夢みる♥ペンタブレット!!トレースから仕上げまで【実践編】
小学館の少女漫画誌「Sho-Comi」で連載していた『夢見る♥ペンタブレット!!』(真己京子先生)の登場キャラが、誌面には収まりきらなかった、さらに詳しいペンタブレットの使い方を解説するよ!! デジタル初心者や、これからデジタルでマンガを描きたいと思っている人は必見です。
はじめましてー! ペンタブレットの妖精、ペン太って言いますねん!
一緒にペンタブの世界を勉強していこうや。よろしくなー。
最初は、初心者でも簡単に挑戦できる「トレース」に挑戦や!
1.トレース編
まずは、手元にあるペンタブレットをパソコンに繋いでみるでー!!
ワコムのIntuos Comicには、最初からイラストソフト「クリップスタジオペイントプロ」がついてくるから、パソコンとIntuos Comicだけで絵が描き始められるんやで!
準備ができたら、さっそくトレース開始やで。
まずは、『ファイル』メニューから、「新規」ファイルを開いたら、同じく『ファイル』メニューの「読み込み」→「画像」で画像を表示させる。
これで元にしたい画像が画面に表示されるで! 超簡単やな!!
せやけど、とりこんだ画像の上にそのまま描いても、あとから消せんくなってまう。
そんなときに役立つのが、新しく別の層を作ってイラストを描ける「レイヤー」機能や。
別々のレイヤーに描いた絵は、それぞれ別に消せるから、トレースした後で、取り込んだ画像だけ消すこともできるっちゅう寸法や。
「レイヤーメニュー」から「新規ラスターレイヤー」を選べば、新しいレイヤーができるで!
ここまで来たら、あとはなぞって描くだけや!
もとの画像の濃さを調節すると、よりなぞりやすくなるでー!!
少女マンガのイラストは、線の繊細さが重要やから、トレースでプロの細かい絵をまねて練習すると、上達が早くなるで!
プロの漫画家目指して、まずは練習あるのみや!
2.キャラの描き方 - キラキラの目を描こう –
少女漫画の魅力を左右するのが、大きくてキラキラした目!
よく見ると、この目はとっても細かい線を何本も重ねてできてるんや。
こういう細い線まで、細かく丁寧に描くことで、やっと印象的なイラストができあがるんやで!
とはいえ、顔のアップなどの大きいコマならまだしも、小さいサイズのキャラの目を描き込むのは簡単なことやない。
そんなとき、デジタルだからこそ使えるウラワザがある。
それが・・・、「拡大機能」や!
いくら細かい部分でも、こうやって拡大することで、思う存分描き込めるで!!
Intuos Comicについてくるソフト「クリップスタジオペイントプロ」では、拡大機能はもちろん、いろんなタイプのペンが初めから使える。
目の細かい線や、髪の質感を出すときは、せんさいな線が描ける「丸ペン」を使うことが多い。
反対に、顔のりんかくとか体のラインみたいに印象を強くしたいトコは、「Gペン」を使って描くのがオススメやで!
メリハリのある線を意識すると、それだけで絵が引き締まって、上手に見えるようになるで!
作家さんやキャラクターによっても目の形はさまざまや。
ためしにSho-Comiの他の作品の目を見てみよか!
©佐野愛莉/小学館
©水瀬藍/小学館
上が佐野愛莉先生の「オレ嫁。」、
下が水瀬藍先生の「恋降るカラフル〜ぜんぶキミとはじめて〜」のページや。
目の形や光り方が、それぞれ違うやろ?
これを読んでるキミも、いろんな絵を研究して、自分らしい目の描き方を探してみてや!
3.キャラの描き方 - バランスよく顔を描こう –
漫画家をめざす投稿者の悩みに多いのが、
1.同じ向きの顔しか描けない
2.顔のパーツのバランスを一定にできない
のふたつ。
みんながつまづくとこやけど、表情が上手く描けないと、キャラの感情が読者に伝わらんくなってまう。
今回は、デジタルならではのワザ、「反転」と「選択範囲の移動」を使って、このふたつの悩みを解決する方法を教えたるで!
1.同じ向きの顔しか描けない
それぞれの利き手によって、描きやすい向きと描きづらい向きがあるのはあたりまえや。
せやけど、得意な向きばっかり描いとると、画面が単調でつまらない漫画になってまう。
いっちゃん大事なんは、描きなれない向きにも逃げずに挑戦すること!
その練習に役立つんが「反転」機能や!
自分が描いたイラストを反転させて、〔トレース〕の要領でなぞることで、自分の手に〔逆向きの描き方〕を覚えさせるんが、上達への近道やで。
2.顔のパーツのバランスを一定にできない
この「反転」機能は、目や口のバランスを見るときにもとっても役にたつで!
何度も絵を描くうちに、「自分のイラスト」を見慣れてしまって、バランスがずれていることに気付かなくなってくる。
そんなとき、そのイラストを反転させると、客観的な目で見ることができて、違和感に気付きやすくなるんや!
「鏡に映る自分(=見慣れとる自分)」と「写真に写る自分(=客観的な自分)」って違って見えたりするやろ?あれと似とるかもしれんな。
バランスに気付けたら、あとは「選択範囲の移動」や。
ずれてる所を「投げなわツール」などで囲って選択して、位置を微調整したり、大きさを変えたり。
何度でもやりなおせるデジタルならではの対処法やで!
同じ方法で、体の左右のバランスもチェック&修正すれば、完璧なデッサンはもうすぐそこや!
「反転」「選択範囲の移動」を駆使しながら、斜め上から、斜め下からなどなど別の角度にもチャレンジして、描ける顔のパターンをどんどん増やしてこうな。
4.ベタの塗り方 - 素早くきれいに塗るために –
まんがを描くとき、紙とペンタブレットで大きく違うのが、ベタ(=黒い部分)やトーンなんかの、仕上げの時にかかる手間なんや。
紙だと地道な作業が必要なところを、デジタルやったらまとめてパッと塗れてしまうんやで!
広い範囲のベタは、範囲全体を1色で塗りつぶす「バケツツール」を使うとええ。
ただし! 真っ黒に塗るだけがベタやない!
わざと白い部分を作ったり、トーンを使ったりすることで、いろんな素材の雰囲気や光の加減を表現できるんや。
なかでも難しいんが、髪の毛の質感を出すための〈ツヤベタ〉や。
いきいきした髪は、キャラの魅力を大きく左右する重要なポイントやから、「ペンツール」を使って、一本一本ていねいに塗るんやで。
光が指してくる向きを考えながら、白でハイライトをいれるんや。
参考に、Sho-Comi連載陣のイラストを見てみよか!
まずはこちら、
華夜先生「鬼宮先生のキスには逆らえない」の鬼宮先生!
© 華夜/小学館
白と黒をくっきり使い分けて、髪の流れを表現してるんやな。
おつぎはこの作品!
京町妃紗先生「影姫の婚礼」のイヅナ!
© 京町妃紗/小学館
ほっそい線で細かく描き込んでるから、髪がツヤツヤに輝いてるように見えるで。
最後は
池山田剛先生の「佐藤、私を好きってバレちゃうよ!?」の佐藤蝶葉
© 池山田剛/小学館
トーンとの組み合わせで三段階の色の違いを表現してるやろ?
ここまでわかったら、あとは練習あるのみや。
いろんな作家さんの描き方から勉強しつつ、自分なりのカッコいいツヤベタを追い求めてみてな!
5.仕上げ編
テーマはいよいよ〈仕上げ〉=〈トーン〉やで!
〈トーン〉は、ここまで描きすすめてきたイラストに、上から効果を貼って飾り付ける作業なんや。
投稿作品に多いのやけど、この仕上げがあまいと、全体がうすくて雑に見えてしまうんやで。
アナログ原稿では、こういう紙のトーンをひとつひとつ丁寧に切りとって貼っていくんや。
しかも、グラデーションを作りたいときにはカッターでトーンを削って作らんといけんから、とっても時間がかかる。
せやけど、ペンタブレットなら、場所を指定するだけで一瞬でトーンが貼れるから、作業が革命的に楽になるんや!
グラデーションにも加工できるうえに、この画像みたいに〈色を塗る感覚で〉トーンを貼ることまでできちゃうんやで。
こんな風に、アナログではできない仕上げのワザがあるのも、ペンタブレットの大きな魅力やな。
しっかりトーンも貼り終えたら、ついに原稿が完成!
デジタル原稿なら、ボタンひとつでどこの雑誌にでも投稿できてまう。
気楽な気持ちで、まんがのプロに見てもらおうや!
もちろん、印刷した原稿を持参して持込することもできるで。
ペンタブレットとPCがあれば、それだけでまんがが描ける!
ひとつひとつの作業もアナログより簡単やし、間違えても直せるし・・・、いいことずくめなペンタブレットで、今日からプロのまんが家を目指してみようや!
アナタが描いたまんがを読める日を、とっても楽しみにしてるで!!
絵・イラスト:真己京子
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