【キングダム流極意!】原泰久先生のキャラクターをつくる思考法!
迷える新人漫画家さんの悩みに、大人気漫画「キングダム」を連載中の原泰久先生が座談会方式で直接アドバイス! 原先生の漫画の描き方の極意を余すことなく披露した座談会の模様を、ヤングジャンプ新人漫画賞「シンマン賞」大人気のインタビュー企画より特別掲載!
新人作家からの質問 その1!
――「主人公に魅力を感じない」と言われます。まず何からやればいいのでしょうか?(菅原カルキ)
原先生:多くの読者が読みたいのは、主人公の物語です。
その際、身分や性格など主人公と対比になるキヤラがいれば、そこに生まれる関係が面白くなりそうですよね。
「キングダム」では信と嬴政(以下:政)の二人の対照的な身分間の友情があります。
主人公の目的も、信が下僕から大将軍を目指すというように、主人公の現在と未来で対比が利いたほうがいいです。
また、信と政の友情をつなぐため、信と共に大将軍を夢見た親友で、政の影武者になり命を落とした漂の存在は不可欠でした。
登場人物たちの関係性が弱ければ、話自体がハッキリしません。そうならないためにも、相関図をもとに話を整理すればいいと思います。
新人作家からの質問 その2!!
――「どの作品でも登場人物のキャラや関係が似すぎ」と担当編集から指摘を受けたのですが…。(佐藤祐依)
原先生:読切で描きたい=主人公にしたいキャラが幾つもあることってあまりないのでは?
描き手の頭の中から出なければ、リアリティがないキャラになってしまうかもしれない。新しいキャラクターを出す際は、他の登場人物とのバランスを考えます。
「キングダム」では当初、信・政・羌瘣の3人組の予定でした。しかし皆が強いというのはどうかと考え直し、読者に近い目線をもつ河了貂を3人組に入れました。
新人作家からの質問 その3!!!
――愛すべきキャラクターを生み出すために意識していることはありますか?(池上ナオ)
原先生:既に話した相関図のように、ノツボ、太り気味といった用にキャラの配置として考える特徴はあります。
それ以外に“言葉”も重要です。
決め台詞だったり、いいシーンで心に響く言葉が出ると、読切作品にしてもよくなると思います。「キングダム」で言えば、信の「天下の大将軍になる」、王騎の「ココココ」、河了貂ならポーズ付きで「河了貂也!」。
騰の「ファルファル」という擬音なんかもキャラ印象を際立たせます。
<作家紹介>
■原泰久
2003年、月例MANGAグランプリにて「覇と仙」で奨励賞を受賞。2006年から「キングダム」連載開始。圧倒的なスケール感と他にはないドラマ性が幅広い世代に支持される。また同作品で第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。
■菅原カルキ (左)
「魔法女装年♥あくる」で第15回シンマン賞月間ベスト&期待賞を受賞。つい先月成人式。好きなジャンルはファンタジー。
■佐藤祐依 (中央)
「Schwester」で第16回シンマン賞で期待賞受賞。笑いのツボが独特な道産子GirI。好きなジャンルはSF。
■池上ナオ (右)
ComicWalker(KADOKAWA)連載準備中。趣味はレゴいじり。3人の中で最年長26歳、好きな女性は大林素子。
(C)原泰久/集英社 (C)菅原カルキ/集英社 (C)佐藤祐依/集英社 (C)池上ナオ/集英社
※本記事は集英社週刊ヤングジャンプ公式サイト内の月例新人漫画賞【シンマン賞】特別企画、『人気漫画家に学ぼう!』の原泰久先生へのインタビュー第一週を特別掲載しました。
第二週~第四週でも3人の新人作家さんたちが漫画作りに関わる悩みを原先生にぶつけます!
気になる内容はヤンジャン「シンマン賞」公式サイト(http://youngjump.jp/shinman/)でチェック!!
(第20回 審査員:原泰久 新人漫画家:菅原カルキ・佐藤祐依・池上ナオ)