キャラクターを表情豊かにする!立体的な目の描き方講座

実際の眼球の動き、眉毛を動かす顔の筋肉の仕組みなど、役に立つ知識が満載の「目の描き方」をイラストレーターのmiyuliさんが詳細な図と合わせて解説します。眼球の丸い形を意識することで、リアルな人物だけでなく、デフォルメしたキャラクターイラストも存在感や説得力が出ます。表情豊かな目を描く参考にしてください!

目の位置

 

目は、顔のバランスを測るための便利なツールです。

一般的な大人の顔の場合、目・瞳は顔の半分の高さにあります。

 

正面から見ると、目と目の間には目がもうひとつ入る間隔が開いていて、目から顔の輪郭の間にも、目ひとつ分の間隔があります。

※前髪やもみあげによって、この距離が短く見える場合もあります!

 

人間の顔は完全に左右対称というわけではないため、左右対称であることについてはあまり気にしなくても大丈夫です。

絵を描くときには、自然に見えるように、ひたすら左右反転表示で確認しながら調整しましょう。

 

また、顔を真横から見ると、眼窩(がんか:眼球の収まる頭蓋骨のくぼみ)の中にある目は、下に傾いたように見えます。

 

 

イラストやマンガのようにデフォルメされたキャラクターの顔でも、実際の人間の顔のバランスを基にしているので、上図で示したような比率がそのまま使える場合もあります。

 

目を大きくデフォルメした場合でも立体的な物体として認識するようにしておけば、色々な角度から想像できるようになります。

 

 

 

いろいろな角度から見た目

 

角度のついた顔を描く時に目をまっすぐに並べて描いてしまうと、顔面が平面的に見えてしまいます。

顔面は少し湾曲しているため、目は斜めに見えます。

 

 

目は顔の角度だけでなく、瞳の動きによっても形も変わります。

動きをダイナミックに表現するために、多少は目の形を崩しても問題ありません。

瞳は、平面の上ではなく、球面の上を移動しています。

 

 

斜めから見た角度の人物を描くときは、「球面の上を移動する目」を想像することが重要になります。

まぶたの厚みも意識しましょう。

 

デフォルメイラストの場合、解剖学的な部分をいくつか省略するかと思いますが、それでも目に立体感を出すためには、実際の目のように動かす必要があります。

 

 

横顔から人物がさらに向こうを向いていくと、眉毛とまつ毛しか見えなくなります。

さらに回転させると、目と鼻筋の距離がなくなっていきます。

これによって頭の向きが変わったという印象が強くなり、顔が完全に後ろを向く直前であることが分かります。

 

 

目に表情をつける

 

目に表情をつけるときには、「眉と目の描かれたアイマスク」をイメージしましょう。

アイマスクをイメージすると、色々な角度から簡単に想像できるようになり、目の周りの要素をバラバラに動かすことなく、まとめて考えることができます。

目やその周りの要素を連動させることで意図した感情が読み取りやすくなります。

 

 

眉は感情を表現するための、とても強力なツールです。

多少デフォルメっぽくはなりますが、誇張した表現で眉を描くこともあります。

眉は、目に近づけると力強い印象になります。

 

この眉の動きの前後で目を緊張させたり弛緩させたりすることで、効果がさらに強調されます。

 

 

表情筋はあなたの大事な味方です!少し意識するだけでも、表情を一瞬で印象的にすることができます。

要素同士を近づける、ぎゅっと押し縮めるなど、表情を少し強調することによって、生き生きとした絵になり、写真をコピーしたような生気のない絵ではなくなります。

 

POINT

瞳の周りの白目の領域を見せすぎないように注意してください。

白目の領域を増やすのは、人物が驚き、恐怖や危険を感じている時にしましょう。

不適切な使い方をすると人物の見た目がおかしくなり、絵を見る気が失せてしまいます。

 

様々な目の形

 

目には様々な形があります。

動きがなくなって単純になるので、目の形を対称的にするのは避けた方がよいでしょう。

様々な目尻、目の形、眉、まつ毛や瞳を試してみたり、目と眉は別々ではなく、セットとして見るようにします。

 

通常、男性の眉は目に近い位置にあります。

年を取ると次第に垂れ目になっていき、しわがどんどん増えていきます。

 

 

本当に必要な要素について、よく検討しましょう。

 

動きが多いアニメーションなどには、簡潔な目の方が向いているかもしれませんし、1枚のイラストや、クローズアップした構図の場合、より細かい描写が必要かもしれません。

 

仮に目の左右のフチをつながず、省略するとしても、その目が閉じた形を想像してください。

それを意識することで、目の立体感を残すことができ、様々な角度から目を描けるようになります。

 

POINT

私は目に時間を費やしすぎないようにすることで、体のほかの部分をちゃんと描けるように配分しています。

ただし、感情に訴えかけるような絵を描くときには、目に注意を払うことが大切だと思っています。

 

 

目の詳細な構造について

 

目の角膜は、虹彩と瞳孔に覆いかぶさっている透明なレンズです。

この角膜は目の形に影響します。色々な角度から見たときの瞳孔の位置には注意しましょう。

 

瞳孔が大きい状態は遠くを見ているか、暗い環境に目が順応しようとしていることを示しています。

小さな瞳孔は、明るい光が当たっているか、近くのものを見ていることを示しています。

 

 

目を塗るためのポイント

 

照明の環境や、自分のやりたいスタイルに合わせて目の塗り方は変わります。

下の図の、4つの基本ステップを参考にしてみてください。

 

白目を暗く塗ることで、ハイライトがより強調されます。

 

 

たまに「違う色のアクセントを試す」「瞳孔のフチを柔らかくぼかす、または固くハッキリと塗る」など、実験をやってみると面白いかもしれません。

 

このチュートリアルが役に立つと嬉しいです。

 

プロフィール:Miyuli

フリーランスのイラストレーター/漫画家です。

https://www.patreon.com/miyuli
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