「源君物語」から学ぶ!ヒロインを魅力的に見せるのは意外にも…
作品の魅力を誰よりも知り尽くしている編集者が、連載作品の「ここがすごい!」を解き明かす!今回は稲葉みのり先生の『源君物語』を担当している編集者による「キャラクター」を魅力的に見せるためのテクニックを紹介します。ヤンジャン新人漫画賞「シンマン賞」人気企画から特別掲載!!
『源君物語』担当編集者のコメント
源君物語の秀逸な点は、“各ヒロインの魅力”です。
ヒロインに対する興味・関心を読者にもってもらうのは、作品の肝です。
なのでヒロインの印象を左右する場面、特に新たなヒロインが登場する回では、読者の期待を高めるための工夫が散りばめられているといえるでしょう。
3人目のヒロイン花田千里登場回(67~70話)を参考に。
源氏物語の花散里をモデルとするヒロイン・花田千里登場回前後を例に分栃していく。
花田を魅力的な女性と認識させるため、鍵を握るのは意外にも(?)主人公・光海だ!!!
担当者の「ココがすごい!」5つのポイント
■その1:事前情報(第67話)
読者が最も感情を委託できるのは主人公。
だからこそ、【主人公・光海が求める女性像を提示→その特徴を持ったヒロイン登場】と展開します。
その順番を間違うと、喜び・達成感が薄れるので注意しよう。
■その2:謁見(第68話)
花田に対して、光海が具体的に好印象を持つ様子を強調している。
意外にないがしろにされがちですが、主人公の認知なしに読者には伝わらないので重要な点です!
■その3:宣告(第68話)
“主人公の行動は善”という前提が崩れると、読者は後ろめたい気分で読むことになります。
『源君物語』では香子の指示で光海が動くという形にして、主人公の行動に「正当性」を確保しています。
■その4:好感度上昇(第69話)
徐々に良い表情が出てきた様子を見せ、好感度アップに つなげていく。
■その5:印象の確定(第70話)
初対面での印象を確定させるベく、お別れした後、花田・光海双方の感想をしっかり見せている。
相手が目の前にいない時の感想なので、より真実味が増している。
総括
キャラクターの良い印象を読者に植え付けるために、
主人公の「考え」・「反応」・「感想」はしつこいほど挿入すべし!!
〈作者紹介〉
稲葉 みのり
2003年、ヤングジャンプ月例MANGAグランプリにて、『青の季節』が奨励賞を受賞。
その後数度の新人賞受賞、読切掲載を経て、2011年から『源君物語』を連載開始。
※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』「源君物語」の第1週 「「キャラクター」を魅力的に見せるための指南。」を特別掲載しました。
第2週~第5週でも引き続き担当編集者が「源君物語のここがすごい!!」を解説します。気になる続きは(http://youngjump.jp/shinman/)をチェック!
シンマン賞特別企画 『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』
(第39回 審査員:稲葉みのり)
(C)稲葉みのり/集英社