ユニットイラストを魅力的に見せる「ベクトル」「面」「球体」エフェクト

ユニットイラストのエフェクトを攻略!

「ゲームのようなカッコいいキャラ絵(ユニットイラスト)を描きたい!」 そんな人は迫力のあるエフェクトを入れてキャラの魅力を引き出しましょう。 今回はエフェクトの入れ方と効果的な見せ方についてパターン別にご紹介します。

 

近年、モバイルゲームを中心に流行している「ユニット(フィギュア)イラスト」。
画面全体に収まるようなキャラクターイラストと、その周囲をエフェクトで演出しているのが特徴です。

 

 

モバイルゲームでは小さな画面内で訴求力が高いイラストが求められているため、豪華さを演出する構図や見せ方ができる制作技術が必要です。
しかし、いざユニットイラストを描く機会が訪れても、どのようにエフェクトを画面の中に入れればいいのか悩む方も多いのではないでしょうか。

 

 

エフェクトのパターンを覚えよう

 

ユニットで使われるエフェクトは大きく分けると、

 

  • ベクトル
  • 球体

 

といったパターンの組み合わせで描かれています。

 

大ラフの段階でこれらを組み合わせてエフェクトのアウトラインを取ると、描画イメージがしやすく、構図をまとめやすくなります。

 

それではよく使われている各パターンの特徴を押さえましょう。

 

 

ベクトル型

 

 

ベクトルとは「動きを可視化した矢印」を指します。

 

中空に浮いているエフェクトは、周りの力や空気の流れに沿ってその形を変えているので、ベクトルを意識することでエフェクトの「流れ・動き」が分かりやすくなります。

 

線で表現しても良いですが、ある程度、立体感ある矢印で描くことで、より立体的なエフェクトをイメージできます。

 

 

では、実際にユニットイラストではどのようにベクトルを入れていくべきでしょうか?

 

もちろんユニットのポージングによって入れ方は変化していきますが、基本的には「どこから力や動きが発生しているのか?」という点に着目し、そこを始点、あるいは収束点として考えながらベクトルを配置していくと、構図のまとまりの良いエフェクトとなります。

 

ベクトル状のエフェクトには視線の流れを誘導する効果が強いため、エフェクトを上手く配置することで、素体のみのキャライラスト以上に、魅力的に見せたいポイントをアピールできます。

 

ユニットのエフェクトには以下の3種類のベクトルが多く使われています。

 

 

■放射・収束

 

 

キャラクターのキー動作など、何らかの力の発生源を中心に放射または収束するエフェクトです。
強く突き出された拳の周りのエフェクトや、足元から放たれる衝撃波を描くときは放射を意識すると描きやすくなります。

 

他にもキャラの背面に集中線のように配置するといった見せ方もあり、少年漫画の決めシーンのような雰囲気を演出できる働きがあります。

 

 

■渦巻き・らせん

 

 

キャラクター全体やパーツを取り巻くような流れのエフェクトです。
空間・余白部分の空気の流れを表現する際に使用されます。
放射・収束と比べて曲線が多くなり、エレガントな表現になるので、女性キャラのような柔らかいキャラクターと相性の良いです。

 

 

■軌道

 

 

 

キャラクターの動きに追随するエフェクトです。
例えば、刀を切り下ろす動作や、ミサイルが発射されている動作にエフェクトを追随させることで物体の動きが伝わり、画面にリズム感を生ませたり、ダイナミックな表現に出来る効果があります。

 

 

▲画面にリズム感が生まれる

 

 

面型

 

 

平面または曲面といった様々な面を表現するエフェクトです。
魔法陣やSFっぽい世界で宙に浮いている半透明なモニタなどで使われています。
「何もない余白」に「空間らしさ」を与えることもできる為、パース感に注意して入れることがポイントです。

 

現実世界では自然発生的に存在することがほとんどない形が多いので、「非日常感」あるいは「人工物・近未来感」を引き立てることが多いです。

 

面の表現は空間に静的な印象を与え、「シールド」、「バリア」の表現にも使用できます。

 

 

球体型

 

 

エネルギー球などのエフェクトです。
単体で存在感がありますので、単体のエフェクトとしてはあまり使いません。
使う場合は、アイテムやオブジェクトのような認識で扱うと効果的です。

 

通常のアイテムとの大きな差は、「何らかのエネルギーが収束している」球体であるということでしょう。

 

ベクトルや平面エフェクト以上に、エフェクトから感じられるエネルギー総量が多く見えるため、収束するベクトル表現と組み合わせたり、発光が起こっているような演出をしても効果的です。

 

ライティングによっても、ユニットイラストの存在感は大きく変わって来るので、球体型エフェクトを入れる際は意識してみてはいかがでしょうか。

 

 

エフェクトを組み合わせて効果的な演出に

 

ベクトル

球体

 

エフェクトを組み合わせることで多彩な演出パターンが作れます。

 

 

上記を踏まえたうえで、このイラストを見てみましょう。

 

ベクトルの収束と球体を組み合わせたエフェクトです。
手から放たれるエネルギー体の周りに、キャラクターの体側からのベクトルエフェクトをつけることで、手元への視線誘導がされています。

 

球体エフェクトを大きな光源に設定することで、より手元にエネルギーが集まっている演出になっていますね。

 

 

こちらは軌道のエフェクトと背面に絵の具のような面エフェクトを配置した組み合わせです。

 

人物の背面からの軌道により、躍動感、奥行きが生まれています。また、背面の面エフェクトの絵の具で「絵を描く」キャラらしい印象と、広がりすぎている空間をまとめる演出になっています。

 

 

空間にエフェクトを入れていくイメージがつかめたでしょうか?
いくつかの要素の組み合わせによるイメージがつかめたら、更にここから、構図や、エフェクトによる視線の誘導を意識すると魅力的なユニットイラストが作れると思います。

 

 

※本記事は、『いちあっぷ』(https://ichi-up.net/)から提供いただきました。

『いちあっぷ』は、プロの現場で生まれた”イラストの描き方講座”です。イラスト製作のノウハウやコツを、画像付きで分かりやすくお届けしています。

 

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