【小学館 まんが家養成講座】印象に残るコマ割りと構図を考えよう!
まんがの描き方を基礎から教える【小学館 まんが家養成講座】!今回はコマ割りと構図についてレクチャーします。ページ全体の構図を考えて、タチキリや見開きなどの変形ゴマを効果的に使用すると、より読者の印象に残る場面づくりができます。
コマ割りの基本ルールについては、『【まんが家養成講座】見やすいコマ割りをしよう!』もあわせてご覧ください。
コマはそのひとつひとつに意図がある
コマ割りと構図についてはセットで考えたほうがスムーズです。ここであらためて、それぞれの言葉について説明すると、
- コマ割り
ワク線で区切られた絵(コマ)をページの中で、どんな大きさ・形でどの順番で配置するか、考えること - 構図
ひとつのコマの中で描かれる絵(背景や人物、効果など)をどのように表現するか、視点や物体の大きさなどから考えること
となります。
たとえば、主人公とライバルが海にいて、対決しようとしていることをきちんと伝えたいから、背景には砂浜があって、斜め上から見下ろしたような絵に2人を配置する構図にして、大きなコマに。次のコマは主人公の決意にみちた顔のアップを入れよう、大きさは…というようにコマ割りをしていきます。
大切なのは、そのコマで何を表現したいかです。
それによって構図もコマの大きさ・形なども決まるのです。
読者の印象に残るコマ割りとは
コマの基本はワク線で四角く囲んだものですが、もっと迫力を出したい、もっと印象的にしたいなどの場合、変形ゴマなどを使うことがあります。
多用しすぎると読みづらくなってしまいますが、ここぞというシーンで使うととても効果的です。
絵が広く描けるタチキリ
まんが雑誌を読んでいると、紙いっぱいに描かれたコマをよく見かけます。タチキリ(裁ち切り)というコマです。
原稿用紙の版面(内側の青色の線)からはみ出して描きますが、広くコマがとれるので、背景をきちんと描き込んだり、キャラも大きく描くことができます。
変形ゴマの一種ですが、多用してもさほど読みづらくならないため、最近はほぼ全ページをタチキリで描くまんが家さんもいるようです。タチキリの例をあげてみましょう。
それぞれ1コマ目を変えてみました。①は通常のコマ、②がタチキリのコマです。
全体のコマの配置を変えずに、②は背景や人物が大きくできます。新キャラの登場シーンなどでは効果的ですね。
③はさらにワク線をなくしてみました。絵がさらに広々としますが、これは多用せず、アクセント的に使ったほうがいいと思います。
なお、下のイラストのように、雑誌のノド側(雑誌を綴じている部分)に向けたタチキリもありますが、ノド側は読みにくいので使わない方がいいでしょう。
また、タチキリを使う場合はフキダシのセリフ位置にも注意してください。
あまり外側にセリフの文字を入れると、印刷されたときに切れてしまい読みにくくなったりします。セリフはなるべく版面内に収めてください。
ここぞというときの見開きカット
クライマックスなどで、さらに大きく絵を入れたい場合は、右ページ・左ページ両方を使った見開きカットが効果的です。
2ページをすべて1カットに使う場合だけではなく、下のサンプルのように上段のコマだけを見開きにすることもあります。
変形ゴマで画面に変化を
通常の四角いコマではなく、斜めや台形にコマをとって表現することもあります。
構図との関係で、斜め上からの見下ろすようなアングルなので台形にコマをとりたい、スピードや動きの方向を出したいので斜めにコマをとりたい、などの場合です。
変形ゴマは、いいアクセントになりますし、画面に華やかな感じを出したりできるので重宝します。
下のサンプルでは、同じシーンを、①が通常の四角いコマ、②が斜めの変形ゴマで表現してみました。サンプルのような動きのあるコマでは、②のほうが、迫力がありますね。
もちろん変形ゴマにしても、あまり効果がないこともありますし、多用すると読みづらくなってしまう場合もあります。
使いどころと効果を考えて選択しましょう。
※本記事は小学館新人コミック賞公式ホームページ内の連載講座『新コミまんが家養成講座』から提供いただいた記事に一部編集を加えたものです。
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