『リクドウ』に学ぶ!読者をノックアウトする話の見せ方

『リクドウ』に学ぶ、話の見せ方

作品の魅力を誰よりも知り尽くしている編集者が、連載作品の「ここがすごい!」を分析する本企画。毎週読者をノックアウトする熱量で大好評連載中の『リクドウ』から、読者を魅了する重厚でインパクトのある漫画作りの秘訣を大解説!! ※ヤングジャンプ新人漫画賞「シンマン賞」人気企画からの特別掲載!!

 

「1話」はこうして生まれる

 

まず最初に話のメイン(一番伝えたい部分)をシンプルに絞りこみ、やるべき話をきめます。

 

『リクドウ』は毎週18Pというページ数ですが、まずはやりたいことにブレーキをかけず18Pを少しオーバーするくらいで話を考えます。

 

その際に、話のメインを際立たせるため、メインの部分が“ホップステップジャンプ”の“ジャン プ”だとします。

 

そうすると、メインとなる部分までのページがそのための“ホップステップ”となるように話を作らないと成立しないので、メインに向けての助走となるように話の流れを形作ります。

 

こうして18Pを超えるネームを作った後に、最終的にメインの邪魔になってしまう部分やこの回でなくてもできそうな部分を削ります。

 

松原流アドバイス!!

読み切りで話を作れない場合、似た題材の漫画をプロットに分解して自分の設定を当てはめてみるとページ配分や設定の見せ方がわかってくるはずです。

 

また、主人公が話の中で一番の存在であるべきなので、他のキャラをどう動かしたら主人公が輝くかを意識して話を作ると良いと思います。

 

 

話の見せ方

 

読みにくくならないように、セリフで説明する部分をキャラの表情や仕草で補えるようにして文字を読むストレスをなくせるようにしてい ます。

 

また、ページを見開きで見て左下がクエスチョン、めくった次のページの右上がアンサーとなるように「めくり」の部分を意識して話を作るように心掛けています。

 

読者のストレスを軽減して、ワクワクを生み出すために大切なことだと思っています。

 

次週への引きは自分が読みたくなるようなものを考えています。

自分の漫画を最初に読む人は自分なので、自分が面白い・読みたいと思えるような作品作りをすると良いと思います。

 

▲視線や体の動き、効果音だけで場の緊迫感を表している。まるで自分が戦っているかのようなドキドキを与えてくる。

 

 

毎週の見せ場

 

まずは自分が一番スカッと気持ちよくなるシーンを作るように心掛けています。

 

また、キャラの感情が高まる・強まる瞬間をしっかりと見せられるようにしています。

例えばボクシングの試合であればキメのパンチのシーン、人間ドラマであればキャラが何かを決断する時や意思表示の瞬間などです。

 

これらをメインとする際に、話の流れが平坦にならないように、しっかりメインが際立つように展開に緩急を付けるようにしています。

 

▲神代の渾身の一撃をこれでもかという迫力で描いている一枚。瞳の動きや汗の飛び方とド迫力で描くのが松原流!

 

 

まとめ

 

 

 

〈作者紹介〉

■松原利光

ヤングジャンプ月例賞にて『GUN BEAT』で期待賞、『領域の守護神』で奨励賞+月間ベスト賞+審査員特別賞を受賞。
増刊ミラクルジャンプにて複数の読切作品を掲載後、2014年からヤングジャンプで『リクドウ』を連載開始。
圧巻の戦闘描写、心を抉る強烈な人間の生き様が好評を博している。

 

※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』「リクドウ」の第1週「毎週、重厚でインパクトのある話を作られていますが、どのように話を考えているのですか?」を特別掲載しました。

 

第2週~第3週でも引き続き担当編集者が「リクドウのここがすごい!!」を解説します。気になる続きはhttp://youngjump.jp/shinman/)をチェック!

リクドウのここがすごい!!

シンマン賞特別企画 『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』

(第47回 審査員:松原利光)

(C)松原利光/集英社

 

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