【漫画作りの魔法を学べッ!】岡本倫先生に聞くストーリーの法則
漫画作りの極意を連載作家から伺うこの企画!! 今回はテレビアニメ化もされ話題となった大人気作品「極黒のブリュンヒルデ」の岡本倫先生が登場!! 独特の作風で読者を未知の世界へと誘う岡本先生のマンガの魔法を、3人の新人作家が伝授してもらいに行くぞ!! ヤングジャンプ新人漫画賞「シンマン賞」大人気企画を特別掲載!
新人作家からの質問 その1!
――岡本先生の作品では、非業の死を遂げるキャラが多く感じますが…?(平岡滉史)
岡本先生:
ミステリーな漫画であれば「キャラクターが死ぬのか!?死なないのか!?」という部分で読者にドキドキしてもらいたいと思っています。
誰かしら死なないと物語に緊迫感が出ないじやないですか。特に作品のメインにくるキャラクターって「どうせ死なないだろ?」って読者に思われがちなので、盛り上がりに必要であればメインキャラでも殺します。
ただ、単にキャラが死んで終わりではなく最低限読み手がカタルシスを感じるように配慮は必要ですよ!
↑いつ誰が死んでもおかしくない緊張感があるからこそ、展開に予測がつかず、読み手は物語にスリルを味わうことができる。
新人作家からの質問 その2!!
――「死」を描くうえで心がけていることなどありますか?(柚村美吉)
岡本先生:
死の描写があまりにも気持ち悪く映らないように心がけています。死体の顔とかもできるだけ出したくないですね。あと痛そうなのも嫌です。
なんとなく腕とか足が吹っ飛んでも痛そうじゃないけど、爪の間に針とかは痛そうじやないですか(笑)
あとはそのキャラを再登場させるかどうかにもよりますね。
首を飛ばすのは基本的にもう登場させるつもりがない時です。「まだこの後も再登場させようかな?」というときは腕だけ飛ばすことが多いですね。
↑残虐に映る描写の中にも最低限の配慮が払われている。キャラの死はただ読み手に不快感を抱かせることが目的ではないのだ。
新人作家からの質問 その3!!!
――キャラクターが死ぬとお話が暗くなってしまわないか心配なのですが…。(奥悠)
岡本先生:
死んでしまうキャラクターが何かを達成してから死ねばいいのではないでしょうか。例えば『北斗の拳』のラオウが「わが生涯に一片の悔いなし!!」って残してから死んでもそんなに可哀想に映らないですよね。
あとは明るい性格のキャラを出すとか。『極黒のブリュンヒルデ』に「カズミ」というキャラクターがいるのですが、彼女はわがままなので動かしやすく、登場すると場の雰囲気が明るくなるので、そうしたキャラクターを起用することも手段の一つなのかなと思います。
↑『極黒のブリュンヒルデ』に登場する「カズミ」の描写。
絶望的な展開が多く描かれる中で、決して読後感が重くならないのは、明るい日常パートの役割でもあるのだ。
<作家紹介>
■岡本倫
和歌山県出身。2002年「工ルフェンリート」でデビュー。同作品はアニメ化もされ高い人気を博す。2007年「ノノノノ」連載開始。2012年「極黒のブリュンヒルデ」を連載開始。シリアスかつシュールな作風で国内外問わず数多くの読者の支持を集めている。また「君は浮らな僕の女王」(作画:横槍メンゴ)の原作を担当するなど近年は原作者としても活躍の場を広げている。
■平岡滉史(左)
圧倒的な画力を武器に「オレのロボットYUI」「鬼伝」で2O15年3月期、5月期のシンマン賞でそれぞれ期待賞を受賞。当面の課題はお話作り。
■柚村美吉(中央)
「同じ穴の狢」で2015年2月期シンマン賞で佳作を受賞。深いメッセージ性のある繊細な作風が評価される。現在は読切掲載に向けて日々奮闘中。
■奥悠(右)
シンマン賞受賞を虎視眈々と狙う新人作家。画力、ストーリーともにレベルが高いが、その実力は未だベールに隠されている・・・!?
※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『人気漫画家に学ぼう!』の岡本倫先生へのインタビュー第一週を特別掲載しました。
第2週~第5週でも読者を引き込むストーリーづくりやマンガのアイデア出しのヒントがいっぱい!第一線で活躍し続ける岡本先生の回答が気になる方はヤンジャン「シンマン賞」公式サイト(http://youngjump.jp/shinman/)でチェック!!
(第25回 審査員:岡本倫 新人漫画家:平岡滉史・柚村美吉・奥悠)
(C)岡本倫/集英社 (C)平岡滉史/集英社 (C)柚村美吉/集英社 (C)奧悠/集英社