【小学館 まんが家養成講座】見やすいコマ割りをしよう!
まんがの描き方を基礎から教える【小学館 まんが家養成講座】 今回はまんがのストーリーを効果的に伝える見やすいコマ割りの仕方を解説します!
まんがはワク線で区切られた絵(コマ)の集まりです。この絵ひとつひとつをどの大きさでどのように配置するのかを “コマ割り” といいます。
あなたのまんがが読みやすくなるかどうかは、ひとえにこのコマ割りがうまくできるかどうかにかかっています。
まず、5つの”コマ割り”ルールをおぼえましょう!
ルールその1:右から左、上から下へ!
たいていのまんが雑誌は右開きですから、コマは右から左へ、そして上から下へと読み進めていきます。
下の右イラストのようにわかりやすくコマが配置されていれば、矢印で示したようにスムーズで読みやすくなります。
ところが、左イラストのような配置にしてしまうと、(1)→(2)→(3)→…と読んでもらいたくても、(1)→(3)→(4)→…と読んでしまう人もいるかもしれません。
どちらにも読み進められるようなコマ割りにならないように気をつけましょう。
ルールその2:コマとコマの間隔にも注意!
コマとコマの間隔も大切です。左右に隣り合ったコマ間隔はせまく、上下の段間は広くとるのが基本です。
次に読んで欲しいコマはコマ間隔をせまくすると、読み手の視線を誘導できるのです。
例外的に段間のコマをせまく、左右間隔を広くとると、イラスト右のような読ませ方ができます。
なお実際の間隔ですが、広くとる場合は8~10mm、せまくとる場合は4~6mmくらいがいいと思います。
ルールその3:メリハリをつけよう!
下の二つのコマ割り例を見てください。どちらが読みたくなるコマ割りでしょうか?
圧倒的に左ですよね。
右は同じような大きさのコマがゴチャゴチャ入って、パッと見た感じがとても読みづらそうです。
このようにコマの大きさにメリハリをつけると、読みやすいまんがになるのです。
なお1ページあたりのコマ数ですが、最大でも8コマまでにとどめたほうがいいでしょう。
最初はどうしても詰め込みがちですが、ページあたり5コマくらいにゆったりおさめるようにしましょう。
ルールその4:コマ割りの検討は見開きで!
コマ割りを考える時は見開き単位で考えましょう。実際にまんがを読むときのように雑誌を開いた状態でながめてみます。
効果的に大きなコマがあるか、ゴチャゴチャして見づらくないか、1ページではちょっとコマが多いかなと思っても、2ページの見開き単位で見るとバランスが良かったりすることもあります。
ルールその5:変形コマの多用はさけよう!
コマの基本は四角ですが、動きなどを表現するためにコマを変形させることがあります。
左のイラストなどがそうですね。この変形コマを使ったシーンはとても印象的ですが、右のイラストのように使いすぎると、とても見づらくなります。
変形コマは、ここぞというときに使うようにしましょう。
以上5つのルールをふまえた上で、一番大切なことは、
『何を表現したいか、でコマの大きさは変わる』
ということです。
下のサンプルまんがの1コマ目に注目してください。
海の風景です。登場人物が今いる場所を読者に知ってもらうためには必要なコマです。
右のコマでも、海であることはわかります。
しかし、このサイズのコマでは読者の心には残りません。
もしかしたら読み飛ばされてしまうかもしれません。
登場人物が海辺にいることがとても重要なことならば、次のサンプルのようにします。
1コマ目の海の風景を大きくして、人物も描き込んであります。
これならば、
『登場人物は、今、海にいる。しかも砂浜で海を見つめている…』
ことが印象的に伝わるはずです。
逆に海にいることがさほど重要でなく、場面転換くらいの意味合いしかないのなら、上のサンプルのコマ目でもOKです。
心情や情報を読者に強く訴えたいのなら、コマは大きくすべきなのです。
※本記事は小学館新人コミック賞公式ホームページ内の連載講座『新コミまんが家養成講座』から提供いただいた記事に一部編集を加えたものです。
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