【藤崎竜先生に聞く!!】作品が面白くなるキャラ&ストーリーメイキングのコツ!
漫画作りの極意を大作家から伺うこの企画!今回は代表作『封神演義』で知られ、現在『銀河英雄伝説(原作:田中芳樹)』を週刊ヤングジャンプにて連載中の藤崎竜先生が登場!! 数々の傑作を生み出してきた藤崎先生の発想法・思考法を伝授してもらうため、3人の新人漫画家が突撃! ヤンジャン新人漫画賞「シンマン賞」大人気企画を特別掲載!
新人作家からの質問 その1!
――藤崎先生のキャラづくりの秘訣を教えてください。(瀬戸内はる)
藤崎竜先生:
まずはあまり考えすぎずに「どういうキャラがいたら面白いか」を思い浮かべます。
次に、そのキャラは何がしたいのか、目的・動機の部分を考えて、感情や行動をブレないようにします。
目的が「有名になりたい!」でも何でもいいんですけど、一体何のために有名になりたいのか…とか、何がキッカケで有名になりたいと思っているのか…など、動機の部分が読者の興味を引くものであるかをしっかり考えると良いと思います。
それを達成する手段として、スポーツがあったり、バンドをする…という作り方のほうがキャラクターの魅力が増すと思います。ただやりたいからやる、というのでは読者に対して説得力が足りないと思います。
▲「かくりよものがたり」より。動機が指針となれば、キャラクターの行動ーつーつが説得力のあるものになる。
新人作家からの質問 その2!!
藤崎竜先生:
悩みがちな人とそうでない人の違いとして、普段から他人をどこまで見ているか、そして本気で面白がっているかがあると思います。
要は、人間観察を興味をもってしているかの違いだと思います。
自分は比較的、他人が面白がらない部分まで面白いと感じるタイプなので、他人がみたら全く面白くないんだろうなというところも、「この人のこういうトコロ、たまらんなあ…」と思っていたりします。
自分が面白いと思えるものを極端に強めていけば、悩まずにキャラが作れると思います!
また、例えば“すっとぼけてる”など、キャラに添えられる個性は作り手の気質や性格が出ると思います。
無理に作りすぎず、自分が自然に動かせるキャラにしていけば良いんじやないでしょうか。
▲「かくりよものがたり」より。描き手自身が面白いと思えるキャラクターなら、比較的動かしやすいはず!
新人作家からの質問 その3!!!
藤崎竜先生:
自分が考えるのは、「キャラクターたちに何をやらせたら面白くなるか」ですね。
例えばバンドだったら、いきなりスゴイ舞台に立たされることになるとか。
出来事に対応していくキャラたちの様子が面白ければいいと思います。
あるいはキャラの根本の動機と、キャラが達成すべき目標がかけ離れていればいるほど面白いと思います。
漬物をつくりたいからバンドをやる!みたいな。そんなおかしなことを思うのはどんなやつだろう…と読者の興味を引きますし、キャラが広がっていくと思います!
▲おなじく「かくりよものがたり」より。無理難題であればあるほど、乗り越えていく様子に興味をかさたてられる。
<作家紹介>
■藤崎竜
青森県出身。1992年、週刊少年ジャンプにて「PSYCHO+」で初連載。その後1996年に連載開始した「封神演義」がアニメ化され、多方面から支持を得る。また『屍鬼』、『かくりよものがたり』など多くの作品で人気を博し、2015年YJ45号から「銀河英雄伝説」が新たに連載開始。奇抜なキャラデザ、幻想的な世界観など独特な作風に根強いファンも多い。
■瀬戸内はる
『スラムベア』で2014年12月期シンマン賞にて準入選を受賞。心に響く物語が好評価を博している。同作のMJ掲載を経て、現在は連載権獲得を目指して奮闘中!!
■イケダリョウヘイ
『LEMONADE』2015年5月期シンマン賞にて佳作を受賞。次のステップとして読切掲載へ日々奮闘するも、気合いが少し空回り!?何かヒントを掴めるか・・・!?
■アオクロ
シンマン賞での受賞を目論む新人漫画家。繊細な描写力をベースに、近日シンマン賞に殴りこみ予定!3人の中で一番寡黙な人柄だが、存在感を示せるか・・・!?
※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『人気漫画家に学ぼう!』藤崎竜先生へのインタビュー第一週を特別掲載しました。
第二週~第五週でも引き続き藤崎竜先生が作画にコマ割り、意識したほうが良い点などなど新人作家さんたちの悩みに答える座談会を実施!気になる続きは(http://youngjump.jp/shinman/)をチェック!
(第28回 審査員:藤崎竜 新人漫画家:瀬戸内はる、イケダリョウヘイ、アオクロ)
(C)田中芳樹・藤崎竜/集英社 (C)瀬戸内はる/集英社 (C)イケダリョウヘイ/集英社 (C)アオクロ/集英社