誰でも描ける!ミニキャラ・チビキャラのコツ

キャラクターイラストをデフォルメして2~4頭身にした、ミニキャラ(SDキャラ、ちびキャラなど)を描いたことはありますか? ミニキャラにすることで、挿絵やグッズなど、キャラクターを活かせる場所の幅が広がります。今回は、誰でも簡単に作れるミニキャラの描き方とアクリルグッズを作るためのデータ準備について紹介します!

 

 

ミニキャラ、SDキャラ、ちびキャラを描く

 

ミニキャラは、SDキャラ、ちびキャラなどと言われることもありますが、通常の頭身のイラストをデフォルメにして、2~4頭身にしたイラストをさします。

 

キャラクターグッズや、ギャグテイストのとき、かわいいイメージにしたいときなどに活躍します。

 

今回は、このミニキャラの描き方について解説していきたいと思います。

ミニキャラは、描き方さえわかるようになれば普通の頭身のキャラクターよりもはるかに描きやすく、それでいてカンタンに「カワイイ」キャラクターが描けるようになります。

 

 

1. ミニキャラを描くうえで覚えておきたいこと

 

通常のキャラと2頭・3頭のミニキャラ例

●ミニキャラは同一化・画一化である

ミニキャラになると、性別の違い、顔の大きさ、身長、体型、年齢などの違いがすべて消えて、ほぼ同じに大きさになります。

そのため、6頭身の女の子でも8頭身のおじさんでも、皆等しく2~3頭身という決められた枠に当てはめて描くことになります。

 

いいかえれば、ミニキャラを描くための要素とパターンを覚えておけば、誰でもどんなキャラクターでも描けるようになります。

 

●同一からの差別化を目指す

先ほどとは逆になってしまいますが、ミニキャラは統一化から始まりますが、いろいろなキャラクターを描くためには、同じ体型からでもキャラを差別化しなければいけません。

 

それぞれのキャラクターの目立つ部分、個性的な部分(具体的には目、髪型、服装など)をより強調することで、キャラクターの個性を出す必要があります。

 

●ミニキャラはバランス

基本的にミニキャラとしてよく描かれているのは2~4頭身ですが、今回は2頭身をメインに取り上げます。

 

どの頭身が良いとかは決まっているわけではなく、自分の絵柄が2頭身に合ってる、3頭身くらいのほうが描きやすいなどで決めてかまいません。

自分が描きたいと思う頭身でミニキャラを描く練習をしましょう。

 

自分が描くときの、2頭身の場合、3頭身の場合の体バランスをおぼえておくと、すべてのキャラクターを描くときに共通になります。

 

バランスについては個人差がありますので、「3.実際に描いてみよう…体を描いてみよう」の項を参照してください。

 

 

2. 実際に描いてみよう…顔を描いてみよう

 

●顔は球体を強く意識する

それでは前置きはこの程度にして、実際にミニキャラを描いてみましょう。まずは顔からです。

 

ミニキャラを描くときにまず意識してほしいのが【丸み】と【顔は球体】ということです。

 

デフォルメというとどうしても平面的に考えて考えてしまいがちですが、アニメキャラクターのフィギュアなどの制作・販売をしている株式会社グッドスマイルカンパニーの主力商品「ねんどろいど」を見てもらえればその立体感がわかりやすいと思います。

 

とくに体のふくらみに比べて、顔がとにかく丸くて大きいのです。

普通に考えれば頭が重すぎて起き上がることもできないくらいに(笑)

 

ただ、立体感があると、ミニキャラの可愛さは抜群に上がりますので、常に意識して描いてみてください。

 

 

●顔の描き方~2頭身~

①円を描く

まずは輪郭のアタリを描きます。

先ほど述べたように、こちらは円を描けばOKです。

 

円を描く例

 

 

②輪郭を円に沿って描く

アタリで描いた円にほぼ沿うようにして輪郭をつくります。

 

通常の頭身と違うところは、ミニキャラは頬からあごにかけてのシャープさをほぼ描かないという点です。【丸み】を意識すると言いましたが、ミニキャラに尖った部位はあまりなく、尖っているところは柔らかな曲線に置き換えていきます。

 

輪郭を円に沿って描く例

 

 

③アタリを描く

目や口を描くためのアタリを描きます。

 

先ほども述べたように、【球体】を意識するために、とくにナナメの顔を描くときは直線のアタリではなく、曲線のアタリを描きます。(地球儀の緯度線経度線がイメージとしてわかりやすいと思います)ミニキャラは顔の中で目が占める割合がかなり大きいので、横のアタリはやや下のほうに入れておきます。

 

アタリを描く 例

 

 

④目と口を描く

目と口を描き入れます。ミニキャラの感情表現は主に目なので、大きくわかりやすく描きます。

 

ギャグ顔っぽい線のような目もミニキャラならなんでもありです。

口は控えめに、鼻はなくてもかまいません。あっても点で表現する程度です。

尖った部分は丸みに変更するので、鼻のような尖り部分はできるだけ排除していきます。

 

目と口を描く 例

 

 

⑤目を描きこむ

線のような目から少しきちんとした目にしてみました。

 

目を描きこむ 例

 

⑥髪を描く

髪を描きます。ミニキャラの髪はボリュームたっぷりに輪郭に乗せます。

通常の場合より、「房」の数を減らし、シンプル化します。髪先も尖りをやや柔らかくします。

 

ボリューム感のある髪を描く 例

 

 

これで顔が描けました。

通常の顔を描くときに比べて、線はできるだけシンプルに、簡略化します。

情報をできるだけ減らしつつ、特徴をしっかり残すのがミニキャラを描くときのポイントです。

 

 

横顔の例

 

横顔の場合は、球体を意識させるためにしっかり後頭部を描きましょう。

とくに横顔を描くときに難しいのは首の位置だと思います。耳の下に描き入れます。

 

 

ミニキャラ表情の例

●目が大事な情報

ミニキャラの顔の中では、目の占める割合が大きいので、目で個性や感情をしっかり表現しましょう。そのキャラクターがツリ目なのかタレ目なのか。丸い目か細長いのか。

どんな表情をするのか、目が違うだけで全然違うキャラクターにもなりますので、目が一番重要です。

 

ミニキャラならではのギャグっぽい表情なども全然ありですので、感情表現も豊かにしましょう。

ミニキャラは見た目が小さくなるのと同時に、性格や動きもやや子供っぽく表現するのがポイントです。

 

 

3. 実際に描いてみよう…体を描いてみよう

 

 

●体を描くときは骨格を無視しよう

ミニキャラの体を描くときのポイントは、【弾力性】と【骨格と関節の無視】です。

 

弾力性とはどういうことかというと、ぬいぐるみのような感覚のもちもち感、ぷにぷに感を意識します。
また、ミニキャラには骨格や関節という概念をあまり考えないほうがいいでしょう。

 

もちろん体の基本は知って描くのと知らないで描くのでは違いますが、厳格にしばられる必要はありません。
そもそも頭が大きすぎる時点で普通は体が頭を支えられないので(笑)重力などは無視して、自由に描けるのがミニキャラの良さだと思います。

 

体を描くときのポイント

 

●体の描き方

基本的に胴体と足は1:1の比率にするとバランスのよい体を描くことができます。

ただし、ミニキャラの場合はこうしないといけない!という決まりはありません。

 

胴体を長くすると、人形のような、より可愛らしいミニキャラになります。

逆に足を長くすると、同じ頭身でもやや大人っぽい雰囲気になります。

 

自分の好みで変えていいでしょう。

 

 

体の描き方例例

 

・首

首は2頭身の場合はなくなってしまうこともあります。あっても短く細くちょっとだけ描きます。

 

ミニキャラの場合、省けるところはどんどん省いていくので、首はなくても構いません。

ただし、顔と胴体がちゃんと正しいバランスでくっついているところだけは注意してください。

 

 

・肩

肩をしっかり描いてしまうと、いかつくなってしまい、ミニキャラの可愛らしさは出ません。男女ともになで肩でOKです。

 

 

・胴体

通常頭身であれば、女の子の場合は胸のふくらみがあり、お腹から腰にくびれがあり、お尻のふくらみがあり……となりますが、ミニキャラの場合はそれらの情報をばっさりとカットします。(たとえば胸の大きい女の子キャラで、胸が特徴的なら描いても良いですね)

 

胴体全体的にふくよかな感じの丸みを帯びた胴体を描きます。

 

ミニキャラは「可愛い」ことが一番のポイントです。体の凹凸などは描けば描くほど実際の体に近づいてしまうため、幼児のような体型を描きましょう。

 

・手足

あまり細すぎると幼児らしさが損なわれてしまうので、手足もやや太めで、関節や筋肉などの凹凸の情報は完全にカットします。

 

足先にかけて少し細くする……くらいの情報はあってもいいですが、足も完全に円柱のように太さが変わらない場合もありますので、自由に描いてください。

 

手や足先は、指まで描くかどうかは好みですが、2頭身の場合は手だけしっかり描いても違和感があるため、指は省略したり、親指とその他の4つの指をまとめて描く、くらいにするのがいいでしょう。
3頭身くらいになれば、手も指までしっかり描いても良いと思います。

 

※3頭身の体を描く場合、2頭身のときに比べて少し体の凹凸を描くといいでしょう。

特に胸、腰、お尻などの曲線を描くことで、2頭身のときよりは大人っぽく描くことができます。

 

 

4. 個性を加えよう

 

●個性の巨大化と強調を加えていく

1人のミニキャラが描けるようになれば、そのキャラクターの特徴が出ている箇所をよりボリュームアップして描いてみましょう。

 

ミニキャラはどのキャラも同じ体型になっているため、キャラの差別化がしにくく、ぱっと見わかりにくくなってしまいます。
ではどこでキャラの違いを描き分けるのか? それはずばり、キャラの特徴を誇張して描くことです。

 

キャラの特徴を誇張して描く 例

 

 

眼鏡キャラなら眼鏡を大きく、長髪キャラならよりロングに、服装についても、そのキャラクター特有のアイテムなどをより大きく描きます。

 

こうすることで、いろんなキャラクターを描いてもきちんと描き分けできるようになります。

 

とくにボリュームアップしやすいのは髪です。

髪の量を増やしたり、重力に逆らってみたり、キャラクターの髪型をより特徴的にすると、わかりやすく変化します。

 

 

5. アクリルグッズの作り方

 

同人誌を作るのは敷居が高いし、漫画を描くのは苦手。

でも同人活動をしてみたい……という人は、同人グッズ制作からまずは初めてみるのはいかがでしょうか。

 

今回は、同人グッズの中でも、比較的簡単に作れてしかもミニキャラだとよりカワイイ!

アクリルキーホルダー・アクキーのデータの作り方についてご紹介します。

(アクリルスタンドなど、アクリル系グッズは基本的に同じ作り方でOKです)

 

 

アクリルグッズの作り方 例

 

 

 

アクリルキーホルダー・アクキーを作るときに必要なデータは3つ。

この3つのデータをそれぞれレイヤー分けして、1つのデータにまとめて入稿します。

 

  • イラストデータ
  • 白押さえデータ
  • カッティング指示データ

 

この3つのデータをそれぞれレイヤーごとに分けて、印刷所の指定するテンプレートに貼りつけて入稿します。

 

・イラストデータ

自分の作りたいデータで大丈夫です。

中央上部にチェーンを通すための穴を指示しておきます。

その部分には基本的にはイラストがかからないようにしましょう。

 

・白押さえデータ
イラストの地になるデータです。

この白押さえがないと、透明なアクリル板の上にイラストが載ってしまうので、絵が見えにくく、色合いなども薄目に感じてしまいます。

自分のイラストをしっかり見せたいなら、白押さえデータを作ったほうがいいでしょう。

 

作り方は簡単で、イラストのレイヤーを複製し、それを黒に塗りつぶせば完成です。

基本的にはイラストの下に敷くものなので、イラストと同じ形に塗りつぶされたデータがあればOKです。
背景など一部分を透明に見せたいという場合は、そこの部分だけ塗らないようにしましょう。

 

・カッティングデータ
これはアクリル板をどういう形に切り取るかを指定するデータになります。

色は黒一色で構いません。イラストを一回り大きく囲むように塗りつぶします。

あまり複雑なラインだとカットできないこともあるので、その点だけ注意です。

 

カッティングデータの作り方

 

アクリルキーホルダーを作ることができたら、あとは他のアクリルグッズも同様に作成できます。

それぞれのサイズのみきちんと把握しておきましょう。

 

 

 

 

いかがだったでしょうか。

最初にも述べたとおり、ミニキャラは1人描けるようになれば、あとは同じ体型でいろいろなキャラを描くことができるため、顔の描き方、体のバランスなどをテンプレート化して描けるようになります。

 

あとは、同じベースから髪型、目、服装などで個性を加えていけば、差別化もしっかりできます。

また、ポーズについても、ミニキャラには重力などは関係ないので、気にせずいろんなポーズを描くことができます。

ちょっと無理のある姿勢でも、ミニキャラなら「可愛さ優先」で描いていくことが大事です。

 

 

(執筆・イラスト:ときお)
(制作:株式会社ビーコム)

 

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