『ライカンスロープ冒険保険』に学ぶ!見てスグわかるキャラクター作りのコツ
作品の魅力を誰よりも知り尽くしている編集者が、連載作品の「ここがすごい!」を分析する本企画。「ファンタジー×保険」の異色の世界観『ライカンスロープ冒険保険』に秘められた漫画作りのコツを大解説!※ヤングジャンプ新人漫画賞「シンマン賞」人気企画からの特別掲載!!
キャラクター作りのコツ!
Q.いわゆる「シルエットでわかる」といわれる特徴的かつ親しみやすいキャラクターは、『ライカンスロープ冒険保険』の大きな魅力!そのコツをぜひ教えてください!
A.「見てスグわかるキャラクターを!」
初めて見る人を意識することです。
シルエットでどんなキャラか、他のキャラとどう違うのか、外見から内面を表現する工夫をしてきました。
なのでキャラを作る際には、先に内面を決めて、それを反映させています。
『ライカンスロープ冒険保険』の社長と部長だと、最初に男女のバディ物というのが決まりました。そこで意識したのは二人の対比です。
そこで、獣っぽく活発で闘う部下の女の子と、真面目で穏やかな魔法を使う上司の男の子になりました。
そこから、上司でしっかりモノだから髪はまとめてメガネを掛けて、いいかげんな部下は髪も自由な感じで、とい う風に外見を作っていきます。
▲対照的な二人の初登場シーン。
セリフ・服装・髪型・表情など、そのキャラクターの内面を表す対比になっている!
キャラのバックボーンを決め、それに合わせて衣装やヴィジュアルができていく。
そして対比によって、それぞれの良さを際立たせるようにしています。
▲わかりやすいキャラ作りと対比を心掛けることで、デフォルメされていてもこのシーンだけで、性格や関係性が非常によくわかる。
ヴィジュアルで一番大事なのは、それが魅力的かつ見たことないものか、です。
少し抽象的な表現ですが、具体的には本や映画、他の漫画などを見て流行っているものを取り入れながらも、その時にない新しさを探します。
例えば部長の場合は、当時ハマっていた『スプラトゥーン』からも発想を得ています。
▲スライムになる部長。
『スプラトゥーン』から「溶ける」という要素を抽出し、独自のものとして取り入れている。
気をつけているのは、読者が受け入れやすい新鮮さかどうかです。
ただ斬新なだけだと、読者にはわかってもらえません。独り善がりが一番ダメですね。
流行りものから、なぜそれが受け入れられているのか要素を分析し、 その中から自分の好きなものを抽出することで、オ リジナリティが生まれるんだと思います。
人間観察や日々の蓄積がないとキャラクターは作れないと思います。
▲ビジュアルを考えるときは、並んだ時にカッコいいかも重要だ!
まとめ
〈作者紹介〉
■西義之
東京都出身。
2004年、週刊少年ジャンプにて『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』の連載し好評を博す。
2016年~2017年まで週刊ヤングジャンプにて 『ライカンスロープ冒険保険』を連載。
※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』「ライカンスロープ冒険保険」の第1週「キャラクター作りのコツ!」を特別掲載しました。
第2週~第4週でも引き続き担当編集者が「ライカンスロープ冒険保険のここがすごい!!」を解説します。気になる続きは(http://youngjump.jp/shinman/)をチェック!
シンマン賞特別企画 『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』
(第46回 審査員:西義之)
(C)西義之/集英社