【アナログ】絵・イラストを描く道具・憧れの画材を揃えよう!【デジタル】
これからイラストを始めてみたいけど、どんなものを買えばいいのか分からない、どのくらいのお金が必要なのか知りたい……そんな方のために、イラストの道具についてご紹介します。近年ではパソコンやiPadなどで作画する人も増えてきていますが、アナログとデジタルではどのくらいコストが違うのでしょうか?
絵やイラストが描くときに、どんな道具・画材を使っていますか?
子どもの頃から使い慣れている道具も良いですが、趣味や本格的に取り組んでみようと思ったときに、少し物足りなく感じることがあると思います。
この記事では、少し本格的に絵やイラストを描いてみたくなった人やお絵描き初心者さん向けに、どんな道具があるか紹介します。
「水彩絵の具」や「色鉛筆」などのアナログ画材とともに、最近ではアナログの画材よりも手軽になったデジタルで絵を描く道具についても触れています。
どんな事ができるのか、どのくらい予算が必要なのか確認してみましょう。
※本記事内で紹介しているアナログ画材の価格は参考価格です。
<もくじ>
透明水彩
アナログイラスト界で人気の高い「透明水彩」は、下の色が乾いてから別の色を重ねても、どちらの色も見えるので、透き通った色の表現ができます。
塗りすぎてしまったり、薄くしたいと思った時は、水筆で触ると色が落ちるので、様々な表現が可能です(塗り方や使用する紙の相性にもよります)。
また、パレットに出した絵の具が乾いてしまっても、水筆で触れば色を取れるので、少しの量で長く使い続けることができ、他の絵の具と比べてコスパが良いのも特徴です。
セット売りとバラ売りがあり、最初に12色などのセットを買ってから、気になる色を買い足すと様々な表現に挑戦できるでしょう。
よく見る「チューブタイプ」のものと、絵の具を乾かして固めた「固形タイプ」のものがあり、「固形タイプ」はスケッチや旅行などの持ち歩きに便利です。用途と好みに合わせて購入するとより楽しめます。
お手頃価格で本格的な水彩を楽しめる「ホルベイン」、英国王室御用達の最高級水彩絵具「ウィンザー&ニュートン」、歴史あるドイツの最高級透明水彩「シュミンケホラダム」などほかにも多くの人気商品があり、価格帯もさまざまです。
・5mlチューブ価格
ホルベイン……200円(税別)~
ウィンザー&ニュートン……440円(税別)~
シュミンケ……1000円程度~
アルコールマーカー
発色が良く、乾きの速いアルコールマーカー。最近では100円均一にも登場するなど、幅広い人気があります。
トナーインクが溶けないという性質を持っていて、コンビニなどで印刷した線画にそのまま塗ることができます。
一色一本のペンタイプで、色数を増やす為にはその都度の購入が必要です。
カラータイプの他に透明色が用意されている事が多く、水筆のように塗った色を伸ばす事ができます。
「ルプルーム」など、インクが無くなったら買い替えになるタイプと、「コピック」など、インクや筆部分の交換部品を取り扱っているものがあり、どちらのタイプも人気です。
初期費用はかかりますが、詰め替えインクを買った方が低コストで長く使用できます。
また、インクを混ぜて自分の好みの色を作る事もできるので、インクと空ボトルのペンを買うと、カスタムして理想の色を楽しめます。
シャープペンやボールペンの線は相性によって溶けてしまうので、「コピックマルチライナー」や「フォードローイング」などの公式ペンを使うと線がにじみません。
※染料インクなので環境により退色していきます。
コピック……250円(税別)~
ルプルーム……180円(税別)~
アクリル絵の具
水彩絵の具の次に、学校で使用した記憶がある人も多いのではないでしょうか。
アクリル絵の具には、不透明色で下の色が透けず、マットな表現ができる「ターナー」「ホルベイン」などのアクリルガッシュと、水彩絵の具のようなにじみや透け感を出せる透明色と、アクリルの不透明色を併せ持ったアクリルカラーの「リキテックス」「アキーラ」「アムステルダム」などがあります。
ポスターなどの均一な塗りをしたい時は「アクリルガッシュ」、水彩のようにも使いたい時は「アクリルカラー」がおすすめです。
アクリル絵の具は水に溶いて使用しますが、乾くと耐水性になるため、粘土や石、ガラスや布など描く素材を選ばない事も人気の理由です。
キャンバス地に描画する事もでき、表現の幅が広がります。
また、「メディウム」と呼ばれる素材を使えば、質感をプラスして油絵のような厚塗りや、ざらりとした表面に仕上げることもできます。
アクリル絵の具……270円~
カラーインク
昔から少女漫画などのカラーイラストで愛用されているカラーインク。発色がとても良く、水や専用の液体で薄めて使います。
透明度と発色がとても良く、絵の具のようににじみや混色を活かした塗りができるほか、つけペンで線も描けるので、イラストの線画やカリグラフィにも愛用されています。
耐水性のものを使えば水彩などの他の絵の具と併用する事も可能です。
耐水性もある染料インクと、非耐水性の顔料インクがあるので、買う時はチェックしましょう。
スポイト一体型の蓋の小瓶に入っている物が多く、理科用品のような可愛さにコレクト欲をそそられます。
カラーインクは一滴でかなりの濃さがあり、薄めて使い続けるので、一度買えば長持ちします。
ただ、染料系のカラーインクは退色が早く、時間が経つと色が変化してしまいます。
光に弱いため、描いてるうちから色が変わっていくことも…。
紫外線を避け、描いたら素早くデータ化する事をおすすめします。
人気の「ドクターマーチン」「ウィンザー&ニュートン ドローイングインク」「エコライン」などがあります。
カラーインク……360円~
色鉛筆
幼少期から触れてきた画材NO.1と言っても過言ではない色鉛筆。
購入できる場所が多く、子供から大人まで誰でも楽しめる身近な画材です。
一般的に使用されている「油性色鉛筆」と、水彩絵の具のように使える「水性色鉛筆」があり、こちらはその特性から「水彩色鉛筆」と呼ばれています。
「水彩色鉛筆」は、水を塗った部分に描くと芯が溶け、直接水筆で触れると絵の具のように色を取れるのが特徴です。
もちろん濡らさずに描けば普通の色鉛筆と同じ感覚で使えるので一石二鳥です。
色数が豊富で、多いシリーズだと500色もある色鉛筆。
鉛筆と同じく芯を削って描くので持ちが良く、使い切っても1本80円~という値段の安さもありかなり経済的です。
油彩色鉛筆の「トンボ」「ユニカラー」「カランダッシュ」「ファーバーカステル」「クーピー色鉛筆」
水彩色鉛筆の「アルブレヒトデューラー」「ユニウォーターカラー」「カラトアクェレル」などがあります。
色鉛筆(油性)……80円~
水彩色鉛筆……170円~
パステル
パステルは、粉末状の顔料を、粘着剤で固めたものです。
クレヨンと似ていますが、一般的にパステルはワックスやオイルが入っていないので、非常にさらさらしています。
そのまま直接描けるのはもちろん、カッターなどで削って粉状にし、スポンジなどで広い面を一気に塗ったり、ふんわりと柔らかいタッチを重ねる事ができます。
棒状のものと、丸いケースに入った「パンパステル」があります。
塗った面は指についたり、色落ちの危険性があるため、「フィキサチーフ」で定着させるときれいに作品を保存できます。
クレヨンと似たオイルパステルがありますが、オイルパステルはクレヨンよりもテカリがありません。
クレヨンは線が得意で、オイルパステルは線も塗りも得意です。
街中の看板で見かける、カラフルで本格的なチョークアートの多くはオイルパステルで描かれています。
「ヌーベル」「ラウニー」「レンブラント」「シュミンケ」「ぺんてるオイルパステル」
和の色を揃えた日本製のソフトパステル「ゴンドラ」などがあります。
画用紙
アナログで絵を描くときに重要になるのが「紙」です。
身近な紙といえばコピー用紙や画用紙ですが、絵の具を塗って失敗してしまったり、参考作品のような表現ができない……なんて悩んだことはありませんか?
実は表現に合った紙を使わないと、画材本来の力を発揮できない場合があります。
どんな紙を選んだらいいのか見てみましょう。
■水彩紙
水彩紙は大きく「細目」「中目」「荒目」などの種類があり、表面の凹凸(紙肌)を表しています。
細目はなめらかで繊細、荒目は丈夫でざらりとしていて激しい表現が得意、中目はその間のいいとこ取りで、一番メジャーな紙肌です。
画用紙と比べて、塗っても表面が毛羽立たず、絵具の特性が活かせるので、水彩を始めるときはなるべく水彩紙を使用しましょう。
高級水彩紙「アルシュ」や「ウォーターフォード」「ランプライト」などのコットン100%の水彩紙は、水彩らしい表現が可能で、表面も丈夫な為おすすめです。
ただし、水彩紙のネックなところはちょっとお値段が張るところ……。
お手頃価格でまずは楽しみたい!という方は「ホワイトワトソン」「コットマン」「ヴィフアール」など、1,000円前後で購入できるものもおすすめ。
お手頃水彩紙は表面が弱く、「マスキングインク」が使えないものもあるので注意です。
マスキングインク:「シュミンケ」「ホルベイン」「ペべオ ドローイングガム」「ミツワ・マスケット」
また、高級紙でもハガキサイズや、バラ売り、数枚入りのカット売りもあるので、画材屋さんなどでチェックしてみてください。
透明水彩はもちろん水彩色鉛筆、カラーインク、アクリル絵の具、カラーマーカーなどでもにじみの表現が可能です。
また、水を使わない場合でも、パステルや油性色鉛筆で紙肌の凹凸を活かした塗りができます。
複数の画材の特性を活かせるところも魅力的です。
■スケッチブック(画用紙)
水を使用しないカラーマーカー、色鉛筆、パステルなどで使用可能です。
特にカラーマーカーは「マルマンスケッチブック」や、コピック販売会社Tooの「FIG/0 スケッチブック」などの画用紙に塗るのが、インクの馴染みが良くて人気です。
■ケント紙
漫画原稿用紙や、試験科目のアクリル作品で使用される事が多いケント紙。
表面がつるつるしていてあまり毛羽立たず、なめらかな描き心地です。
そのため、アクリル絵の具のマットな塗りや、色鉛筆での緻密で繊細な表現に適しています。
水に強くないので、絵の具を使用する際には水張りが必要です。
カラーインクも使用できますが、水彩のようなにじみの効果を出すのは難しいので、表現に合わせて紙を選びましょう。
■キャンバス・パネル
アクリル絵の具は、油絵のような「キャンバス生地」や、木製パネル等にも描くことができます。
キャンバスは油絵用とアクリルが使用できるものがあるので、注意して購入しましょう。
一般的には兼用できるものが多く売られていますが、間違って油絵専用を使用してしまうと、塗った絵具が剥がれ落ちてしまいます。
下地に「ジェッソ」を塗ると発色と絵具の定着が良くなります。
塗布後は水彩絵の具の使用もできます。
「オリオンキャンバスボード」のようにイラストボードタイプで手軽に扱えるものもあります。
■専用紙
水彩紙のように、画材に合わせた専用紙も販売されています。
アクリル絵の具…「muse アクリブロック」「アクリルデネブ」「キャンソンアクリル」
コピック…「コピックペーパーセレクション」(5種)
パステル…「ラウニー」「レンブラント」「ホルベイン」「muse」
■色紙(しきし)
お祝い事やイベント等で登場する色紙。最近では水彩紙やコピック用紙で作られたものも販売されています。
普通の色紙に塗って失敗してしまった……なんて悲しい事も防げます。
サイズ展開もされているので、ミニ原画の作品発表としても活用できます。
「ホワイトアイビス水彩色紙」「アルビレオ水彩色紙」「コピックペーパーセレクション 色紙」
【MEMO】水張りについて
紙は水を吸うと波打ってしまうため、紙の種類によっては「水張り」の工程が必要です。
水張りをすればたくさん水を使っても紙がたわみません。
水彩紙の場合、ブロックタイプを使うと水張りの必要が無いので、とても便利です。
「水張りテープ」「ハケ」「木製パネル」等の購入も検討しましょう。
水張りテープ……200円程度~
ハケ……1000円程度
木製パネル(B5)400円程度~
デジタルイラスト・デジタルアート
デジタルイラストやデジタルアートというと、いかにもCGっぽい無機質な感じや、アニメ塗りのパキッとしたイメージがあるかもしれません。
アナログ画材のようなあたたかい感じは出せないんじゃないの?と思っている方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
むしろ一つのお絵かきソフト・アプリを持っているだけで、さまざまなアナログ画材の風合いが再現できます。
↑同じ線画・ソフトでも、アニメ塗りと水彩マーカー風で塗り分けられる
本記事のイラストはデジタルのお絵かきソフト「CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)」で描かれています。
カラーマーカーの透明色のようなにじみや、水彩紙に塗ったようなざらりとした質感がアナログっぽさを演出しています。
お絵かきソフト・アプリの詳しい情報はこちらの記事で詳しく紹介しています。
お手持ちのコンピューター(Windows/macOS)やデバイス(iPadなどのタブレット、iPhone、Androidなどのスマートフォン)によって、使用できるソフトやアプリが異なりますので、確認してみましょう。
【2023年のおすすめはこれ!】最新お絵描きアプリ・ソフト比較【有料/無料】
■パソコン・ペンタブレット
パソコンでイラストを描くならパソコン、ソフトウェア、ペンタブレットが必要です。
逆に言えばそれだけあれば十分です。
これからデジタルイラストを描くためにパソコンを買う予定の方は、使いたいペイントソフトに対応した、なるべく快適に作業できるものを選びましょう。
メモリ容量の大きいものほど高価になりますが、快適に作業できます。
メモリは4GB以上あれば問題ありませんが、快適に作業するなら8GB以上のものを選びましょう。
モニタは解像度(画面の精細さ)がWXGA(1280×768)以上のものを用意するとよいでしょう。
メモリ4GBのパソコン……4万円~
その他、パソコン環境とペンタブレットについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
スマホ、タブレットでどこでもお絵かき!
旅行やお出かけ先で絵を描きたいけれど、絵の具、パレット、紙、大量のマーカー……などたくさんの画材を持ち歩くのは、荷物が増えて重くなるので結構大変。
それでも愛着のある画材を連れていくのか、置いていくのか、ちゃんとしたお絵かきを諦めるのか……悩みどころですよね。
そんな悩みを助けてくれるのが、お絵かきアプリです。
パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットのアプリでどこでもお絵かきができます。
アイビスペイントやCLIP STUDIOPAINTが人気です。
PCで描いたイラストをクラウドで同期すれば、iPhoneやiPadでそのまま続きを描く事ができます。
どこで買うの?
アナログの絵・イラストを描く道具は、画材屋さんや文房具屋さんの店舗、または通販で売っています。
デジタルの場合は、パソコンを扱う家電量販店などで、ソフトウェアのパッケージ版やペンタブレットを販売しています。
※ただし、ダウンロード版の場合はメーカーのWebサイトやAppストアなどのネット上でのみ販売されています。
近所にお店がない場合は、ネットを利用するとよいでしょう。
ソフトウェアの名前で検索してください。
必要最低限これだけあればイラストが描ける
どんなイラストの道具があるのかご紹介したところで、最後に、これらの道具をそろえるためには、どのくらいの予算が必要か、試しに計算してみましょう。
商品によって値段に幅があるので、あくまで一つの指標として見てください。
※さまざまな種類の紙があるので、今回は多くの絵具に対応可能な「ヴィフアール水彩紙 パッド A4」と「マルマンスケッチブック A4(リング)」を選んでいます。
※筆やパレットは含んでいません。
<アナログ道具必要予算>(税別)
・透明水彩
透明水彩絵具(12色セット)……2,300円
水彩紙(A4パッド)……900円
──────────────
合計 3,200円
・コピック(カラーマーカー)
12色セット……3,300円
ペン……200円
画用紙(A4リング)……400円
──────────────
合計 3,900円
・ルプルーム(カラーマーカー)
12色セット……2,400円
ペン……200円
画用紙(A4リング)……400円
──────────────
合計 3,000円
・カラーインク
12色セット……4,400円
水彩紙(A4パッド)……900円
──────────────
合計 5,300円
・アクリルガッシュ
12色セット……1,800円
水彩紙(A4パッド)……900円
──────────────
合計 2,700円
・油彩色鉛筆
色鉛筆(12色セット)……600円
画用紙(A4リング)……400円
──────────────
合計 1,000円
・水彩色鉛筆
水彩色鉛筆(12色セット)……2,200円(税込)
画用紙(A4パッド)……900円
──────────────
合計 3,100円
それぞれの画材につき、3000円くらい予算があれば揃えることができそうです。
もしこれらの画材を一気に揃えたら22,200円になります。
アナログ画材の場合は、各画材の初期費用はあまりかかりませんが、絵の具や紙、筆やインク等の消耗品が多く、買い足す必要があります。
まずセットを買って、必要に応じて色や種類を増やしていくとよいでしょう。
ただし、調子に乗って買い足していくと、いつのまにかお財布も家のスペースも圧迫されてしまうかもしれません。
<デジタル道具必要予算>
ソフト 5,000円
ペンタブレット 9,350円
──────────
合計 14,350円
デジタルの場合、仮にパソコンを持っている方が、CLIP STUDIO PAINT PROダウンロード版とペンタブ(Wacom Intuos small ベーシック)を揃えるとすると、15,000円かかります。
デジタル画材は初期にかかる費用が高くなりますが、パソコン、ソフトウェア、ペンタブレットがあれば、道具を買い足すことがほとんどなく、一つのセットで幅広い画材を再現できます。
また、絵だけでなく、3Dやアニメーションを使って表現の幅を増やすこともできます。
まとめ
アナログ・デジタルそれぞれの道具の特徴・コストについてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
昨今ではデジタル派がかなり優勢ですが、伝統的なアナログの道具を使ってみたい方もたくさんいるでしょうし、アナログならではの技法はとっても魅力的ですよね。
スキャン後にデジタルで加工して作品を完成させたり、線画はアナログ、塗りはデジタルなど、両方を使って、より魅力的な作品を創る方もたくさんいらっしゃいます。
アナログとデジタル、自分に合ったスタイルを追求してお絵かきを楽しみましょう!
漫画(マンガ)の道具についてはこちらの記事で紹介しています