【イラストテクニック】ちょっと差がつく「グリザイユ画法」を学ぼう!
グレーの明暗で描いた絵をベースに色を付ける「グリザイユ画法」を知っていますか? キャラクターに立体感がでない…、イラストにひと味足りない...という人は要チェック! 実際にグリザイユで描いたイラストを元に、レイヤーの重ね方や合成モード(描画モード)の使い分けについて詳しく解説します。
グリザイユ画法とは?
カラーのイラストを描くにあたってはいろいろな画法があります。
一般的によく知られている画法は、「厚塗り」「水彩塗り」や「アニメ塗り」といったところでしょう。
これらの画法は基本的に、
- 線画を作成する
- ベースカラーを塗る
- 影つけを行う
という工程を経て完成へと至ります。
一方で今回皆さんにご紹介する「グリザイユ画法」はこの工程の順序が逆で最初に影を付けるところから入る画法です。
最初の工程から終盤の手前の工程までカラーを考慮せずグレーの明暗のみで描き進み、最後にアクセント的にカラーの色を乗せて完成となります。
グリザイユ画法のメリットとデメリット
■良いところ
- 色よりも先に影を付けるため立体感を出しやすい
- 明暗によるメリハリを出しやすい。
- カラーで塗り分ける部分それぞれに対して影の色を考えなくてよい。
- 色塗りの工程がシンプルになる。
- レイヤーの枚数を減らせる。
- 絵にコクを出しやすい。
■デメリット
- 影つけを省略できないため影つけを省略した簡易なイラストが描きづらい。
- グレー塗りの工程で試行錯誤を繰り返すので完成までの時間が読みづらい。
- アニメ塗りのようなライトな仕上がりになりにくい。
グリザイユ画法の塗りの工程について
まずグレーで絵を完成させ、次にカラーで色をのせ、最後に仕上げを加えて完成というのが大まかな工程になります。
実際にその工程をみていきましょう。
1.白と黒の階調でグレーの絵をつくる
グレーのみで絵をつくってゆきます。この際レイヤーを分けて塗り分けしてもいいですしレイヤー1枚で塗り込んでいっても構いません。
最終的には1枚のレイヤーに統合します。
コクのある仕上がりの絵とするためにはグレーの絵作りの段階での塗りが重要です!
筆ムラやタッチのあるブラシで塗ったりテクスチャを使うといい感じになります。
2.カラー化する
ここで使用するレイヤーの合成モードは「オーバーレイ」・「リニアライト」・「カラー」のうちからお好みで。
グレーで塗ったレイヤーのグレーの偏りによって相性の良し悪しがあるので実際に使用してみて相性の良い合成モードを使いましょう。
<レイヤー合成モードについて>
「オーバーレイ」→明るい部分はより明るく暗い部分はより暗くなります。下地のグレーに対してカラーを乗せたいときに使う基本のモードです。
「リニアライト」→塗る色の輝度により効果が変化するレイヤーモードです。下地の色に対して明るい色を塗るとより明るく、暗い色を塗るとより暗くなります。オーバーレイより明暗の強弱が強く出るのできっちりしたメリハリが欲しい時に使用します。
「カラー」→下地のグレーに対してその階調を維持したままカラーの色味を乗せるレイヤーモードです。グレーの上に単純にカラーの色味を乗せたいときに使用します。
※レイヤーの合成モード(描画モード)について詳しくは、「知らなきゃ損する!レイヤーの合成モードって何?」 をご覧ください。
ここではグレーのレイヤーの上にオーバーレイのレイヤーを重ねて色を塗っています。
オーバーレイ1枚では影がグレーっぽく残ってしまう感じになりますが、次の工程でさらにオーバーレイなどのレイヤーを使って塗り進めることでこの部分にもきちんと色が乗ります。
3.仕上げ完成
使用するレイヤーの合成モードは前の工程で使用したレイヤーに加えて「加算(発光)」・「乗算」など。
オーバーレイレイヤーを複数重ねて色を塗る事でグレー感をなくしていくことが出来ます。
ピンポイントに加算(発光)レイヤーでハイライトなどを加えて完成です。
<レイヤー合成モードについて>
「加算(発光)」→下地の色と塗り色を足しあわせてさらに明るくするレイヤーモードです。ハイライトなどのピンポイントを加えたいときに使用します。
「乗算」→下地の色と塗り色をかけあわせさらに暗くするレイヤーモードです。グレーで塗り忘れていた部分に色を乗せたい時に使用します。
グリザイユ画法の塗りの工程について~その2~
「グラデーションマップ」機能を持つペイントソフトを使うと、グレーの塗り絵から印象的な効果のある絵を簡単に作成することができます。
グラデーションマップとは、「画像の濃淡に従ってグラデーションを適用していく」機能で、PhotoshopやCLIP STUDIO PAINTに搭載されています。
下の画像はグレー塗り工程まで塗り進めた絵にグラデーションマップ「くすんだ陰影(赤)」を適用してみたものです。
グラデーションマップによる色の置き換えで、全体がセピア調、ワンポイントのカラーとして中間色が緑、暗部が青に置き変わっています。
グリザイユ塗りは、基本的には先ほど述べたように無彩色のグレーの上に色を乗せていくのですが、デジタル絵ならではの「発展形」テクニックとして「グラデーションマップを適用した絵の上に色を乗せていく」というやり方もできます。
下の画像は上記のグラデーションマップを適用した画像にオーバーレイなどのレイヤーを重ねて仕上げたもです。
手で色を重ねるのとはまた違った風合いを出すことができます。
まとめ
グリザイユ画法というのはとにもかくにも「最初のグレー塗りが肝心」です。
最初のグレー塗りがしっかりできていればカラー化や仕上げはほんの少し手を加えるだけですむからです。
みなさんもぜひグリザイユ画法に挑戦してみてください。