仕上がりに差が出る!完成度を高めるシワの描き方講
イラストレーターのナス子さんによる「仕上がりに差が出る!完成度を高めるシワの描き方講座」です。 記事の最後には、この記事の内容がグッと理解しやすくなるPalmieの動画講座もありますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
1.この講座について
この講座では服のシワの出来方や、服の素材によるシワの違いなどを解説していきます。
シワの出来方を理解して、絵の完成度を高めましょう!
2.シワの出来方と種類
はじめに、シワのでき方と種類について解説をしていきます。
まず服のシワを考える時に、服の構造をあらかじめ知っておくと良いでしょう。
服は体にフィットするように、複数の型紙でできたパーツで構成されています。このパーツとパーツをつなぎ合わせた部分が、服のつなぎ目です。
例えばYシャツの場合、以下のイラストのように複数のつなぎ目がありますが、このつなぎ目をシワの始点としてシワの線を描いていきます。
つなぎ目を描くことで絵に説得力をもたせることができるので、しっかり描くこともポイントです。
やみくもにシワを描くのではなく、つなぎ目などのとっかかりをシワの描き始めにするようにしましょう。
シワを考える上で大事なポイントとしては、シワには
深さや強さ
があるということです。
シワが浅い場合(弱い場合)や、人物が遠くに配置されている場合に強いシワを描いてしまうと立体感を失ってしまいます。
まずは力点に近い所や、画面内で手前にある部分に強いシワを描いていきます。服が人の体を包んでいるということを意識して描いていきましょう。
また、服と同様にシワも人体を包んでいるので、体に沿って出来ます。
人体のふくらみや立体感を意識しましょう。体の形に沿ってシワを描くことで、服で隠れている体の形を補完することもできます。
本来シワが強くでないところも、体の形を見せるために優先してシワを描いても良いでしょう。
体のバランスが取りにくかったり、そのまま描いてしまうと角度によって体が小さく見えてしまう箇所は、服のたるみで隠し、バランスをとることも一つの方法です。
ところでシワにはいくつかの種類があるのを皆さんは知っていますか?
代表的なシワの種類は、
布が引っ張られてできる「つっぱりじわ」、
布が余ってできる「溜まりじわ」、
布が重なり合ってできる「重ねじわ」
などがあります。
■つっぱりじわ
主に腕の付け根部分、膝から上方向へとかかる部分など、服に力がかかっているところにできます。真っ直ぐな線で描きましょう。
■溜まりじわ
溜まりじわは、服をズボンに入れた時や袖口にできます。
このシワができるところは力があまりかかっていないので、中に空間ができていることを想像して、緩めの線で描いていきましょう。
■重なりじわ
重なりじわは、服の生地が重なりできるシワです。袖を巻いた時や自然な服に仕上げたい時に描きましょう。
力はかかっていないので、つっぱりじわほど直線的な線で描かないようにしましょう。
ここでは代表的なシワを中心に紹介をしましたが、シワには様々な形があります。
実際の服を観察してみてはいかがでしょうか。
3.服のシワ
続いて服のシワの解説をしていきます。
今回は質の違うYシャツとTシャツを例にシワの違いを紹介します。
■Yシャツ
Yシャツのような薄い生地には、細かいシワができやすくなり、シワに入る影もシャープになります。
また、生地が薄い場合、布が引っ張られる力の影響は直線の形に出やすくなります。
生地が密集する箇所はシワを多めに入れたり、生地の継ぎ目もしっかり描くと自然になります。
■Tシャツ
Tシャツのようなマットな生地は、シワが強く出ることはあまりありません。
体の線を補完するようなシワを入れるのみで、シワはぼかしが多めの方が柔らかさと体を包んでいる感じが出るでしょう。
このように服の生地によってシワの描き方を変えてみることで、よりその服らしさを表現することができます。
4.小物のシワ
最後に小物のシワの解説をしていきます。小物も生地の質感を意識してシワ描いていきます。
硬さや材質などに気をつけながら、継ぎ目の部分やシワ自体のコントラスト、シワの形で生地の質感を表現していきます。
今回は素材の違いがはっきりしている
ナイロンバッグ
布バッグ
革バッグ
を紹介します。
■ナイロンバッグ
ナイロンはシワができやすい素材なので、細かいシワを無数に描き込んでいきましょう。
全体的に同じようなシワを入れるのではなく、影の面を意識してまとまりでシワの数にメリハリをつけ、描いていきます。
■布バッグ
布は柔らかい印象を持たせるため、ゆるい線でシワを描いていきます。
洋服のように継ぎ目の形などで凹みをつけます。
■革バッグ
ハイライトを強く入れることで質感を出します。革は硬い素材なので、細かいシワはできません。
革のフチの継ぎ目を太めに描くと、革らしさが出ると思います。
5. Palmieの動画講座
以上でこの講座の解説は終了です。
シワの入れ方も、キャラクターの顔などと同様に、絵柄を構成する大切な要素です。
完全な写実ではなくても、布が体を包んでいることを意識してシワを入れるといいと思います。
この講座が作品の完成度を高めるきっかけにつながれば幸いです。
本講座の動画も公開しています。ぜひチェックしてみてくださいね!
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