同人誌のキホン⑦完成した原稿の印刷所入稿方法と製本工程を解説
『同人誌のキホン』第7回です。同人誌をいよいよ印刷所に入稿する段階に到達しました! でも油断は禁物。色々な入稿パターンがあるほか、同封物に決まりもあります。ポイントをしっかり押さえておきましょう。
印刷会社への入稿方法
印刷会社への入稿には、いくつかの方法があります。
オンライン入稿(Web入稿)
デジタル原稿をインターネットで送付する方法です。パソコンをインターネット回線につないでいることが前提となりますが、送付に時間がかからず、とても便利です。アナログ原稿ではこの方法を利用できません。
オンライン入稿について詳しくは次の項目「オンライン入稿ってどうすればいいの?」をご覧ください。
宅配便・郵便での入稿
宅配便や郵便で印刷会社へ紙のアナログ原稿やデジタル原稿データを入れたCD-Rなどの記録メディアを送付する方法です。原稿やメディアは緩衝材で梱包します。配送時間を考慮し、締切日までに届くよう注意して送りましょう。
直接入稿
原稿を直接印刷会社に持って行く方法です。近くに事務所や営業所がある場合は直接入稿することも可能です。 CD-Rなどに原稿データを入れて入稿します。印刷会社の場所・営業時間をきちんと確認して訪問しましょう。印刷会社によっては事前の電話連絡が必要な場合もあります。
POINT 直接入稿のメリット
直接入稿は普段、電話やメールでしかやりとりのない印刷会社の人たちと直接話ができるので、自分と印刷会社の距離がぐっと縮まるような気がします。原稿制作で疲れた時に印刷会社の人が優しく対応してくれたりすると、癒されます。印刷会社へ赴いて、同人誌を作っている場所の雰囲気を味わってみるのもいいでしょう。
オンライン入稿ってどうすればいいの?
「オンライン入稿」といっても印刷会社により方法は様々です。どのような方法があるのでしょうか。
インターネットでの入稿の種類
■印刷会社のホームページから入稿
印刷会社で独自のサーバーやシステムを整備している場合、印刷会社のホームページから入稿できます。印刷会社のウェブサイトで会員登録をして、発行された IDとパスワードを使用します。
■FTPソフトを使用した入稿
FTPソフトを使用してサーバーへアクセスする方法です。FTPソフトをインストールし、ユーザー名などを設定してからファイルをアップロードします。設定の方法については、印刷会社やFTPソフトのマニュアルを参考にしてください。
■メール、またはファイル転送サービスを使用した入稿
メールの添付ファイルや、無料のファイル転送サービスなどを利用した入稿を受け付けているところもあります。
POINT オンライン入稿のメリット
オンライン入稿は、直接入稿と違って「家にいながら入稿できる!」ことが最大のメリットです。もちろん「○時までに入稿してください」という指定はありますが、その時間までにアップロードをすればいいので、宅配便の配送時間に比べると、数日多く作業ができます。
ただし、ファイルを圧縮してもそれなりに重いデータを送信することになるので時間がかかる場合もあります。
入稿するときに同封するもの
■発注書・申込書
デジタル原稿をオンライン入稿する場合は、印刷会社のウェブサイトの印刷申込みフォームが発注書を兼ねているため不要です。宅配や直接入稿の場合は印刷会社のウェブサイト等から、各会社のテンプレートを入手します。記入事項は、発注者の情報、依頼する印刷物の仕様、発送先の情報が中心です。発送方法には、自宅へ発送してもらう自宅発送と、イベントが行われる会場に搬入してもらう直接搬入などがあります。
■データの確認書・仕様書
印刷会社によっては、データ確認書やデジタル出力確認書の送付を指定しているところがあります。これは、原稿がどのような形式で作られたかを確認することによって、データの不備を未然に防ぐ役割があります。項目は解像度や保存形式といった基本的な情報ですが、入稿時に不備がないよう確認書の項目は必ずチェックしましょう。
■出力見本
出力見本の提出が必要な場合には、作品をプリントアウトしたものを FAX で送ります。画像データでも可としている場合には、JPEG で書き出したファイルを送付しましょう。画像サイズは横400 ピクセル程度が目安です。送付方法については印刷会社の規定を確認してください。
印刷料金の支払い
印刷料金は、入稿する前もしくは入稿と同時に支払いをします(印刷会社によっては後払いもできますが、例外的です)。もし、オプションや割引などがついていて総額がわかりにくい場合は、事前に印刷会社に見積もりを依頼しましょう。入金方法は銀行振込が一般的ですが、クレジットカード決済や郵便振替などがあります。
振込明細を送る場合は、念のためコピーを取って控えを手元に残しておきましょう。
同人誌ができるまで
印刷会社に入稿した原稿が、どのような工程で印刷・製本されて同人誌になるのか見ていきましょう。
原稿の確認
原稿が印刷会社に到着すると、まずは原稿がチェックされます。チェックする点は主に4つあります。
・ノンブル
・セリフ
・モアレ
・原稿サイズ
入稿準備をするときに十分確認したと思いこんでいても、「ノンブルが入っていません」等、印刷会社から連絡がくることもあります。不備があると、次の工程に進めず作業が停止してしまいますので、確認のメール・電話などがあった場合は早急に対応しましょう。
製本作業の工程
紙を束ねて本にすることを「製本」といい、製本作業がすべて終わると同人誌は完成です。印刷会社がどのように同人誌を作っているかをご紹介します。
(1)デジタル製版
デジタルデータを、製版機で特殊なフィルムに製版します。印刷会社によって製版機の種類が違うため、印刷の見栄えが微妙に異なります。
(2)印刷
製版したフィルム版を使用し、印刷機で印刷していきます。同人誌の一般的な印刷方法は「オフセット」と呼ばれ、版のインキをいったんゴム製の転写ローラーに転移( off)させてから、紙に押し当てて転移(set)をさせる間接的な印刷方法です。
※オンデマンド印刷は製版せずにデータから直接出力します。
(3)丁合
印刷した紙を断裁(断裁機で切る)した後に、丁合機を使用して中身をページ順に揃えて 1冊の本にまとめます。
(4)製本
製本機に紙を入れて製本していきます。同人誌は、主に無線綴じという背の部分を糊で接着する綴じ方で綴じられています。
(5)断裁
製本し終わったら、背以外の3方向( 天・地・小口 )を裁ち、規定のサイズにします(化粧裁ち)。
(6)完成
完成した本は冊数を確認し、単位ごとに分けて紙などで梱包していきます。
印刷会社から発送されたあと
製本が終わるといよいよ発送です。梱包して段ボールに詰められた本は、印刷会社から指定した納品先に発送されます。自宅発送を指定した場合は自宅に発送され、イベント会場搬入の場合は会場に直接搬入されたり、宅配便で搬入されたりします。直接搬入とは印刷会社のスタッフが直接会場に運び入れてくれることで、大きなイベントのときは直接搬入をしてくれる場合が多いです。
<同人誌のキホン講座一覧>
★第1回 同人誌と同人誌即売会について教えて!
★第2回 同人誌の形や印刷についての基礎知識
★第3回 同人誌を「本」にするための構成とは?
★第4回 同人誌表紙印刷の種類と特徴が知りたい
★第5回 同人誌の原稿用紙は表紙と本文で違う?
★第6回 同人誌をデジタルで作る理由
★第7回 同人誌の原稿を印刷所へ入稿する!
★番外編 コピー本の作り方を教えます!