【デジタル】漫画を描く道具をそろえよう!【アナログ】
これからマンガを描きたいけど、どんなものを買えばよいかわからない、また、どのくらいお金が必要なのか知りたい……そんな方のために、漫画の道具についてご紹介します。 近年では、パソコンで作画する人も増えてきています。アナログとデジタルではコスト面でどのような違いがあるのか。そんなところにも注目してみたいと思います。
(注)記事内に記載されている値段はあくまで参考価格です。ご了承ください。
従来のマンガ道具<アナログ>
アナログでマンガを描くときには、ペン、インク、原稿用紙、定規などが必要です。ほかにも場合によってトーン、カッター、雲形定規なども用意する必要があります。
■つけペン
「つけペン」は金属でできたペン先のことで、「ペン軸」に挿し、先にインクをつけて使います。「Gペン」「カブラペン」「丸ペン」など、さまざまな種類があります。
つけペンは消耗品なのでペン先がへたってきたら取り替えます。1本単位で購入できますが、10本、100本とまとめて売ってあることも多いです。
Gペンが人気ですが、画風によって使いやすいペンも違ってくるでしょう。
一概には言えませんが少年漫画によく見るような、線の強弱をつけた太めのラインはGペンを使っていることが多いようです。Gペンは筆圧次第で細い線も引けるため、少女漫画でもよく使われています。
カブラペンは均一な線を引きやすく、丸ペンは細い線を描きやすいペンです。主線はGペン、細部は丸ペンといったように、ペンを使い分けて使ったりもします。
Gペン、カブラペン、丸ペンなどを1本づつ買って試してみるとよいと思います。
新品のペンは使用前に拭かないとインクをはじく場合があります。ペンを拭くための布などを用意しておくと安心です。
ペン先1本あたり……80~100円 ※複数必要
■ペン軸
「ペン軸」は木製やプラスチック製のものなどがあり、中にはグリップ部分がゴムやコルク製のものなども売っています。壊さない限りずっと使えるものなので、自分の手に合ったものが見つかったら大事に使い続けたいところです。
ペン軸……100~500円
■インク
つけペンを使って絵を描くためにはインクが必要です。「漫画用インク」はもちろんですが、「製図用インク」、「証券用インク」も問題なく使えます。習字に使う墨汁でも大丈夫です。
インク……500~700円
■ミリペン
ミリペンは、絵を描くためのサインペンで、ドローイングペンと呼ばれることもあります。
コマの枠線や効果線などを引くときに使われることが多いようです。人によってはつけペンを使わずミリペンだけで作画することもあります。
太さが選べるので、何本か太さの違うものを用意する必要があります。たとえば枠線用では0.8ミリが人気です。0.1、0.3、0.5、0.8あたりを揃えておくとよいでしょう。
ミリペンも使っていると先のほうがすり減ります。描きづらくなったら取り替えが必要な消耗品です。
ミリペン……1本 200~300円 ※複数必要
■原稿用紙
本来なら、ケント紙や上質紙など、ペンがひっかからないような紙であればなんでもよいのですが、市販のマンガ原稿用紙は、コマを入れる基本の枠や、印刷するときの仕上がり線、目盛りなどがガイドとして印されているので便利です。
B4サイズが投稿用で、プロが一般的に使うサイズ。A4サイズが同人誌用です。
マンガ用原稿用紙……40枚入りで500~600円
■スクリーントーン
白と黒しかないモノクロ原稿で中間色などを表現するときは、スクリーントーンというシール状の透明なシートを原稿用紙に貼ります。
やや高価なため種類を揃えると費用がかさみます(作風によりますが30~50種類を使う人も珍しくありません)。
スクリーントーンを切ったりけずったりするカッターも必要です。
予算に余裕があれば、「トーンナイフ」(カッターより細かい作業がやりやすい)やトーンを貼るための「ヘラ」もあると便利です。
スクリーントーン……1枚300~500円 ※複数必要
カッター……100円~
トーンナイフ……500~600円
トーンヘラ……200~300円
■定規
マンガの枠線や背景を描く際には30センチ以上の長めの定規が必要です。
また、必ず必要というわけではないですが、さまざまな曲線を引ける雲型定規、円や楕円がキレイに描ける円テンプレートなどもあると便利です。
カッター用に金属製の定規を用意するのもよいでしょう。
30センチ定規……100~500円
雲形定規・円テンプレート……400~1000円
■修正液
ペン入れした線の修正をするためには修正液が必要です。また、ベタの中の白い線や瞳のハイライトなどに使う場合もあります。
ペンタイプの修正液、蓋が刷毛になっている修正液などがあります。
ペンタイプの修正液……200~500円
蓋が刷毛になっている修正液……400~600円
■羽ぼうき
下描きを消した消しカスは、手ではらうと、時間がかかる上に手の油が原稿につき、インクの乗りが悪くなってしまいます。
羽ぼうきや製図用ブラシだと、さっと消しカスをはらえて、原稿も痛めないのでとても便利です。
羽ぼうき・製図用ブラシ……500~1000円
■トレス台
写真を使って背景を描く場合などには、トレス台(ライトボックス)が大変便利です。
裏から光を当てて原稿を透かしトレスするものです。
マンガの投稿用原稿用紙はB4なため、大きなサイズのものが必要です。
ライトボックス(A3)……5000~10,000円
パソコンでマンガを描く<デジタル>
デジタル作画でマンガを描くならパソコン、ソフトウェア、ペンタブレットが必要です。逆に言えばそれだけあれば十分です。
■パソコン
これからマンガを描くためにパソコンを買う予定の方は、使いたいペイントソフトに対応した、なるべく快適に作業できるものを選びましょう。メモリ容量の大きいものほど高価になりますが、快適に作業できます。
メモリは2GBが必須。4GB以上あれば問題なく作業できると思います。
モニタは解像度(画面の精細さを表す)がWXGA(1280×768)以上のものを用意するとよいでしょう。
メモリ4GBのパソコン ……4万円~
その他、パソコン環境についてはこちらの記事をご覧ください。
■ソフトウェア
デジタルの場合、ペン、原稿用紙、定規、トーン……といった作画の道具は、ソフトにすべて入っています。
○CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)
デジタルでマンガを描くことができるソフトはいくつかありますが、マンガを描く機能に特化しているソフトといばCLIP STUDIO PAINT(クリスタ)です。
カラーイラストなども作成できるお絵描きソフトで、マンガを描くための機能が充実しています。アナログと同じ「Gペン」等の書き味が再現できるペン設定が入っており、無料でいくらでも使えるトーン、建物の描画を補助してくれるパース定規、3Dモデルによる作画支援機能など非常に多機能です。
グレードはCLIP STUDIO PAINT PROと、上位版のCLIP STUDIO PAINT EXが販売されています。PRO版でも十分に使えますが、EX版では複数ページを管理できる機能、線画抽出機能などが備わっており、よりマンガ制作をフォローするグレードだと考えてよいでしょう。
初回申込みから最大3ヶ月無料なので、是非お試しください。
CLIP STUDIO PAINT PRO
月額利用版:税込240円/月~ ※初回申込から最大3ヶ月間無料
CLIP STUDIO PAINT EX
月額利用プラン:650円/月~ ※初回申込から最大3ヶ月間無料
○Photoshop
Adobe社が開発したPhotoshopはとても知名度のある画像編集ソフトで、本来は写真などの画像を加工することを得意としていますが、非常に多機能でブラシツールも豊富なので、マンガ制作にも使えます。
デジタルで作画をする漫画家が登場し始めた頃は、プロがよく使っていました。いまでも画像処理に使っている漫画家は多いと思います。
ただし、高価なソフトなのでアマチュアには手が出しづらいのが難点。また、マンガ制作用のツールなどは備わっていない(たとえばコマ割り機能などはない)ので、自分で工夫して使う必要があります。
最新バージョンはPhotoshop CCといい、月々決まった料金を支払って使用する権利を取得する料金形態です。
Adobe Photoshop CC (デザイナー向け単体プラン):月々2,728円
※2023年4月現在、「Creative Cloudフォトプラン」(月々2,178円)があり、単体プランより安価にPhotoshop CCが使えます。
○MediBangPaint Pro
MediBangPaint Pro(メディバンペイント)は、マンガ制作が可能な無料のペイントツールで、ペンツール、トーンなどが使え、コマ割り機能も備わっています。
無料のアプリなのでクリップスタジオほど多機能ではありませんが、手ブレ補正などもあり、カラーイラストも描けます。
パソコンでも使えるほか、iPoneやiPadなどのモバイル端末でも使えるのが特徴的です。
パソコン版とモバイル版では機能や保存できる形式が異なりますので、よく確認しておきましょう。
MediBangPaint Pro:無料
その他、お絵かきソフトについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【2023年のおすすめはこれ!】最新お絵描きアプリ・ソフト比較【有料/無料】
■ペンタブレット
パソコンやソフトのほかに必要なのが、ペンタブレット、略して「ペンタブ」です。
ペンタブは、板状のタブレットとペン型の装置でイラストを描けるパソコンの周辺機器です。これは通称「板タブ」と呼ばれたりします。
ペンタブは必ず筆圧感知できるものを選びます。なぜなら、クリップスタジオのようなソフトは、繊細なペンタッチを反映します。
そのため筆圧感知できるタイプのものを選ばないと、ソフトの機能を十分に使用できません。
初心者向けとしては、ペンタブのシェアがNo.1のWacom社から販売されているOne by Wacomがおすすめです。One by Wacom には、マンガやイラストを描くためのソフト「CLIP STUDIO PAINT PRO(3ヶ月ライセンス)」が付いてくるため、すぐに本格的なお絵描きが始められます。
液晶タブレット、通称「液タブ」という入力装置もあります。液タブは、直接画面に描画するように操作できるためとても便利なのですが、板タブに比べて高価なのがネックです。
ちなみにペンタブレットの芯も、摩擦ですり減っていくので交換が必要です。アナログのペン先ほど頻繁に交換しなくても大丈夫です(1作品描くと替える人、何年も替えない人と、替え時は人によってさまざまです)。
・ペンタブレット
One by Wacom small ……6,380円~ (2023年4月時点)
Wacom Intuos Small ベーシック …… 9,350 円~ (2023年4月時点)
・液晶タブレット
Wacom One 液晶ペンタブレット13 ……42,900円~ (2023年4月時点)
替え芯 5本セットで1,408円~
その他、ペンタブレットの種類について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
どこで買うの?
アナログの漫画道具は、画材屋さんや文房具屋さんで売っています。
デジタルの場合は、パソコンを扱う家電量販店などで、ソフトウェアのパッケージ版やペンタブレットを販売しています。
※ただし、ダウンロード版のソフトウェアはウェブでしか買えません。
近所にお店がない場合は、ウェブを利用するとよいでしょう。ソフトウェアの名前で検索します。
必要最低限これだけあれば投稿マンガが描ける
マンガを描くために、いくらくらいの予算が必要か、試しに計算してみましょう。
アナログなら数本のペン先(仮に5本とします)、原稿用紙、インク、修正液、定規を用意します。
トーンをどのくらい使うかは画風によるので、絶対必要な枚数はいいづらいので、ここでは5枚としておきましょう。
すると、およその計算で3600円になりました。
トーンの枚数を減らしても3000円くらいは必要なようです。
<アナログのマンガ道具必要予算>
ペン (80×5)400円
原稿用紙 500円
インク 500円
修正液 200円
定規 500円
トーン (300×5)1500円
——————————–
合計 3600円
デジタルの場合、仮にパソコンを持っている方が、CLIP STUDIO PAINT PROダウンロード版とペンタブ(One by Wacom small)を揃えるとすると、11,380円くらいです。
<デジタルの漫画道具必要予算>
ソフト 5000円
ペンタブ 6,380円
——————————–
合計 11,380円
アナログ画材だと、初期費用はそんなにかかりませんが、ペン先・用紙・トーン・インク等、消耗品が多く、随時買い足す必要があります。アナログならまずペン、原稿用紙、定規を揃えて、必要に応じてトーンなどを買い足していきましょう。
デジタル画材は、パソコン、ソフトウェア、ペンタブレットがあれば、道具を買い足すことがほとんどないのがよいですね。
プロはアナログとデジタルどちらが多いの?
プロはどのくらいデジタル環境を使っているのでしょう。
こちらの記事のアンケートによると、プロの7割が「全てデジタル」と回答しているようです。またアナログとデジタルを併用した「一部デジタル」の漫画家も全体の27%とかなりの割合でいることもわかりました。
■プロ漫画家の7割がフルデジタル!?-漫画家デジタル制作実態調査アンケート(漫画家編)
https://mannavi.net/2178/
このアンケート結果を見ると、デジタルの恩恵を最も享受しているのはプロの漫画家だということがわかります。「デジタル制作を始めた理由」で「コスト削減」という回答が一番多いのも気になるところです。
初期費用はかかりますが、長い目でみるとペン先やトーンなどを買い足す必要のないデジタルのほうがコストを抑えられるのでしょう。
また、これだけデジタルが普及している理由としては、作業環境の効率化も大きいようです。
よく聞くのは「トーンの処理が早い・ラク」「ベタがラク」「修正がラク」「消しゴムかけの手間がない」といった意見です。
現在のマンガ制作においてデジタル(パソコン、ソフト、ペンタブ)は、なくてはならないものになっているのかもしれません。
まとめ
アナログ・デジタルそれぞれの道具の特徴・コストについて述べてきましたが、いかがだったでしょうか。
昨今ではデジタル派がかなり優勢のようですが、伝統的なアナログの道具を使ってみたい初心者の方もいるでしょうし、ペン入れはアナログで行いたいこだわり派の方も多いでしょう。
ベタやトーンなどの仕上げ処理のみデジタルで行うなど、アナログとデジタルを両方使う選択肢も当然あります。本当に人それぞれです。
自分に合ったスタイルでマンガ制作を楽しみましょう!
〈イラスト:みじんコ王国〉
〈執筆:みじんコ王国〉
〈制作:株式会社サイドランチ〉
イラストやカラー扉を描く道具についてはこちらの記事で紹介しています。