水を表現してみよう!水の描き方講座
イラストを描くときに難易度の高いモチーフのひとつである「水」の描き方について、解説を行っていきます。シチュエーションによって表情が変わる水の変化や動き方を詳しく紹介します。
この講座について
イラストレーターしぐれういさんによる「水の描き方講座」です。
最初に、この記事の内容がグッと理解しやすくなるPalmieの動画講座をチェックしてみましょう!
1. 水の基本的な表現
■水と光の関係について
まず、水を描くにあたって、水と光の関係について把握しましょう。
最初に一般的な「不透明の物体」で考えてみます。不透明の物体に光があたると、光と反対の方向に影が落ちます。
ところが、水などの「透明な物体」では、影の方向が全て逆さまになります。
つまり、光源側に影ができるのが大きな特徴です。
また、透明な水は周囲のものが映り込む部分が出てきますので、その点もしっかり表現しましょう。
仕上げに、光源側の表面に反射しているハイライトを入れてみましょう。
これが水の基本的な描き方です。
■水の表現にリアリティを出すポイント
さらに水の表現によりリアリティを持たせるためは、2つのポイントがあります。
1つ目は、水に透ける対象を描くことです。透ける対象を描くと、透明感を増すことができます。ここで忘れてはならないのは、透ける対象を描いたあと、 フチに映り込みを描くことです。水は平面ではなく立体物なので、まわりにも物が反射してうつります。
2つ目は、水の内部を描くことです。水の内部では、影を色濃く描くことによって、より水らしい表現になります。
2. 水の動きについて
では、球体の水を動かしてみましょう。水が水滴として落ちる時に、どのような形となって落ちていくのかを考えていきます。
①まず、左右から中央へ向かって水が少しずつ溜まります。
②それが進むと、お餅の膨らんだ部分を逆さまにしたような形になっていきます。
③そのまま重力に負け、溜まっていた部分より離れていきます。その際に上側に残った水は波打つような動きを見せます。
一方、離れた水滴の方は、雪だるまのように落ちるに連れて加速度をつけ、分離します。
④水は表面張力が大きいので、ある程度まとまったまま落下します。この時の水の形をアレンジしてみるのもよいでしょう。
⑤そのまま落下した水滴の形はどうなるでしょうか? 地面に触れた水滴は筒のような形になります。この形を「ウォール」と呼びます。
⑥ウォールは一瞬のうちに崩れ、「ミルククラウン」という形に変化します。
⑦ミルククラウンも一瞬形を取ったあと、そのまま分散します。
⑧そのはずみで空洞に水が集まり、中央の水が盛り上がります。
⑨それを小さく1、2回繰り返し、水は地面に平行になります。
このような水の動きを把握しておくと、雨に濡れたときの表現や、水たまりを踏んだ時の表現、汗の表現、コップから滴る水の表現など、様々なシーンで応用がきくので便利です。
3. まとまりのある水の表現
最後にまとまりのある水の表現について考えてみましょう。
水は重力の影響を強く受ける物質です。つまり、重力を受けた分だけ、より乱雑に変形していきます。それを意識して3つの動きを把握しましょう。
■上に向かって噴射する水
上に向かって噴射する水は、最初は勢い良く上に向かって水が噴き出ますが、重力の影響を受け、すぐに散らばりながら落ちてきます。落ちるときに直線ではなく、曲線を描く流れを意識すると、より水らしくなるでしょう。
■水平に向かって噴射する水
水平に向かって噴射する水は、上に向かう水と同様に、最初は勢いよく向けた方向にまっすぐ噴射します。その後、乱雑に大きく広がり落ちていきます。小さいしぶきなども描くと、リアリティが増すでしょう。
■下に向かって落ちてゆく水
下に向かって落ちてゆく水は重力に逆らうことがないので、ほとんど直線に落ちていきます。蛇口を上に向けたときは、ゆるやかな曲線を描いて下方向に落ちていきます。その時はまとまった水でも、うねりを加えると動きを出すことができます。
以上で水の描き方講座は終了です。水は動きが自由自在なのに加え、透明なので難易度の高いモチーフの一つですが、コツを覚えると、表現の幅が広がります。
身近にある水をよく観察して、写真をとって参考にするのも良い方法だと思います。ぜひ挑戦してみてくださいね!
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