【身体の描き方】画力と表現力が劇的に上がる「神技作画」
イラストを描き始めた入門者から、表現力に磨きをかけたい中級者以上の方まで、人物がうまく描けない、バランスが崩れてしまう、といった悩みや疑問を解決できる人物作画の解説書『ゼロから学ぶプロの技 神技作画』(KADOKAWA刊)から、抜粋してご紹介します!
立体的なひざの描き方
ひざは足を動かすための大事な部分です。
ひざの丸みや飛び出し方、ひざ裏など複数の表現が必要になります。
より立体的なひざを考えた場合、その形や周りの筋肉の動きによりこだわった場合をまとめてみました。
▼立ちポーズでのひざのライン
ひざの皿と足の骨格、足の筋肉を考えてラインを引いてみましょう。
ポイントはひざの形と厚みを意識することです。
▼少し曲げたときのひざの形
立ちポーズから比べると太ももの横への張りと、ふくらはぎの丸みがわかると思います。
ひざを中心に曲げたときの太ももとふくらはぎの角度の変化に注意して描いていきましょう。
▼曲げた場合のひざの形
同じく、ひざを曲げたときの太ももとふくらはぎのつぶれ方と重なり具合を考えて描いていかなければなりません。
まっすぐ伸ばしたひざと地面に着いたひざの形の見え方を考えて描いてください。
▼ひざの裏側
足首側から見たふくらはぎとひざ裏の形がわかると思います。
ひざの厚みと丸みを頭に入れて足の丸みを描いていきましょう。
全身像への反映
ひざの形を反映させながら絵柄に合わせたひざを描く必要があります。
ひざ小僧の表現をどこまでするかは、ひざをいかに魅力的に見せるかによります。
下図のようにひざを描くとリアル寄りになり、ひざを描かないとアニメによくあるかわいらしいイメージになります。
正面のひざの形です。ひざのふくらみを考えましょう。
線画では皿は描かずに影で表現します。
皿もしっかり線画で表現し、影でより明確に。
魅力的な太ももの表現
太もものムチムチ感は絵を引き立てるためにとっても大切なものです。
どう描くと魅力的な太ももが描けるかまとめてみました。
これらを基本にあなたの理想の太ももをぜひ描いてみてください。
太ももは前面を細く描くのがポイント
太ももは前面と側面の太さが違います。前面は少し細く側面は太くなります。
ご自分の足を見ていただけたらわかると思いますが、股間に向けて三角の形になっています。
この三角形を、前から見ると前面が少し細く見えます。
- 側面は太く。
- 太ももは前面から見ると細く、側面から見ると太い形状になっています。
- 筋肉の形状を意識してみてください。
太ももの後ろはむっちりと
後ろから見るとまた太ももは変わって見えます。
お尻の流れがそのまま太ももにつながっていますので少し肉感を出して、むっちりと描くと魅力的になります。
お尻から太ももにつながる流れはとても色っぽいのでぜひマスターしましょう。
- お尻の丸みを考えて!
- お尻の丸みと太もものつながりを考えて描いていきましょう。
三角形を意識
太ももを俯瞰で見るとよくわかると思いますが、股間に向けて三角形の形状をしています。
股間から太ももの前面にかけてのラインと、太もも側面からお尻に回る丸みを意識して描いていきましょう。
- 俯瞰なので、下になるほど小さくなります。
- 上から見たときに左右の太ももの間に三角の空間ができることを頭に入れておきましょう。
後ろからの描写はふくらみを強調
お尻から太ももにかけてのラインを意識して色っぽく描いていきましょう。
少しふくらみを意識してむっちりとしたお尻と太ももを目指して描きましょう。
- ももの丸みがとても大切です。
- 柔らかみと立体感を出して描いていきましょう。
座ったときの太もも
座ったときの太もものつぶれ方と仕草による太ももの形状の変わり方をまとめてみました。
魅力的な太ももの見せ方につながるものなのでよく覚えておきましょう。
太ももをクロスさせて座る
足をクロスすることで、上にのる太ももと下になる太ももとで表現が変わります。
上の太ももは自らの重みで少しつぶれ、下の太ももは自らの重さと上の足の重さとで少し上下につぶれるイメージで描いていきます。
- 身体の重心を後ろに持っていくことで足が自由に動かせる環境になります。足を多少動かしても自然に見えます。
- 太ももをクロスさせるときのポイントは、上になる足は下の足分ほど上がるのでそれを考えて足の付け根を上げることです。そのために少し腰をひねらせたかのように見せることで簡単にクロスさせたように見えますよ。
長く美しい太もも
少し下目線から見た太ももです。下からの目線なので全体的にアオリになります。
目線が低いため太ももに近い目線になりますので、少し足を長めに描いています。
- 少し目線を下げて長い足を描いて美しい太ももを考えてみましょう。
- 少し足に動きを付けて立体的な足の表現を!
太ももをつぶして柔らかさを見せる
今までにも頻繁に出てきていますが、座った場合太ももは自らの重さで少しつぶれます。
つぶれた太ももを描くことで、柔らかく魅力的な太ももになります。
- 座ったときのつぶれた太ももを考えましょう。柔らかい太ももの演出に最適ですよ!
- 太ももの位置はアイレベルくらいに。
- 太ももをつぶし柔らかさを表現するなど少し動きを持たせることでかわいく魅力的な太ももになりますよ。
手で太ももをさらに押してみる
座ってつぶれた太ももの隙間に手を差し入れることで、上部からも太ももに力が加わり少し押された感じになります。
手で押されたときの太もものくぼみ具合を表現することで色っぽさが出てきます。
- 座ると太ももが少しつぶれます。それと同時に手などで太ももをつぶすことで柔らかさを表現!
光と影の基本的な考え方
基本的な光と影の仕組みをまとめました。
このふたつの関係をよく理解して、作品に反映していきましょう。
光の考え方
光は直線的に進みます。影もそれにともなって直線的に入っていきます。
光源の高さや光の入ってくる角度によって影の表現も変わってきますので、頭を柔軟にして考えていきましょう。
- 光はまっすぐ直進します。
- 影は遠くなるほどうすくなります。
- 光源の高さと角度で影の長さと濃さは変わります。
影の考え方
光のところでも少しお話ししましたが、影も光同様、直線的に入ってきます。
影を付ける場所と量によって、立体感のある雰囲気が出るので頑張ってチャレンジしましょう。
▼線画
布の立体感や丸みは、線画のシワにそって光源とは反対方向に影を入れることで見えてきます。
影の幅を広げれば丸みが大きく見え、小さくすれば丸みも小さくなります。
上下同じ線画ですが影の付け方で真ん中がへこんだり、盛り上がって見えます。
影で何を表現できるのか?
影の落とし方でいろいろな表現ができます。
立体表現はもちろんですが、キャラクターの感情表現や場面の演出にも使えますので勉強していきましょう。
感情を陰影で表現
身体や顔に落ちる影が多ければ多いほど感情は暗くなります。
また演出的に目立たせたいところにスポットで光をあてるなど、考え方ひとつで演出方法も変わります。
▼影を落とし込む
悲しい心の中を表現
- 影を多く落とし込むことでキャラクターの悲しい内面を表現でき、またその場の空気も表せます。
▼斜め上からの光
明るい雰囲気を演出
- 斜めから光をあてることでより立体的な影が入れられます。目線の先からの光源設定の方が明るい表現になります。
▼下からの光源
エネルギーが上昇するような神秘的な空間に
- 光源と影で空間を作っていきましょう。
- 下からの光源とワンピース、髪の毛の柔らかななびきで空間表現ができます。
- 下からエネルギーが上へ上がっていくような演出が可能です。
大胆な光と影の表現
光と影をコントロールすることで、いろいろな表現ができたり、演出にもつながります。
ここでは大胆に光と影を使ったインパクトのある処理をまとめてみました。
アクションと組み合わせた光と影の演出
動作の方向に合わせて光を入れることで動きに力強さが生まれたり、緊迫感やその場の臨場感を出せるなど様々な用途に合わせた光の演出ができます。光と影をうまく使って幅広い表現をしていきましょう。
▼光と影で力強さを付ける
キャラクターの背後から光をあてることで、動きを後押しするかのように力強さが生まれます。
- 光の回り込みを考えて描いていきましょう。
- 光と影の関係で力強さも表現できます。
▼影の深さで臨場感を引き出す
影の厚みで緊迫感のある雰囲気になります。
スポット的にハイライト部分だけに光をあてることで立体感が生まれます。
- 手前に出ている部分は光を多めに表現。
- 全体的に塗りつぶすことで奥行きが出てきます。
▼光を回り込ませる
スポット部分を浮かび上がらせることで、全体的に立体感を生み出します。
- 光の回り込みを考えて!
弱い光を全体的に回り込ませると、より立体的になり緊張感が生まれます。
▼内面の感情を表現
これも全体的に弱い光の回り込みを描いています。
キャラクターの心の内面を表現するのに効果的です。
たとえば、笑顔の女の子に影を広くかけると、表面的な微笑みの裏になにか隠し持っているかのような演出ができます。
下からの光源
下からの光源は特殊な表現だとは思いますが、とても効果的で目を引き付ける表現ですので、ぜひトライしてみてください。
凹凸を光と影で表現
下からの光ですので、通常の光源とは逆の影ができます。
出っぱった部分の上側に影が入ります。
足元だけを白でとばし、上半身になるほど影が多くなるように描いていきます。
▼側面に光を回り込ませる
側面は光の回り込みもあり、立体的に見せるポイントです。
- 自らの身体で影ができます。
- 足の上部は影になります。
▼一番出ているお尻に光をあてる
身体の凹凸を考えてください。
一番出ている部分の下に光があたり、上の部分が影になると考えればわかりやすいです。
- 髪の先端は下方向になるので光があたってきます。
- お尻の下の部分に光があたります。
- 足は地面と垂直になるので影になるところも少なくなりふくらはぎの一番太い部分くらいまで光があたります。
- 足を後方に出しているのでふくらはぎ側は影になります。
▼衣服の凹凸を陰影で表現
凹凸の下は明るく上は暗くです。
- 衣服の凹凸に合わせて上下の影を付けていきましょう。
- 衣服の袖口などのふくらみやたわみを表現しましょう。
- スカートは凹凸を考えてメリハリのある影を付けましょう。
著者:toshi
アニメ制作会社で作画やキャラクターデザイン等を担当。郵便切手や年賀はがきのイラスト、広告デザインやグラフィックデザインも手がける。
※本記事は、『ゼロから学ぶプロの技 神技作画』(KADOKAWA刊)からの特別版抜粋記事です。
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