描きができたら、線画を描きます。
りんかく線はやや太め、縫い目などのディテールの線は細めに描くことでメリハリをつけられます。
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(3)塗り
まずはベタ塗りでベースカラーを塗ります。
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光源を右上に設定し影をつけていきます。
布がわずかにたるんだところをイメージして濃淡をつけると、質感を表現することができます。
つばの影は比較的くっきりと描き、生地がぴんと張られた感じを出します。
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光が強く当たるところにハイライトを描きます。
今回はモノトーンのキャップにしたので、ハイライトには薄い紫を加えて色味に幅を持たせることにしました。
最後につばの落ち影を入れて完成です。
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■クラシカルなハットを描く
(1)下描き
頭の大きさに合わせて、クラウン部分とつばのアタリをとります。
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つばの広さを決め、ラフを描きます。
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クラウン上部のへこみや、つばのラインを整理しながら下描きを進めます。
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(2)線画
下描きに合わせて線画を描きます。
へこんだ部分を意識しながらりんかくのカーブをていねいに描きます。
つばには細い線を入れて厚みを表現しましょう。
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(3)塗り
ベースカラーを塗ります。
帯の色の配色はアクセントになるので大事なポイントです。
強い色だと浮いてしまうこともあるので、今回は彩度の低い紫寄りの青にしました。
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影を入れていきます。
影の端にはブラシのタッチを入れて麦わらの質感を出します。
前面のへこみの影は、折れ曲がった箇所を濃く、そこからだんだんとグラデーションで薄くなるように塗りました。
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ハイライトはブラシのタッチを出しつつ加えていきます。
色は太陽光をイメージして、明度の高いクリーム色にしました。
くぼみを意識して影の明暗を描き足していけば、完成です!
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■スタイリッシュな軍帽を描く
(1)下描き
下描きはまず頭の形に合わせて帯のアタリを描き、クラウン、つばの順番で描いていきます。
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クラウン部分はウールの厚い感じを意識しながら形を決めます。
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つばは硬さを表現するため、直線的なラインで描いていきます。
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最後に、帯に紐の装飾を描きます。
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(2)線画
下描きをもとに、ていねいに線画を描きます。
軍帽はほかの帽子に比べしっかりした素材感を出す必要があります。
線がよれないようになめらかな線で描きましょう。
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(3)塗り
はじめにベースカラーを暗めのグレーで塗ります。
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クラウン部分に、青みがかった色でグラデーションを入れます。
帯は黒くしました。
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クラウン部分に、細いブラシサイズで細かくハイライトと影を入れます。
帯は鈍いツヤが出るように、明るすぎないグレーでハイライトを塗ります。
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つばも黒く塗っていきます。
端にざらざらした感じを入れて皮の質感を出します。
質感を合成するにはテクスチャを使用すると効果的です!テクスチャの詳しい使い方はこちらの記事をご覧ください。

つばのハイライトは、ツヤのある表面をイメージして白で塗ります。
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帽子の本体は渋い色味なので、装飾は華やかさと高級感が出るように金色にしました。
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クラウン上部のライン、帽章、紐の装飾を描き込んで完成です!
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3.帽子の素材
最後に、帽子を描くときに活用できそうな素材で、CLIP STUDIO ASSETSで入手できるものをピックアップしました。
デコレーションブラシは、手で描くのが難しいディテールを手軽に追加できます。
また、帽子自体の形をとるのが難しい場合は3D素材をアタリにするのも有効です。
■麦わら帽子用ブラシ
https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1717883
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麦わら帽子の質感を表現したブラシです。
質感を出しつつ、下地と混ぜながら塗り重ねることができます。
描画部分にフチをつけると麦わら帽子のシルエットを表現できます。
■3D帽子セット
https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1717883
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帽子の3D素材です。
図のキャップの他にも、学生帽・山高帽・とんがり帽の計4タイプがあるので、いろいろなジャンルで役立ちそうです。
■【改良版】軍帽
https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1717883

明治時代の陸軍軍帽の3D素材です。
明治はマンガ・イラストで人気のある時代なので好きな方にはたまらない素材ではないでしょうか。
無地版とカラー版があり、可動する部位もありカスタマイズが可能です。
帽子の描き方、いかがでしたでしょうか。
帽子には、ほかにベレー帽やハンチング、魔法使いがかぶるような三角帽など、さまざまな種類がありますが、どの帽子も頭の形に合わせる基本のメソッドは大きく変わりません。
すてきな帽子をかぶせてキャラクターの魅力を目一杯引き出してあげてください!
(制作:株式会社サイドランチ)
(イラスト:山田しぶ)