フルデジタルで描く!内田春菊先生『私たちは繁殖している』-後編-
内田春菊先生に「本当にあった笑える話」(ぶんか社)10月号掲載の『私たちは繁殖している』の1ページを描いていただきました。前編では、全体的な作画の流れと1コマ目完成までの作画工程を見ていきましたが、後編では、2コマ目から完成までの作画工程を確認していきます。
2コマ目
前編に続き、2コマ目のペン入れ/塗り/トーン貼りを行います。
1コマ目と同様にペン入れを行います。ラフの状態からにも関わらず、迷いなく流れるように美しい線が生成されていきます。さすがです。
デジタルでは、正しく設定を行うことで、ナログ同様の美しい線が描けるだけではなく、
その線の形や線自体の太さや入り抜きも後で修正することが可能です。
描き文字を追加します。
洋服部分に濃いトーンを貼り付けます。1コマ目同様、ワンクリックでトーンを貼り付けていきます。デジタルなのでトーンは使い放題、種類も豊富です。勿論、貼り付けた後でトーンの位置や大きさなども修正することができます。
2コマ目が完成しました。
3コマ~最終コマ
2コマ目までと同様の工程で、3コマ~最終コマを仕上げていきます。
3コマ目
4コマ目
5コマ目
6コマ目
最終コマ
薄いトーン貼り
最後に薄いトーンを、人物の影となる部分に貼り付けていきます。
4、5、7コマに薄いトーンを貼り付けます。
トーンを描く様に貼り付けられるのも、デジタルならでは。
直感的で効率よく作業が行えます。
デジタルではトーン代はかかりません。色んなトーンをどんどん試してみてください。
完成
全ての作業が完了しました。改めて完成原稿を見てみましょう。
シンプルで実用的な作画工程
内田先生の画力は勿論ですが、効率の良い作画工程はさすがプロです。時間と質が常に問われるプロの現場で生き続ける手法は、個人差はあるかと思いますが、どれも無駄がそぎ落とされシンプルで実用的なものなのではないかと改めて感じさせられました。みなさんも、既に個々で馴染んだ手法をお持ちかと思いますが、プロの先生を参考にすることで新しい発見や刺激があるがあるかもしれません。
2編と続いたレポートですが、いかがでしたでしょうか。
今回のライブドローイングの様子は、下記の動画に収録されています。
内田先生の流れるような筆さばき、ぜひ動画でチェックしてみてください。
内田 春菊
漫画家
1984年四コママンガでデビュー。
1999年当時、22台のPCと3台のプリンターで無理やりデジタル化していたが全部捨てて元に戻し、現在はひとりでフルデジに。作家・俳優・脚本家・歌手・映画監督業も営む。
内田春菊オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/shinshungicu/
代表作
『南くんの恋人』 (青林工藝舎)
『私たちは繁殖している1RE』 (ぶんか社)
『私たちは繁殖している14』 (ぶんか社)