【BUNGO-ブンゴ-を追え!!】スポーツ漫画の極意を発掘
作品の魅力を誰よりも知り尽くしている編集者が、連載作品の「ここがすごい!」を分析する本企画。週刊ヤングジャンプで大人気野球漫画、二宮裕次先生の『BUNGO-ブンゴ-』を週刊ヤングジャンプ編集者が徹底分析!野球だけでなく全てのスポーツにも応用できる極意を解き明かす! ※ヤングジャンプ新人漫画賞「シンマン賞」人気企画からの特別掲載!!
野球オタク編集分析録【BUNGO-ブンゴ-を追え!!】
野球に目がない編集Hが、ありったけの愛と野球知識で『BUNGO―ブンゴ―』を分析!
野球だけではなく全てのスポーツ漫画に応用可能な極意を発掘していくッ!!!
第1回:数字を追え!!「35」
ブンゴ 静央シニア入団当初の“野球偏差値”
▲大学受験などでおなじみの“偏差値”。
静央シニア3年・水嶋廣人が後輩に説いた指標「野球偏差値」。
全国ベスト8の静央シニアでレギュラーになれば野球偏差値65、強豪校2~3校から特待生の勧誘が来ると想定される尺度だ。
ブンゴが静央シニアに入団した当時の偏差値は「35」(水嶋調べ)。
まだブンゴが静央シニアのレギュラーには程遠いことが、野球をやっていない者にもわかるだろう。
第2回:数字を追え!!「110」
連載第1話当時のブンゴの “球速”
第1話、つまり中学入学前、ブンゴ初実戦(打者との対戦)時の球速。
少年野球・中学野球の経験者でなければピンと来ないかもしれないが、「110」キロはこの年齢としてはかなりのものである。
野球経験者にとっても非現実的すぎず、リアリティのある数字でブンゴの才能の片鱗を示している。
▲記念すべきブンゴの初対戦はU12日本代表・野田!
第3回:数字を追え!!「62」
中学3年4月時点の鮎川瑛太“特待生勧誘”高校数
ブンゴを押しのけ静央シニアのエースとなった鮎川瑛太。
多くの野球強豪高校から注目を集める彼を勧誘する高校の数はなんと「62」校。
そして怪物“文句なしの超有望株”などと称される野田幸雄は、作中最多100校以上の勧誘が!
この数字で、一目で選手としての格・スゴさを把握することができる。
▲高校野球の超名門、翔西大翔西高校部長・西内も「シニアリーグで5指に入る選手」と評価する天才・野田。
結論
具体的な数字を持ち出すことで、
①経験者も納得できるリアリティをもたせ
②競技に詳しくない読者も理解できる
ものになっている。
『テラフォーマーズ』のマーズランキング、『東京喰種』のグールレートなどと同じように、
数字が客観的に読者に凄さを伝える尺度になっているのがわかるだろう。
リアリティを生み出すだけでなく、競技に詳しくない読者でもとっつきやすい作品にするべく、
具体的な数字を上手に用いるのは極意の一つと言える。
二宮裕次先生コメント
球速については、自分の経験・体感で「110km/hは早いな」と思っていました。
球速に限らず実際どのくらいか調べて、具体的な数字を出していますね。
〈作者紹介〉
愛知県出身。
2015年から週刊ヤングジャンプで大人気野球漫画『BUNGO―ブンゴ―』を連載。
先生の野球少年時代のエピソードは単行本おまけページに掲載されている。
※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』「BUNGO―ブンゴ―」の第1週:数字を追え!!を特別掲載しました。
第2週~第4週でも引き続き担当編集者が「BUNGO―ブンゴ―のここがすごい!!」を解説します。気になる続きは(http://youngjump.jp/shinman/)をチェック!
シンマン賞特別企画 『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』
(第44回 審査員:二宮裕次)
(C)二宮裕次/集英社