【小学館 まんが家養成講座】フキダシやセリフを入れてみよう!
まんがの描き方を基礎から教える【小学館 まんが家養成講座】!今回は、フキダシの種類や使い分け方法のほか、読みやすいセリフの入れ方や描き文字についてレクチャーします。フキダシ・セリフ・描き文字を使いこなすと、キャラクターの感情やストーリーの内容が、ぐっと伝わりやすくなります。
フキダシの形はいろいろ
「フキダシ」とは、セリフが入る専用のワクのことです。
下のイラストで紹介したようにセリフの状況によって、たくさんの種類があります。
通常は①や②のフキダシを使いますが、最近は②の雲形のものはあまり見かけなくなりました。①の方が手軽に描けるからでしょうか。
③は叫んでいる場合、④や⑤は心の中で思っているセリフの場合です。
ちょっと特殊なのは⑥ですね。電話でしゃべっている、スピーカーでアナウンスしている、などのときによく使われます。
フキダシは右から左へと読む
『【まんが家養成講座】見やすいコマ割りをしよう!』で「コマは右から左へ読む」とお話ししましたが、フキダシも同じように右から左へと読みます。
またしゃべっている人物の絵に近いところにフキダシを配置するのが鉄則です。
下の1枚目イラストのような、先にしゃべった女の子のセリフを受けて、男の子がしゃべるコマの場合、フキダシがたすきがけになって、とても読みづらいコマになってしまいます。
こんなときは素直に人物の配置を変えて、2枚目の絵のようにしましょう!
セリフは読みやすく改行しよう
まったく改行がなく、ずらずらと文字を詰め込むと、とても読みづらいフキダシになってしまいます。
2枚目イラストのように文節で区切って改行してあげると、格段に読みやすくなります。
長いセリフはフキダシを分ける
ちょっと長いセリフをしゃべらせたい場合、下1枚目のイラストのように巨大なフキダシ1つにすべて入れるより、2枚目のように2つに分けたほうが、はるかに見やすくなります。
セリフは内枠の基準線内に
タチキリなどの場合、下のイラストのように、フキダシやセリフの位置が原稿用紙の内枠の基準線からはみだしてしまうと、印刷する場合、文字が切れて読めなくなることがあります。
なるべく内枠の中におさめるようにしましょう。
かっこいい描き文字を描こう!
背景などに入れる擬音などの文字は自分で描かないといけません。
これを「描き文字」といいますが、スピード感あふれる背景にかっこいい描き文字は、さらなる迫力を与えてくれますし、ギャグシーンでのユニークな描き文字も必須ですね。
ただこの描き文字、作家さんによって千差万別ですし、センスが問われるテクニックなので、ここでは注意点と基本テクニックの紹介にとどめます。
●雰囲気にあった描き文字を選ぶ
基本というか、当たり前というか、そのシーンが持っている雰囲気にあわせて、描き文字の書体も変わってきます。
下のイラスト①や②のように使い分ける必要があります。③のようにならないように(あえてねらうなら別ですけど…)。
●描き文字のフチを白くすると見やすくなる
背景に埋もれてしまいそうな場合は、描き文字のまわりをホワイトで白くフチどると、見やすくなります。
逆に文字を黒いフチで描いて、中を白く抜くこともあります。
●フキダシをやめて、描き文字にしてみる
キャラクターのセリフもフキダシ&写植ではなく、描き文字にするとまた違った雰囲気になります。
どちらが正解ということではありませんが、フキダシでセリフを入れる場合は、必ず読者に読んでほしいときに、描き文字でセリフを描く場合は読み飛ばされてもいい、くらいの感じでしょうか。
描き文字は必ずこの書体でこう描かないといけない、という決まりはありません。
背景の一部のように使ったり、フキダシの中に入れて使ったり、作家さんも工夫しています。皆さんも自分でいろいろ試してみてください。
※本記事は小学館新人コミック賞特設サイト内の連載講座『新コミまんが家養成講座』から提供いただいた記事に一部編集を加えたものです。
【小学館 まんが家養成講座】記事一覧