キャラクターの描き分け STEP.6 男女の身体【ペンタブ練習】
デジタルでのお絵描きやペンタブに慣れていない人の練習にピッタリ! マンガのキャラクターの描き分けができるようになるためのポイントを丁寧に紹介します。講座を見ながら手持ちのお絵かきツールを使って練習してみましょう! 今回は男女の身体の違いについての解説です。 (講師:平井太朗)
はじめに
ここまで年齢、体型ごとの描き分けをみてきました。次は男女の身体の描き分けです。よく言われる質問でこんなものがあります。「顔はそこそこ描けるつもりだけど、男性(女性)の身体を描くのが大変で…」。一般的には男性は身体が大きくて、女性は身体が小さい。もちろん例外もありますが、平均的にはそう言えるでしょう。
じゃあ男性を描く時は身体を大きく描けばいい…はずなんですが、これが以外と難しい。具体的にどこを大きくすればいいのかが判らないからです。
男性と女性を描く時に端的に大きさを変化させたいのは「肩幅」です。なぜそこがポイントなのか、描き易くなるイメージの捉え方を紹介しましょう。
カラダの違い
男女の身体の描き分けは骨格です。…といっても解剖学に出てくるような現実の骨組みではなく、イメージとして捉えておきます。
肩幅は男女の違いを描く時に一番捉えやすい特徴です。肩幅の広い男性と、狭い女性。その違いは立ち姿にも違いをもたらします。
この段階でまずシルエットを参考に男女の身体を描いてみましょう。シルエットは参考程度で構わないので、OFFにして自由に描いても大丈夫ですよ。
この二人のポーズをよく見てみましょう。余裕があったら、自分でもこのポーズをとってみてください。脇を締めて肘を体幹(胴体)にくっつけたまま手のひらを前に向けたポーズです。実はこのポーズ、男性の方が力を入れないとできないものなのです。
次は逆です。脇をあけて肘を身体から離してみます。今度は女性の方があまり楽じゃないポーズになります。これは男女のの身体の構造の違いによるものです。
骨格の模式図を描くと、身体の中には図の用に骨が通っています。男性は肩幅が広く、もともと身体の中心から腕が離れています。女性は肩幅が狭く腕が身体に密接しやすくなります。厳密には関節なども構造がちょっとずつ違うので、身体の動かし方にちょっとずつ違いが出てきます。
男性の身体の描き方
男性を描く時は、肩幅を広くイメージします。胴体そのものも少し幅広く、その上に肩(腕)の分の幅も大きめにとります。全体的なシルエットを意識しておきましょう。
身体のラインが判りやすい服装(Tシャツ程度)で下絵を参考に男性キャラクターを描いてみましょう。身体のラインを描くのが難しいなあ…と感じる場合は、下絵をOFFにして身体のラインが出にくい服を着せたキャラクターでも大丈夫ですよ。
頭部を描きます。
腕を覗いた体幹(胴体)部分のアタリを描きます。頭の幅よりずっと広めの幅で腕の付け根までを。頭部から首元までの長さを3倍して足の付け根までの大きさのアタリを付けます。ウェストの一番へこむ部分はちょっと下よりです。
体幹から横に肩から腕の部分を描きます。肩幅があるので、真っすぐ下に腕を伸ばすイメージでアタリを。年代別の描き方で説明しましたが、肩は成長の一番最後に横に発達していくので、ここで年齢のイメージを付加しておくこともできますよ。
アタリを基に線画を清書します。全体的なシルエットとしては肩から腕がまっすぐにぶら下がる「長方形」のイメージと覚えておきましょう。
女性の身体の描き方
女性を描く時は、肩幅を狭くイメージします。胴体そのものも細いのですが、おへそから下の部分はしっかりしています。肩(腕)も細いので、腕をまっすぐ下に伸ばすことは難しくなります。身体に沿うような形で腕のぶら下がり方が決まります。全体的なシルエットを意識しておきましょう。
身体のラインが判りやすい服装(Tシャツ程度)で下絵を参考に女性キャラクターを描いてみましょう。身体のラインを描くのが難しいなあ…と感じる場合は、下絵をOFFにして身体のラインが出にくい服を着せたキャラクターでも大丈夫ですよ。
頭部を描きます。
腕を覗いた体幹(胴体)部分のアタリを描きます。頭の幅よりちょっと広めの幅で腕の付け根までを。頭部から首元までの長さを3倍して足の付け根までの大きさのアタリを付けます。ウェストの一番へこむ部分は少し上がわにあります。
体幹から横に肩から腕の部分を描きます。肩幅が男性よりずっと狭く、腕は身体に沿ってハの次に拡がるようなイメージで描きます。女性は胸の部分よりも腰の部分の方が幅が広くとるとそれらしい体型として描き易くなります。
アタリを基に線画を清書します。全体的なシルエットとしては肩から下に拡がる「末広がり」のイメージと捉えておきましょう。
平井太朗先生のコラム 男らしく、女らしく
今回は、男女差を描くことをテーマとしました。「男らしさ」「女らしさ」が描けるようになるとキャラクターの幅は拡がります。
でも、現実で実際にいろんなタイプ、体格の人に出会うと「男を・女を描くにはこうでなければならない」という縛りはいかに無意味かと言うこともよく判ります。とても小柄なかわいい女の子が実は格闘競技のエキスパートだったり、プロレスラーの様な強面(こわもて)のオッサンが、実はそれはそれは可愛らしい絵柄の恋愛漫画家さんだったりとか(笑)。
世界をまたにかけて宝物をねらうトレジャーハンターは、やっぱり身体も鍛えていて、俊敏で女の子らしいとイメージが沸かないのかも知れません。でもよく考えてみましょう。ごく普通の女子高校生が実は…なんてお話、ちょっと面白そうじゃないですか。現実の世界ですらいろんなタイプの人がいるんです。漫画の世界ならもっと「え!」と思う外見と内面の組み合わせがあったっていいんですよ。
「男らしい」「女らしい」というものはタダの記号です。外見がそうなのか、内面がそうなのか。今回の授業では外見についてお話していますが、「外見も内面も女らしい女の子」「外見は女の子らしいけど内面はオッサンらしい女の子」…いろんなキャラクターを生み出そうと言うときに「女の子らしい外見が描けない」から折角考えたキャラクターをボツにしちゃうなんてもったいない。とてももったいない。
だから「男らしい」「女らしい」キャラクターを描けるようになりましょう。
外見にとらわれずキャラクターを考え出す、その第一歩は「描きたいキャラを描く」ということ、そのものなんです。
(講師:平井太朗)
※この講座は、「ワコムクラブアカデミー」初級講座に掲載されていた内容を描きナビ編集部で一部抜粋・編集して掲載しています。