「キングダム」に学ぶ!マンガの見せ場演出テクニック!!
作品の魅力を誰よりも知り尽くしている編集者が、連載作品の「ここがすごい!」を解き明かす!今回は原 泰久先生の『キングダム』を担当している編集者によるメインを盛り上げる「演出」を解説します。ヤンジャン新人漫画賞「シンマン賞」人気企画から特別掲載!!
『キングダム』担当編集者のコメント
キングダムの最大の魅力は何と言っても各話の中に必ず用意された「明解な見せ場」ですが、原先生はさらに「見せ場までをどう演出するか」にも徹底的にこだわります。
見せ場を核に話を構成し、ときに読み手をじらし、ときに ボルテージを上げながらメインのシーンにたどり着くよう工夫がなされているんです。
原先生がどのように見せ場までを演出しているのか、第461話 「黒羊の大ー番」を例に担当者が解説!
担当者の「ココがすごい!」5つのポイント
■見せ場の5~6ページ前
① 桓騎の意味深な表情を挿入することで、次の彼の行動への期待感を創出している。
② 徹底的に無音を描くことで戦場の張り詰めた空気と緊張感を演出している。
■見せ場の3~4ページ前
③ 太陽の位置を徐々に上げていくことで、一見何の進展もない作中での時間経過を示している。
④ さらに無音を継続し緊張を極限まで高めると同時に、登場人物たちの違和感を描写し読み手の注意を引く。
■見せ場の1~2ページ前
⑤ ここで登場人物の違和感は決定的になるが読者はまだ理由が分からない。
この状況が、読者への強烈 な”じらし”を生み出している。
そして見せ場へ…!!!
今回のまとめ
話の見せ場を効果的に見せるよう、メインに至るまでの演出を意識しよう!
〈作者紹介〉
原 泰久
2003年、月例MANGA27グランプリに『覇と仙』で奨励賞受賞。
2006年から「キングダム」連載開始。
同作品で第17回手塚治虫文化賞漫面大賞受賞。
※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』「キングダム」の第1週 「メインを盛り上げる「演出」」を特別掲載しました。
第2週~第3週でも引き続き担当編集者が「キングダムのここがすごい!!」を解説します。気になる続きは(http://youngjump.jp/shinman/)をチェック!
シンマン賞特別企画 『編集者Presents連載作品のここがすごい!!』
(第38回 審査員:原 泰久)
(C)原泰久/集英社