【ぎっくり腰?慢性的?】絵描きの職業病「腰痛」の対策

長時間、同じ姿勢をキープしながら集中して絵を描いている時、ふと気がつくと「腰が痛い…!」という経験はありませんか? 「腰痛」持ちの日本人は多いですが、腰痛は腱鞘炎よりも深刻な「絵描きの職業病」の一つです。腰痛の予防策と治療法について見ていきましょう。

 

「腰痛」とは、読んで字のごとく「腰に痛みを感じる状態」のことです。

腰周辺の筋肉が凝り固まったり、背骨に負担がかかったりすると痛みが発生します。

 

「誰でもあることだから」と放置していると、「坐骨神経痛」など、足全体が鋭く痛むようになってしまう可能性もありますから、長く絵や漫画を描くためには、腰痛をしっかりと予防することが大切です。

 

 

腰痛の原因はコレ!

 

では、そもそも腰痛の原因とは何でしょうか?

 

「人間は二足歩行になったために腰痛になりやすくなった」といわれています。重い頭を二本の足で支えると、腰は身体の中心に位置することになります。そのため、腰は身体の動きを支える基盤になったそうです。

 

動きを支える基盤ということは、無理な動きは腰への負担となり、蓄積された負荷は、やがて痛みに変わります。この痛みが「腰痛」です。つまり、腰痛の原因は「腰への負担」です。具体的には次のようなことが腰の負担となります。

 

1)姿勢が悪い

「姿勢が悪い」と一口に言ってしまうと、背筋が曲がっている人を思い浮かべるかもしれません。背筋が曲がっている人・猫背の人は当然ですが、「脚を組む人」や「無理な姿勢で長時間座っている人」の姿勢も該当します。いすの高さやデスクの環境で無理な姿勢をしている方や、脚を組む癖のある方、猫背気味の方は要注意です。

 

2)長時間の座った姿勢

そこまで姿勢が悪くなかったとしても、「同じ姿勢で長時間座る」だけでも腰痛の原因になりえます。

特に仕事で絵や漫画を描く場合、長時間いすに座って同じ姿勢で描き続ける必要がありますので、腰に大きな負担がかかってしまうのです。

 

3)運動過不足

「運動不足」はさまざまな不調の原因になることが知られていますが、「運動不足」だけではなく過度な運動も腰の負担になる場合があります。

絵を描く人はインドアな人も多いですが、「腰痛だ!運動不足だ!運動しよう!」と、無理な運動をすれば、腰痛を悪化させてしまう可能性がありますのでご注意ください。

 

 

さまざまな原因を挙げましたが、実は「原因不明の腰痛」がほとんどだと言います。ストレスが腰痛に繋がる場合もあるので、適度なリフレッシュも心がけると良いでしょう。

 

腰痛になってしまったら?

 

「今、まさに腰痛持ちなんだが…」

と、おっしゃる方々もいらっしゃることでしょう。

腰痛の治療法は多種多彩です。痛みのあまり動けないような症状の場合は、病院に急行した方が良いでしょう。

一方、比較的軽度な場合、一人でするマッサージやストレッチを実施している人が多いようです。

 

1)まずは、こまめにストレッチ

同じ姿勢を続けることは、腰痛への第一歩になります。「疲れてきたな……」と思ったら、作業を少し中断し、その場で背伸びをしてみましょう。

ストレッチ自体が痛みを伴う場合は、ストレッチ方法を見直しましょう。無理に既存のやり方を続けると、余計に悪化してしまいます。

 

2)正しい姿勢で日々過ごす

バッグを片方の肩にばかりかけ、長時間ハイヒールや硬い革靴を履くのも腰痛の原因に繋がります。椅子に座る時は、足をしっかり床につけて座りましょう。

もちろん、寝る時も正しい姿勢!うつ伏せで眠ると、腰椎が反り返って腰への負担に繋がります。

 

3)整形外科を受診する

ストレッチが痛い、寝る時はいつの間にかうつ伏せ…。そんな方は一度、整形外科での受診をおすすめします。

慢性的な腰痛になればなるほど、「いつものことだし」と、病院を後回しにしがちです。ほうっておけば坐骨神経痛など、他の痛みや病へ繋がる危険性があります。

 

慢性的な腰痛はぎっくり腰のような急性の腰痛と異なり、鈍い痛みがいつの間にか感じられ、いつまでも続きます。長期間の治療も見込まれますので、早めの受診はもちろん、さまざまな医療制度もあわせて活用しましょう。

 

ちなみに、慢性の場合は急性と異なり、湿布効果があまり見込まれません。

というのも、ぎっくり腰のような突然の腰痛は、腰の筋肉の炎症を起こしています。炎症は「炎の症状」と書くように、冷やすことで症状を軽減させます。一方、慢性の腰痛は、通常激しい炎症というわけではないので、温めたり、動かしたりといった血行を良くすることが効果的といわれています。

もちろんこれがすべての症状に当てはまる訳ではないので、あくまで参考として覚えておいてください。

 

腰痛にならないために

腰痛にならないためには、以下の3点を心がけることが大切です。

 

(1)正しい姿勢
(2)適度な運動
(3)ストレス解消

 

絵を描く場合、前かがみのまま、同じ姿勢で長時間、座りっぱなしになってしまいがちです。

例えば、30分に1回は休憩がてら、「腰を回す」「身体を伸ばす」などのストレッチをしましょう。脚を組む癖があるなら、時々逆の脚を組みなおしてみるのも良いでしょう。また、慢性の腰痛にならないためには血行を良くすることが大切です。

 

40度くらいのお湯でゆっくり入浴し、痛みがなければ、お風呂上りのストレッチも効果的です。ただし、勢いよく腰を回したり、捻ったりすると、ぎっくり腰になる危険があります。ゆっくり動かすことを心がけましょう。

筋力の衰えもまた、腰痛の原因の一つです。室内にこもりがちになりますが、たくさん絵を描くなら、適度な運動で筋力をつけるのも重要です。過度な運動ではなく、家の周りで散歩をしたり、ジョギングをしたりなど、気分転換も兼ねた運動がオススメです。

 

 

絵描きは身体が資本です。上手に身体と付き合いながら、絵を描いていきましょう!

 

(制作:ナイル株式会社)
(執筆:哀川 空)
(イラスト:守若ごま)

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