【年末調整だけではNG!?】副業しているサラリーマンの確定申告【イラストレーター】
最近、働き方改革によって注目されている「副業」。イラストレーターの中にも、副業でイラストレーターをされている方や、これから副業したいと思っている会社員の方が増えているようです。今回は副業でイラストレーターをしている方向けに、年末調整と確定申告についての基本を解説します。
【年末調整だけではNG!?】副業・兼業しているサラリーマンの確定申告とは?
サラリーマンであれば11月に入ると少しずつ耳にする年末調整。
そうでない方でも聞いたことはあるかと思います。
税金を正しく納めるために必要な処理ですが誰しもが年末調整をするわけではありません。
最近は働き方改革によって大手企業などでも積極的な副業への取り組みもありますので、現在副業で活躍中、これから副業でがんばろうという方への年末調整と確定申告の超基本的なお話をします。
1. 所得税について
まず、所得とはざっくり言うと「所得=収入-経費」になります。
10種類に分類され、それぞれ個人の所得に対して課せられるのが所得税です。
1/1~12/31を課税期間として、1年の合計所得に応じて個々で計算をして納税することが義務とされています。
今回は主に給与所得や雑所得に関わる内容になります。
2. 源泉徴収ってなに?
国民全員が自身の所得と税額を計算するとなると納税する個人にとってもきちんと納めてほしい国にとっても実務上厳しいことが多いのが実情です。
そこで会社などが代理で納税する制度ができました。それが源泉徴収制度です。
仕組みとしては給与や報酬を支払う側の会社がお給料などから所得税を天引きして代わりにまとめて納税してくれるというものです。
代わりにといっても源泉徴収は、ただ会社が好意で処理をしているわけではありません。
会社側にとっては義務なため、たとえばサラリーマンの方が「私は確定申告するのでお給料から源泉徴収しないでください」とお願いしても対応してくれるものではありません。
3. 年末調整ってなに?
会社からお給料をもらう場合、源泉徴収制度によって何もしなくても納税できていることになります。
ただし、毎月お給料から天引きされている所得税は実は概算なのです。
所得税は1年間の所得に応じて金額が確定されるものですが、会社にとって毎月の源泉徴収は義務なため見込みの金額で納税しています。
もちろん適当な金額ではなく、「源泉徴収税額表」という早見表のような一覧によって決められています。
そこで、見込み額で納税していたのを、1年の最後のお給料が確定したところで個人個人の正しい税額を算出します。
この処理を年末調整といいます。
年末調整が完了した後に発行されるのが「源泉徴収票」です。
1年間の収入や所得、所得税について記載されているので手元にきたらぜひご自身の納税額を確認してみるといいかと思います。
4. 年末調整ってだれでもできるの?
ここで重要なのが対象者です。
源泉徴収については給与や報酬などさまざまな対象がありますが年末調整をできるのはあくまで「会社に勤めている場合のみ」です。
なので「源泉徴収票」を発行されるのも会社から給与をもらっているサラリーマンだけになります。
「源泉徴収されている=年末調整してもらえる」ではないのでご注意ください。
また、サラリーマンでも副業での収入がある場合は年末調整をした後に確定申告、年収2,000万円を超える方は年末調整ができないので必ず確定申告をしなければいけません。
雇用関係がなく報酬を得ている場合は、もちろん年末調整は行えません。
GIKUTASにも副業でイラストのお仕事をされている方もいらっしゃるかと思います。
では、その場合に必要な処理はなんでしょうか?
5. 副業サラリーマンに確定申告が必要な場合は?
年末調整できるのはサラリーマンで、かつお給料(給与所得)に対してだけです。
つまり、サラリーマンであっても本業以外の副業で得た収入である「雑所得」がある場合は会社で年末調整、副業については確定申告が必要なのです。
GIKUTASから報酬をお支払いしていてサラリーマンでもある方はまさにこれに該当します。
このような雑所得の場合、「年間20万円を超える」と確定申告が必要です。
ちなみに、最近利用される方が増えてきているふるさと納税や、医療費が10万円以上かかった場合なども確定申告の対象になります。
サラリーマンで確定申告が必要な場合は主に以下のような方です。
個人事業主としてフリーで活動されている方は上記に関係なく、必ず確定申告が必要です。
1. 確定申告するときの注意その①(源泉徴収票)
確定申告に必要な書類はいくつかありますが副業をされている場合、必要になってくるのが源泉徴収票です。
お給料に対して会社では年末調整をするため大体12月~1月ころに会社から必ず源泉徴収票が発行されるので確定申告の際に提出します。
「必ず」というのは会社には発行の義務がありますのでもらえない場合は催促しても問題ありません。
それでも対応してもらえない場合は税務署にご相談を。
年の途中で退職した場合も発行義務はありますので、送られてきたら転職先への提出もしくは確定申告まで大切に保管しましょう。
2. 確定申告するときの注意その②(支払調書)
気になるのは副業で得た収入についての書類です。
売上や必要経費など常にきちんと管理していれば申告書のほか特に必要ありません。
すでに副業されている方であれば「あれ?支払調書って必要なんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしません。
「支払調書」とは源泉徴収をしている場合、1年間の報酬と税額について支払元が作成する書面です。
年が明けると支払元から支払調書が送られる場合がありますが、1つ注意なのが、支払調書は支払側に発行義務はないということです。
支払元は支払調書を税務署へ提出する義務はありますが、源泉徴収票のように必ず支払先に配布する義務はないのです。
つまり、みなさんは確定申告の際に支払調書はなくても問題ないのです。確定申告の時期になって届かなくても焦らず落ち着きましょう。
3. 支払調書は必須ではない!けれどあると便利
慣習的に送付している会社もまだまだあるので、確定申告の必須書類という誤解が多いのかもしれません。
もし送付されているようでしたらある種サービスのような対応をされているということですね。
ただ、雑所得が20万円に満たなかったとしても源泉徴収されている場合、支払調書をもとに経費などをきちんと計算し、確定申告をすることで支払すぎていた税金が戻ってくる可能性もあります。
発行有無は会社によって異なりますのでもし必要な場合は、事前に支払元に問い合わせてみるといいかもしれません。
6. 副業の確定申告をしないとどうなる?
メインの会社に副業がばれたらいやだなという理由や単純に確定申告する認識がなく無申告となってしまう場合がなくはないと思います。
確かに確定申告をすると副業が勤め先に把握されます。
だからといって確定申告をしないと「無申告加算税」という罰金を課せられます。
もともと納付すべき税額に加え、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。
結構な金額になるので「ちょっとくらいバレないだろう」という気持ちでの無申告は危険です。
たとえ確定申告しなかったとしても支払元は、先にお話したように支払調書を税務署に提出しますので、税務署にバレるのは時間の問題です。
税務署から指摘されないようきちんと確定申告をしましょう。
7. まとめ
所得税、源泉徴収などなど漢字が多いですし、私たちが把握するにはとても難しくて細かい内容が多いです。
だからといって何も知らないでは済まされない事態になることだってあります。
税金を納めることは国民の義務ではありますが、せっかく稼いだ収入から引かれている税金についてどのような処理がされているのか知っておくことは大切ですね。
※本記事は、イラストの仕事に役立つメディア『GIKUTAS Magazin』(https://gikutas.jp/magazine)から提供いただいた記事となります。
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