【空・雲の描き方】ブラシの種類、塗り方、遠近感で簡単に上達する
イラストの背景として、よく描かれる「空」。 きれいな空が描けると、広さや奥行きを表現したり、イラストの世界を豊かにしたりすることができます。 今回は空、特に雲の描き方に重点を置き、簡単な雲の描き方や、ソフトのブラシ選び、塗り方など、いくつかポイントをあげながら解説していきます。
簡単な雲の描き方
空を描くときに力を入れるのは、やはり雲ですよね。
はっきりとした形がないものなので、描くのが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
最もカンタンな雲の描き方は、球を組み合わせで描く方法です。
フワフワしたイメージで、描線が固くならないように描きます。
雲にはいろいろな形があるので一概にはいえないのですが、下の方をやや平らにするように意識すると、立体的な雲に描くことができます。
また、リアルな雲を描くなら、普段から空を見上げてよく観察するくせをつけたり、写真などを参考にしたりするとよいと思います。
青空のグラデーション
画風にもよりますが、空をグラデーションにすると、大気の様子をリアルに描けます。
普通の青空なら水色~うすい水色(または白)でよいでしょう。
イラストの設定が真夏であれば、濃い青でグラデーションを作ると、暑い日中の青空を作れます。
上はグラデーションの見本です。
(a)がよくある青空で、水色(R:105、G:179、B:265)から白へのグラデーション。
(b)は夏の空用に作った濃い青色(R:5、G:29、B:191)から水色(R:105、G:179、B:255)へのグラデーション。
(c)はかなり濃い青色(R:0、G:31、B:114)から少し緑に寄った水色(R:183、G:255、B:251)による、少し緑も混じった深い色のグラデーションです。キャラクターイラストの背景に合いそうです。
※(c)のグラデーションは、CLIP STUDIO PAINTの[グラデーション]ツール>[青空]サブツールで作成しましたが、ほかのソフトでも上記のRGB値で同じようなグラデーションを作れます。
イラストの設定、雰囲気に合わせて色を作りましょう。
雲の塗り方
青空が出来たら、その上に雲を塗っていきます。
レイヤーは分けておいたほうが安心です。
ブラシは雲のあいまいな輪郭を表現できるようなものがよいでしょう。
・CLIP STUDIO PAINTの例
CLIP STUDIO PAINTでは、エッジににじみがあり、モコモコしたストロークを持つ[にじみ縁水彩]サブツールを使ってみます。
水彩風のニュアンスは、雲の感じをだすのにぴったりです。
モクモクした雲の感じを出すために、図のように筆を動かしています。雲の薄い部分は、青空がすけて見えます。
筆圧で濃い部分、薄い部分をうまく作って、雲の透明感を表現できるとよいと思います。
ブラシは下図のように動かしています。
少し青を混ぜたグレーを使って底の方に影を入れてみました。
まるで彩度のない影だと曇り空のようになってしまうため、空の色を混ぜて、晴れの日の透明感のある影にしたいところです。
立体感を意識しながら、塗りすぎずさらっと入れるのがコツです。
CLIP STUDIO PAINTの[指先]ツールを使うと、雲がちぎれたりかすれたりする部分のような表現ができます。
リアルな雲を描くのによく使われるツールです。
適当なブラシでざっくりとした雲を描き、[指先]ツールで雲のエッジを描写していくように描く人もいます。
上の作例のように[にじみ縁水彩]で雲のエッジを表現している場合は、あまり[指先]ツールを使い過ぎるとわざとらしくなるので、ほどほどにしておくとよいと思います。
・Photoshopの例
Photoshopにも、たくさんブラシが備わっています。
[ブラシプリセット]で[ドライメディアブラシ]を表示したときに出る[粗い刷毛]で描いてみました。
ブラシのエッジがぼそぼそしているため、雲のはっきりしないりんかくを表現できます。
このブラシの場合、雲を形作るように筆を動かすと、思うような雲のエッジが出ないので、ポンポンポンと点をうつように描き、ブラシの筆先の形がそのまま雲のエッジになるようにしています。
このように筆の動きは、ブラシの特性によって変えるとよいです。
少しシャープすぎる印象があるので[フィルタ]→[ぼかし]→[ガウスぼかし]を実行してぼかします。
また、雲の真ん中あたりを[指先]ツール(さっきのとは違い、Photoshopの[指先]ツールです)でなじませています。
影を入れたら完成です。
影は不透明度を下げて[粗い刷毛]と[指先]ツールで描きました
水彩画風の空
透明水彩絵の具で描かれる空は、雲の部分を用紙の白で表現したりします。
水彩風のブラシで、水色を描画色にし、雲の部分を残すように塗っていくと水彩画風の空になります。
下の作例はCLIP STUDIO PAINTの[にじみ縁水彩]サブツールで描いたものです。
ブラシはランダムな動きで、軽く色を置くような感じで塗るのがコツです。
パースを意識する
たくさん雲を描くときは、遠近感に注意します。
下図のようなパースを意識しながら、近い雲は上の方に大きく、遠い雲は下の方に小さく描くと、広大な空の奥行きを表現できます。
空の広さを表現するのに魚眼レンズのような歪みを取り入れるのも良いと思います。
おわりに
空の描き方、いかがでしたでしょうか。
特にに決まりがあるわけではないため、今回紹介したブラシや[指先]ツールを絶対に使わなければいけないということはありません。
イラストレーターによっては、写真から素材を作りそれをブラシにする方もいれば、[鉛筆]ツールのような特徴のないブラシで雲を描く方もいるでしょう。
イメージ通りの空になるように試行錯誤して、ベストな描き方を体得していただけるとうれしいです。
〈イラスト・執筆:横田まき〉
〈制作:株式会社サイドランチ〉