「原作のアイディアがあるので、マンガにして欲しいというお話」(漫画原作者になる方法)
トキワ荘プロジェクト、京都版トキワ荘事業、マンガHONZなどの中の人、菊池健さんが執筆するブログ「漫画の真ん中」より特別掲載! マンガ業界データや同行、新人漫画家支援についてなど、マンガ業界の耳よりな情報をお届けします。今回は、漫画原作者になる方法についてのコラムです。
「マンガの原作があるんだけども、トキワ荘PJでマンガを描いて(作画をして)くれる漫画家を紹介してくれないか?」
「取りあえず、アイディアはあるんで、漫画原作者になりたい。(=雑誌で原作者としてデビューしたい。)」
というお問合せ、結構いただきます。
丁度、そういうお問い合わせがあったので、メールに書くだけでももったいないですから、コラムにしちゃいます。
1, 「良い原作があるんだけど、マンガにしてくれない?」
↑の話、良くもらいます。自分の(あの人の)人生が波瀾万丈で面白いから、マンガにしたら面白いはずだみたいな軽いお話から、お仕事やライフワークのように真剣に取り組まれていることをマンガにしたいというお話までですね。
残念ながら、トキワ荘PJでは、外部の原作者志望(プロも含め)の方と、新人作家のマッチングはしていません。これは、とても難しい仕事になるからです。プロ同士を一蓮托生とする行為ですから、生半可には出来ません。
これを考えてる人の中に、「自分の話は面白いから、一緒に雑誌に持ち込んでデビューしよう。」という方もいるのですが、これは無茶ですので諦めましょう。
このケースの場合、方法は後述しますが、まず自分が漫画原作者(小説家とか一創作者として)プロになる必要があります。
これは、漫画家になること同様、半端なことではなく、軽い気持ちやわずかな時間で出来ることではありませんので、覚悟しましょう。
肝心なことですが、実績のない方の原案をマンガにする場合、無料で出来るものだとは思わないでください。
まして、アイディアだけでお金を貰おうなんてとんでもない、そんなに甘くはありません。
アマチュアの場合、やりたいことの内容に応じて、お金を払ってマンガにしてもらうという認識で、間違いないと思います。
それでも、原案をマンガにして欲しいと考えた場合幾つか方法があります。
Webや、企業PRで使うような簡単な冊子などでマンガを作る場合は、まず専門の企業さんにお願いをしましょう。
この2社、どちらも、実績のある企業さんです。
個人的に『Webマーケッター瞳』は、広告漫画の新境地を開く出来だと思っています。
ソウ先生、お忙しいのでなかなかお願いも難しいとは思いますが。
また、以下の2社も、この業界では気鋭の存在だと思いますが、それぞれ独特な広告漫画を作られています。
→イラスト制作・漫画制作・3DCG制作・Spine制作の株式会社フーモア
フーモアさんは、トキワ荘PJのMDCというイベントでもセミナーをしていただきましたが、マンガボックス上などで「最後まで読まれる、面白い広告漫画」というところにチャレンジされていて、実績をあげられている会社さんです。
マンガデザイナーズラボさんは、設立に深く関わられている、大阪芸術大学客員教授で、元電通の吉良さんの考え方を色濃く残す、とても面白い存在です。
良い広告漫画を作ることは勿論、吉良さんが、ピーチジョン社の中国進出を大きく助けたキャラデザインを手がけるなどされています。
漫画のみならず、サインやデザインを意識されたプロダクトを作られています。
自分の原案を出版して本屋にどうしても並べたい。となった場合、少しハードルと予算が上がります。
ともかく、マンガのプロ編集者さんと仕事をしたい。クオリティの高いマンガを作りたいと言うケースでは、多くの大手出版社やマンガアプリなどに、プロのマンガ編集者を送り込んでいる、編集プロダクション最大手「銀杏社」さんにご相談されることをお勧めします。
今や、マンガ雑誌は編プロさんの力がなれば回りません。
その中で、一番多くのマンガ編集者さんを抱えていますし、そういった企画にも対応してくれる企業さんです。
もう一つ、「作った本を沢山売りたい」と考える場合に、強力なサポートをしくれるのが、幻冬舎のグループ会社、以下の会社です。
銀杏社さんとはタイプが違い、ビジネス書に強い企業さんですが、日経新聞の良い所に大きな広告を出すプロモーションなど、費用はかなりかかりますが、確実に沢山売ってくれそうな力強いサービスです。
グループで『コミックバーズ』などの漫画誌も持っています。
2, 自分がプロの原作者になりたい。
これは、何種類かルートがありますが、実際のプロで割と多かったのは、元々作画も含めて一人でマンガを描いていた漫画家が、漫画原作者になるケースです。
例えば、週刊少年ジャンプで『ラッキーマン』を描いていた(ry 誰か来たようですね。危ない危ない。。。
気を取り直しまして、、、漫画家としてデビューを目指し、話も絵も作りつつ、ある程度の賞や掲載・連載実績をあげた方が、途中から原作専業になるパターンが、オーソドックスなパターンです。
ここまでの経験がとても大事と言う事ですね。
大場つぐみさんは、このパターンと言われています。さらには、原作とマンガ制作の兼業状態になる、柴田ヨクサルさんや、コージィ城倉さんのようなパターンもあります。
他に、マンガ編集者から原作者になるパターン(樹林伸さん、長崎尚志さん、堀江信彦さん)これは、一般の方には目指そうにも目指せない形です。
また、テレビや映画のシナリオライティングや、ラノベ・小説家の作家から原作者になる方もいます。小池一夫先生はこのルートですね。
オープンな状態からスタートして原作者を目指すとすると、マンガ誌編集部が、ダイレクトにマンガ原作のコンテストに応募するケースもあります。
原作と言っても、文章のケースと、上記のようにネームを出す場合などと色々ありますので、自分に合う形で、良く調べてくださいね。
最近増えているのは、小説投稿サイトで注目された作品が、漫画原作として見いだされ、様々な媒体でマンガとして展開するというパターンです。
→Eエブリスタ: 小説・コミック 投稿・販売プラットフォーム
エブリスタに関しては、5年前のサービス開始以来、200タイトル以上で300冊以上のマンガ単行本が、投稿された小説から生まれています。
こういった、投稿サイトからプロが生まれる、新しいエコシステムは、以下のインタビューで詳しく描いていますので、ご興味があればご覧ください。
余談ですが、プロの作家さんを前に軽い気持ちで「おれさ、良いアイディアがあるんだけど、マンガにしてよ!」ということを言うのって、気を悪くされるので自重されたほうが良いと思います。って話は、また今度書きますか。
この辺り、以下の書籍で、より深く色々判りますよー。
マンガの仕事をしたい方、まずは読んでみてくださいませ。プロの仕事としてマンガに取り組むとはどういうことか、エンタメではなくドキュメントとして良く理解できると思います。
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著者:菊池健
トキワ荘プロジェクト アドバイザー、マンガHONZ、マンガ新聞
「漫画の真ん中」http://tkw-tk.hatenablog.jp/