キャラクターの描き分け STEP.2 子供の顔を描く【ペンタブ練習】
デジタルでのお絵描きやペンタブに慣れていない初心者の練習にピッタリ! マンガのキャラクターの描き分けができるようになるためのポイントを丁寧に紹介します。第2回は、子供の顔の描き方です。講座を見ながら手持ちのお絵描きソフト・アプリを使って練習してみましょう! (講師:平井太朗)
はじめに
何人ものオリジナルキャラクター(オリキャラ)、と考えたときに「家族」というキーワードはとても重要。
おじいちゃんおばあちゃん、両親に兄弟。いろんな年代のキャラクターを描けるようになると「家族」を描けるようになります。
今回は赤ちゃんから高校生くらいまでのキャラクターの描き分けを説明します。
STEP1では自分の描いているキャラクターの「自分だけのバランス」を確認しました。
今回は、そのバランスを「標準」と考えて、そこからどうバランスを調整すれば年代別のキャラクターを描きやすくなるのか、という意識で授業内容をみていってください!
赤ん坊の頭部のバランス
1.赤ん坊の頭部のバランス
生まれたばかりの赤ちゃんは、当然大人よりもずいぶんと小さい身体です。
頭部のバランスで抑えておきたいポイントは、
- ちっちゃい!
- 目は他の部位よりも大きく見える
- 目と鼻と口か近づいている
の3つです。
いつも自分が描いているキャラクターの顔のバランスを「標準」として、赤ちゃんのバランスをどうとっていくか、ポイントを抑えておきましょう。
どうしてもバランスがわからない!というときは下絵を利用しましょう。
でも、あくまで参考程度に。下絵通りに描かなければならない掟なんてないんですから。
2.赤ん坊の顔を描いてみる
赤ん坊のウチはすべてが小さいのですが、実は「目」は他の部分に較べて大きめです。
赤ちゃんの「つぶらな瞳」は顔の他の部分が小さいために、目が大きく見えているんですね。
脳が入っている「頭部」ももちろん小さく、目と鼻と口の位置がきゅっと近づきます。
普段自分が描いているキャラの目鼻や口の描き方で赤ちゃんを描いてみましょう。
本来赤ちゃんはまだ意識がはっきりとしていないので、表情がはっきりとしません。
「黒目がち」にすること、目と鼻の位置をより近づけることで、赤ちゃんらしさがグンとアップしますよ。
3.赤ん坊を仕上げる
髪の毛も描いて赤ちゃんの顔が完成です。生まれたばかりの赤ちゃんはまだまだ髪の毛が少ないのです。
もちろん個性がありますので髪の毛がフサフサの状態で生まれてくる赤ちゃんもいますが、超ロン毛の赤ちゃんはいないでしょう。…きっと。
赤ちゃんを描くのは難しいんです。それはみんな同じ。少しだけ「コツ」を考えてみましょう。人間が真っ先に成長しなければならないのは「脳」です。
草食動物のように視界が広いわけではなく、肉食動物のように瞬発力(身体能力)が高いわけでもない人間は、知恵で自分の身を守り、食べものを得なければならないからです。
頭部の構造として、目より上の部分に脳が収められるので「アゴ」のある下半分よりも、「脳」のある上半分の方が大きめに生まれてきます。目の位置を下げると、可愛いキャラクターになりますよね。赤ん坊から成長していくと、小学生くらいまでは頭部の方がより早く成長します。それに較べてアゴの発達は少しゆっくりです。
そのバランスを考えながら年齢ごとの描き分けをしてみましょう。
赤ん坊の頃は本能で表情を作っていたものが、成長して小学生から中学生にかけては表情に「大人」な部分も出てきます。
自分でできる所は「大人」の様に振る舞ってみせるのも成長過程の大切なプロセス。たまにどうしようもなくなって「子供」の表情に戻ってしまうんですけどね。
そういったアンバランスさが「子供らしさ」でもあるんです。
ビックリするほど凛々(りり)しい表情をしたかと思うと、わがままに泣き出したり、自分にもそんな思い出がありませんか?そんな「行動」で子供らしさを表現できるのもストーリーを表現するマンガならではのワザです。
もしかしたら自分が普段描いている「高校生のつもりの」キャラって赤ちゃんみたいなバランスで描いているかも…!と気付くこともあると思います。
童顔のキャラクターってやっぱり愛らしいものです。可愛らしいキャラクターが童顔になるのは仕方のないことかもしれません。
「自分の描いているキャラは自分だけのバランス」だという言葉を思い出してください。
中学生や高校生のつもりで描いているキャラが幼い顔のバランスだったとしてもそれも自分の「オリジナルのバランス」なので問題はないんです!
自分のキャラのバランスで「赤ちゃん」を描くにはどうすればいいのかを考えるだけです。
目鼻口の位置がもともと近いのなら、髪型や頭の大きさで調整することはできませんか? 表情を工夫するだけでもっと幼いキャラクターに見えませんか?
そのヒントはこの授業のなかで説明しています。
機会があれば子供に接してみて、自分だけの「ポイント」を見つけることも大切。さあ、自分だけの「描き方」を見つけましょう!
幼児の頭部のバランス
1.幼児の頭部のバランス
言葉を覚えたり成長を始めると、ヒトはまず「脳」を優先して成長させるようです。顔の下半分よりも先に「上半分」に少しウェイトを置いて大きくしていきます。
赤ちゃんの時と同様、
- ちっちゃい!
- 目は他の部位よりも大きく見える
- 目と鼻と口か近付いている
の3つのポイントを抑えつつ、でも赤ちゃんよりもそれぞれを「弱め」のバランスで描きます。
いつも自分が描いているキャラクターの顔のバランスを「標準」として、幼児のバランスをどうとっていくかポイントを抑えておきましょう。
どうしてもバランスがわからない!というときは下絵を利用しましょう。でも、あくまで参考程度に。下絵通りに描かなければならない掟なんてないんですから。
赤ん坊の頃に較べて頭部が成長します。もちろん目と鼻と口が少しだけ離れ頭部の「下半分」も成長しますが、頭部にくらべて遅めです。
2.幼児の顔を描いてみる
普段自分が描いているキャラの目鼻や口の描き方で幼児を描いてみましょう。
赤ちゃんの時よりずっと意識がしっかりとして、表情も豊かになります。
まだまだ「黒目がち」、目と鼻の位置を近づける意識を持って。
3.幼児を仕上げる
髪の毛も描いて幼児の顔が完成です。
赤ちゃんの時よりずっと髪の毛の量が増えますが、まだまだ髪の毛が細いですし、それほどボリューム感はありません。
小学生の頭部のバランス
1.小学生の顔のバランス
かなり表情がしっかりしてくる段階です。ぎりぎりまでは自分で頑張ってとても大人っぽくも見えます。
でも、手に負えなくなると子供に戻ってしまったり。そんな微妙な時期ですので、あまり「こうすれば小学生に見える!」と決めてしまうよりも、「自分はこんな小学生を描くんだ!」という意識を強く持った方がいいですよ。
かなり大人の顔に近づいてきますが、まだ「あご」などは未発達です。
顔の下半分よりも先に「上半分」に少し多めにウェイトを置く基本はそのまま、
- ちっちゃい!
- 目は他の部位よりも大きく見える
- 目と鼻と口か近付いている
の3つのポイントは「基本(大人)のバランス」から若干調整する様なイメージで捉える方がいいでしょう。
いつも自分が描いているキャラクターの顔のバランスを「標準」として、小学生のバランスをどうとっていくかポイントを抑えておきましょう。
どうしてもバランスがわからない!というときは下絵を利用しましょう。
でも、あくまで参考程度に。下絵通りに描かなければならない掟なんてないんですから。
2.小学生の顔を描いてみる
かなり標準サイズに近づいて来ました。このあたりでアゴなど下半分も標準サイズにぐっと近づけていきます。
普段自分が描いているキャラの目鼻や口の描き方で小学生を描いてみましょう。
表情もかなり大人びてくる一面もありますので、視線をしっかりと保たせてあげて、表情を豊かにします。
「凛々しさ」の表情を顕著に出せるようになる年頃ですしね!
3.小学生を仕上げる
髪の毛も描いて小学生の顔が完成です。
小学生では茶髪にしたり、髪の毛をセットしたり…ということはあまりない(例外も、もちろんアリですが)ので、髪の毛はナチュラルに描いておくだけでもイメージがつきやすくなります。
標準のバランス
1.いつものバランスで描きます
さあ、いつも描いているキャラクターの年代をもう一度よく考えてみましょう。中学生ですか?高校生ですか?
もし今まで意識していなかったとしたら、「自分が一番描いているキャラ」が何歳くらいかという基本的な「設定」をしてあげましょう。
そのキャラクターを標準として、他の年代を描き分けていきます。「自分だけのバランスを知る」とそのあとに、いろいろ応用力がついていきますよ!
標準のバランスで注目しておきたいのは「頭部」と「アゴ」の部分。
頭をもっと大きくとるタイプのバランスもありますし、アゴをもっとしっかり/細くとるタイプのバランスもあります。頭部は「髪の毛を描かないと描けないなあ…」というのなら髪の毛も一緒に描けばいいんです。
どんどん描けばやがて頭部のバランスもとれるようになります。
まずは描くコト!ですよ。
2.髪の毛を描くとイメージが変わりますね
高校生くらいになってくると、おしゃれができるようになって髪の毛を染めてみたり、セットを決めてみたりすることで「ちょっと大人っぽい」雰囲気が出せるようになります。
アイテムで年代を表現するなんてちょっとズルかも…なんて思う必要はありません。
現実の役者さんだって服装やヘアメイクで年齢を調整するもの。マンガのキャラだって同じですよ!
(講師:平井太朗)
※この講座は、「ワコムクラブアカデミー」初級講座に掲載されていた内容を描きナビ編集部で一部抜粋・編集して掲載しています。