shichigoro-shingo先生(5)密度のある質感の描き方とそのコツ
前回は、顔のレイヤーに「カラーの追加」を行う作業の流れをみていきました。今回はテクスチャの柄を生かしながら描き足しを行い、質感を上げていく工程を確認しながらshichigoro-shingo先生のデジタルの特徴を生かした描き方を学んでいきたいと思います。
はじめに
今回は下図、赤枠内の工程「テクスチャの柄を生かした描き足し」を見ていきます。
手順の前後や若干の差異はありますが、下図を思い浮かべながら実際の作業の流れをみていくと解りやすいかと思います。
特にどのようにレイヤーが使用されているかに注目しながら作業を確認してみてください。
テクスチャの柄を生かした描き足し
今回はテクスチャの柄を生かしながら描き足しを行い、質感を上げていく工程となります。
shichigoro-shingo先生は、新たにテクスチャを追加して描き込みと調整を繰り返す中で変化していく質感から更に新しくイメージを膨らませ、その場で直感的にテクスチャを描き足していきます。
・テクスチャの追加
実際の作業工程を確認していきましょう。
顔の領域に切り抜いたテクスチャレイヤーを複製して顔のベースのレイヤーの上に、移動した後、レイヤーの[合成モード]を[乗算]に切り替えます。
テクスチャレイヤーの[明るさ・コントラスト] と[色相・彩度・明度]を調整した後、テクスチャレイヤーの一部を削除しながら、調整をおこないます。完了したら顔のベースレイヤーと結合します。
・テクスチャの描き込み①
新規レイヤーを作成します。
顔のベースのテクスチャの柄を生かしながら、線を描き足していきます。
追加した亀裂の線に沿うようにハイライトも描き足して立体感を出していきます。描き足したレイヤーの[合成モード]を[ソフトライト]に切り替え、レイヤーを複製して描き足した線を強調します。
最後に複製したテクスチャレイヤー2枚と顔のベースレイヤーを結合します。
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・調整①(明暗の描き足し)
新規レイヤーを作成して、レイヤーの[合成モード]を[ソフトライト]に切り替えます。
明暗を描き足していきます。完了したら顔のベースレイヤーと結合します。
・テクスチャの描き込み②
新規レイヤーを作成して、レイヤーの[合成モード]を[ソフトライト]に切り替えます。
先ほどの工程と同様に、テクスチャの柄を生かしながら線を描き足していきます。
首から胸にかけても、同様に線を描き足していきます。
額にも同様に線を描き足していきます。
・調整②(明暗の描き足し)
陰影を追加した後、顔のベースレイヤーと結合します。
最後に、顔以外の領域を削除してレイヤーを整理します。
顔のパーツが完成しました。
今回で最終回となりますが、お伝えしきれなかった顔以外の髪、服、背景パーツの描き方も、ほぼ同様の工程を経て描き込みが行われています。
テクスチャを使用しながら「新規レイヤーを作成→レイヤーの[合成モード]や透明度を変更→描き込み→ベースとなるレイヤーとの結合」を繰り返すことで密度を上げていき、描き込みと調整を繰り返す中で変化していく質感から、更に新しくイメージを膨らませ、その場で直感的にテクスチャを描き足しく制作方法は、みなさんも参考になったのではないでしょうか。
みなさんもぜひ、shichigoro-shingo先生の様なデジタルの特徴を生かした制作方法に挑戦してみてください。
今回の質疑応答の続きや、ライブペインティングの様子、チュートリアルなどは下記の動画に収録されています。ぜひチェックしてみてください。
Shichigoro-shingo
イラストレーター
1977年、神奈川県生まれ
2010年よりインターネットを中心に創作活動を開始。
機械と生命が融合した様な独特の世界感が好評を博し、
世界中のファッションブランドや音楽レーベルとコラボをするなど、
インターナショナルに創作活動を展開。
日本国内でも2015年に学校法人モード学園 TVCM・広告イラストを手掛け話題に。
ASIAGRAPH 2011 最優秀作品賞 受賞。
Web:http://shichigoro.com/
Twitter ID:@shichigoro756