大人気漫画「潔癖男子! 青山くん」のシンプルで美しい画面作りに迫る!!
ヤンジャン新人漫画賞「シンマン賞」人気企画から特別掲載! 期待の新人作家が大人気作家に漫画作りの極意について直撃!! 今回は「潔癖男子! 青山くん」の坂本拓先生が登場! ヤンジャン新人漫画賞「シンマン賞」大人気企画を特別掲載!
スッキリとした画面は少ない線で!
三好:話も画面もとても読み易いのですが、気を付けている事やこだわりはありますか?
坂本先生(以下、坂本) :そう言って頂いて、ありがとうございます。漫画のタイトルが「潔癖」と付いているので、画面はなるべくスッキリと見える様に意識して作画をしています。
画面作りの際の一番のこだわりとしては、「少ない線でしっかりとした絵」を描く事です。線を多くしてしまうと、どうしても画面が黒くなりがちで、スッキリとした読み易さがなくなるような気がするので。
山田:なるほど!! でも、少ない線で描くにはデッサン力がとても大事になりますよね?
坂本:そうですね。絵が未熟だと、やはり画面全体が映えませんので、デッサンの練習は努力しました。デッサンだけの練習だとどうしても飽きてしまうので、とにかくたくさん原稿を描くことで練習をしました。
少ない線でしっかりとした絵を描くのは難しいのですが、スッキリとした画面を重視したかったので、その努力は惜しまずにしました。
▲なるべく少ない線でスッキリと画面を作る
三好:画面作りで他に気をつけていることはありますか?
坂本:意識しているのは、各ページごとの情報の量です。特にセリフに関してですが、なるべく最小限にしています。無駄なセリフは省いて、漫画的に絵や演出で説明することを意識しています。
自分の中の、感覚的なものですが、1ページごとの適度な情報量があって、それを越えない様に気をつけています。
山田:「潔癖男子! 青山くん」はテンポが非常に良いです!! 何か気をつけていることはありますか?
坂本:ありがとうございます。そうですね・・・。コメディ漫画ですので、テンポの良さは毎回注意しています。
例えば、ストーリーの流れを止めるような小ネタは省きます。小ネタを入れるとしても、それはコマの端で良いと考えています。そうすることで、なるべくテンポ良く読んで頂けるように意識しています。
▲小ネタはコマの端に配置
最小限のセリフやコマでも情報が溢れる漫画をめざしています
キド:僕は読切を描くと、どうしてもページが長くなってしまいがちです。何かアドバイスを頂けると・・・。
坂本:なるほど。恐らく、それは必要のないコマやセリフが多いのだと思います。1話の中にある全てのコマやセリフは、その回で「一番見せたいところ」を活かすためにあると思います。なので、それ以外のコマやセリフは排除しています。
キド:「青山くん」は1話読切形式なので、週刊の18ページだと大変そうだなと・・・。
坂本:毎週、ネームの段階で頑張って削っています・・・。先ほども伝えたのですが、少ない線、最小限のセリフを意識はしていますが、それでも画面からの情報量が溢れている作品ってありますよね。
それは漫画として絵や演出を効果的に見せる以外にも、読者の想像でカバーできるところまで削っていると思うんです。目指すは、そんな、最小限のセリフやコマでも情報が溢れる漫画なんです。
▲目指すは、最小限のセリフやコマでも情報が溢れる漫画。
<作家紹介>
■坂本拓
富山県出身。2014年より、増刊「ミラクルジャンプ」 にて「潔癖男子!青山くん」を連載開始。 2015年より週刊ヤングジャンプにて移籍連載開始。コミックスは現在第6巻まで好評発売中!!
■キドジロウ(左)
2016年YJ10号にて「イマジンボーイ」掲載。連載に向けネーム制作中。
■三好祐(中央)
2015年増刊「ミラクルジャンプ」にて「リピート」掲載。読切掲載に向けネーム制作中。
■山田シロ彦(右)
2015年増刊「ミラクルジャンプ」にて「まゆげ。」掲載。読切掲載に向けネーム制作中。
※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『人気漫画家に学ぼう!』坂本拓先生へのインタビュー第一週を特別掲載しました。
第二週~第五週でも引き続き新人作家さんたちとの座談会を実施! キャラクター作りやストーリーの展開、新人作家へのアドバイスについて伺います!!
気になる内容はヤンジャン「シンマン賞」公式サイト(http://youngjump.jp/shinman/)をチェック!!
(第33回 審査員:坂本拓 新人漫画家:キドジロウ、三好祐、山田シロ彦)
(C)坂本拓/集英社 (C)キドジロウ/集英社 (C)三好祐/集英社 (C)山田シロ彦/集英社