マンガのネーム作りの秘訣に迫る『干物妹!うまるちゃん』のココがスゴイ!

ヤングジャンプの大人気作品である、“癒し系兄妹コミック”『干物妹!うまるちゃん』(※ただいま、続編となる「干物妹!うまるちゃんG」が同誌で絶賛連載中)。その著者であるサンカクヘッド先生に直撃インタビュー!「ネーム作り」について伺いました!ヤンジャン新人漫画賞「シンマン賞」人気企画から特別掲載!!

 

ネーム作りの秘訣に迫るよ!お兄ちゃん!

 

――毎週、新しい作品を届けてくれるサンカク先生。

 

ネーム作りはまずテーマを考えます。タイトル から。

 

今回であれば『会議』、うまるがお兄ちゃんについて会議するとか、初めはざっくりと。

そこから『何会議にしよう』『何を読者に伝えよう』と考え、『●●をさせる』と決めてから、最後は兄妹愛に持っていきますね。

 

まず出来事があって、最終的には『兄妹愛』につながるように。

 

 

担当者の「ココがすごい!」①

興味を引く導入作り。「何の話だ?」と読者を引き込むつくりになっている。

▼興味を引く導入作り

 

 

――なるほど。出来事から、最終的には兄妹愛に。

 

読んでいて、『ああ、この兄妹ってすごく仲良いなあ』と思ってもらいたくて。

 

この回だと、うまるちゃんは”どのお菓子を買おうかな”と脳内で自分と対話しているんです。

が、最終的にはお兄ちゃんのためにお菓子を選んでいたわけです。

 

 

――テクニックとして一見、自分のお菓子を選んでいるように見せて…という狙いでしょうか?

 

テクニックではないですが、まず、うまるちゃんの読者さんって何が読みたいかな、という原点からの逆算です。

 

“兄妹っていいなあ””うまるちゃん可愛いなあ”のどちらかに着地するようにしています。

何か今回はちょっと変わった話だなあ、と思っていたらやっぱりそのどちらかだった!みたいな。

 

 

担当者の「ココがすごい!」②

冒頭1、2ページ目で、兄・タイヘイとうまるが今回のテーマ「会議」を始める流れに。

誰しもいろいろな自分を抱え、悩む。

読者の共感を呼ぶキャラの見せ方に注目。

 

▼共感できるキャラ見せ方

 

冒頭1,2ページ目で兄・タイヘイとうまるが今回のテーマ「会議」を始める流れに。

誰しも色々な自分を抱え、悩む

読者の共感を呼ぶキャラの見せ方に注目。

 

 

 

――週刊連載作品=毎週新しいネタが必要ですよね。被ったりすることも?

 

テーマ選びには苦労しますね…。一番大変です。(笑)

この記事に掲載しているネームは第60回のものなんですけど、今…170回を越えているので、これまでの170回と違うのをやらないといけない。

 

担当さんと毎回『次、何にしましょうか』と打ち合わせするんですけど、大抵はもうやってたりします。(苦笑)

 

 

――170回ですものね。

 

そうなんです。ちなみに『うまるちゃん』では季節をリアルタイムにしていますが、もう三年やっているので、まぁ『クリスマス』とか『七夕』とか被るんですよね。(笑)

 

でも、同じネタだとつまらないので、違う視点から描くようにしています。

 

一回目のクリスマスではうまるは家にいて、きりえとお兄ちゃんが祝ってくれるんですよ。

みんなでケーキを食べるみたいな。

 

で、二回目はシルフィンの家でクリスマスパーティ。

三回目は家も友達もやったので、海老名ちゃんとうまるで、お兄ちゃんのクリスマスプレゼントを買いに行く。

友達がきてくれた⇒友達の家でクリスマスパーティをやるのが楽しい⇒友達とお兄ちゃんのクリスマスプレゼントを買いに行く

…と読み味を変えています。

 

 

――このネームで一番気に入っているシーン・コマはどこですか?

 

偽うまるですね。

何か…自分の中にあるいろんな自分との対立を出したいと思っていて、

『彼女にはこういう何を考えているかわからない側面もあるのかな』と。

 

このシーンは気に入っています。

僕も、描き始めるまでは考えついていなかったんですが、描いてみて新しい一面が現れた楽しい回でした。

 

 

――ありがとうございます!今週の終わりに読者の皆様へ一言お願いします!

 

この作品は『兄妹愛』だったり『うまるが可愛いこと』が軸で、ギャグというか日常モノなので、毎回テーマ毎に『うまるの日常』が進んでいくんですけど、がっつりストーリーが進むというよりは、日常を生きてて、ちょっとずつ関係性が変わっていく。

 

現実の日常もそうじゃないですか。

普通に生活していて、段々関係性が変わっていく。

 

そんな感じで、うまるの日常も少しずつ変わっていて、気が付いたら関係性が広がっている、みたいなところを面白く読んでいただけたら嬉しいです!

 

 

担当者の「ココがすごい!」 ③

作品全体に通じるテーマ”兄妹愛”そして、”うまるの可愛さ”。

笑顔や贈り物を通じて暖かい空気感を演出。両方を実現している。

 

二つの演出を実現

 

 

 

〈作者紹介〉

サンカクヘッド
山梨県出身。主な過去作品に『ぽんてら』(マッグガーデン)『荒くれネバーランド』(幻冬舎)『ハイスクール・オブ・ザ・ヘッド』(富士見書房)『うずらコンビニエンス』(秋田書店)『厨二くんを誰か止めて!』(富士見書房)『ベン・トー△』(集英社スーパーダッシュ文庫)等がある。

 

※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』「干物妹!うまるちゃん」の第1週 「ネーム作りの秘訣に迫るよ!お兄ちゃん!」を特別掲載しました。

 

第2週~第4週でも引き続き担当編集者が「干物妹!うまるちゃんのここがすごい!!」を解説します。気になる続きはhttp://youngjump.jp/shinman/)をチェック!

干物妹!うまるちゃんのここがすごい!!

シンマン賞特別企画 『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』

(第40回 審査員:サンカクヘッド)

 

(C)サンカクヘッド/集英社

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